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エースと距離を取ろうと思ってもエースは頑なにオレについてくる。
なんで、どうしてなんだ。
オレがそばに居たらお前を巻き込んでしまう。
だから嫌なのに。
理解してくれないエースに痺れを切らしたオレはとうとう言ってしまった。
「……エース、もうオレに着いてくるな」
「?!なんで、だよ!」「何でもだ!」
「ッ……この間からお前はおれのこと避けてたよな!なんでだよ!おれの事なんかもうどうでもいいってのか?!」
ああ、オレの馬鹿野郎。
言わなければ良かった。
そう思った時には既に遅く、エースの目からはポロリと涙が零れ落ちていた。
泣きたいのはこっちの方だ。
どうでもいいわけが無いだろう。
「……ああ、そうだよ。お前のことなんかもうどうでもいい」
「……!…………愛してたのに……」
そう呟いて走り去っていくエース。
「エース!待て!」
オレの声は虚空へと消えていった。
オレもエースを愛してる。
けれどオレは死神だ。
この先エースがどれだけ素晴らしい未来を手に入れようとしても、オレが奪ってしまう。
だからオレはエースから離れた方がいいんだ。
それがエースのためだから。
それからというものの、オレはエースと会話らしい会話をしなくなった。
オレから話しかけることも無くなり、エースが話しかけてきても素っ気なく返事をするだけだ。
ただ一つ変わったことといえば、エースはオレ以外のヤツによく甘えるようになった。
オレに見せつけるように、だ。
オレへの当て付けなのか、それともオレに嫉妬させたいだけなのか分からないが、どちらにせよオレにとっては面白くないことに変わりはない。
それに、オレといる時より楽しそうに笑うのだ。
でも羨む資格もオレにはない。
自分から突き放したくせにまだ愛されたいだなんて、虫が良すぎるじゃないか。
ズキズキ痛む胸を抑えつけながら酒に溺れていく。
「カルト、飲み過ぎじゃないのか?」
「うるせェ」
「顔色が悪いよい。そろそろ休め」
サッチやマルコに止められるが、オレは飲む手を止めなかった。
頼む、オレから酒の快楽を奪わないでくれ。
オレは何もかも忘れてしまいたかった。
何も考えなくて済むように、ただひたすらに酒を煽る。
それでも痛みは無くならない。
「……ックソ……!」
オレはグラスに入った酒を飲み干すと、そのまま意識を飛ばした。