テラーノベル
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「令和ちゃんと昭和ちゃん、SNSに振り回される」
「ねえ、それ何してるの?」
昼休み。
令和ちゃんは、スマホを見ながら指を動かしていた。
「動画編集」
「動画!?」
昭和ちゃんが食いつく。
「なにそれ、テレビみたいなやつ?」
「まあ近い」
「え、自分で出るの!?」
「出ないけど」
「出ないの!?」
「出ないよ」
「なんで!?」
「裏方だから」
「もったいない!!」
「なにが」
「はい、できた」
「え、もう!?」
「三分」
「三分!?」
「短いほうが伸びる」
「伸びるってなに!?」
「見られるってこと」
「へええ……」
昭和ちゃんは、スマホをのぞき込む。
「これ、なに?」
「昨日の弁当」
「昨日の!?」
「編集した」
「ドラマみたいになってる!!」
「音楽入れただけ」
「すごい……!」
「で、これ投稿する」
「投稿って?」
「ネットに上げる」
「世界に!?」
「大げさ」
「怖くないの?」
「別に」
「誰に見られるかわかんないんだよ!?」
「知らない人だから平気」
「ええ……」
数分後。
「ねえ、すごい!」
「なに」
「“いいね”増えてる!」
「まあね」
「知らない人が押してるんでしょ!?」
「うん」
「なんで!?」
「いいと思ったから」
「すごい世界……」
「コメントも来てる」
「読む読む!」
「いいけど」
昭和ちゃんは、真剣な顔で読み始めた。
「“お弁当おいしそう”……よかったね!」
「昨日のあれ」
「“編集うまい”……すごいじゃん!」
「普通」
「“昭和ちゃん好き”……え!?」
「え」
二人で止まる。
「え、私!?」
「多分」
「なんで!?」
「キャラ濃いから」
「濃いってなに!?」
「返事しなきゃ!」
「しなくていいよ」
「なんで!?」
「全部返してたら終わらない」
「でもせっかく……!」
「見るだけでいい」
「冷たい!」
「効率」
「またそれ!」
「じゃあ私もやる!」
「なにを」
「その、えすえぬえす!」
「SNSね」
「それ!」
昭和ちゃんは、勢いでアプリを入れ始めた。
「まず何するの!?」
「アカウント作る」
「名前どうしよ!」
「なんでもいい」
「“昭和魂”は!?」
「やめといたほうがいい」
「なんで!?」
「重い」
「ええー……」
「投稿ってどうするの?」
「写真撮って上げるだけ」
「簡単だね!」
「まあ」
昭和ちゃんは、弁当を持ち上げる。
「はいチーズ!」
「自分で言うの?」
「言うでしょ!」
「言わない」
パシャ。
「できた!」
「どれ」
画面を見る。
「……近い」
「え?」
「顔近い」
「ええ!?」
画面いっぱいの昭和ちゃん。
「お弁当どこ」
「ほんとだ!!」
「撮り直せば」
「これでいい!」
「いいんだ」
投稿から三分後。
「ねえ!!」
「なに」
「誰も“いいね”してくれない!!」
「まだ三分」
「もう三分!!」
「そんなもん」
「なんで!?」
「内容」
「内容!?」
「……じゃあこれどう?」
令和ちゃんが、さっきの写真を少し加工する。
「明るさ調整して、切り取って……」
「おお……!」
「で、再投稿」
「そんなことしていいの!?」
「別に」
一分後。
「増えた!!」
「でしょ」
「すごい!!」
「普通」
「魔法みたい!」
「編集」
「ねえ」
「なに」
「これ、楽しいね」
「でしょ」
「でもさ」
「うん」
「なんかちょっと、怖い」
「どこが」
「みんなに見られてる感じ」
「見られてるよ」
「やっぱり!?」
「じゃあやめる?」
「……やめない!」
「続けるんだ」
「楽しいから!」
「ならいいんじゃない」
「でもね!」
「なに」
「次はちゃんとお弁当撮る!」
「そこ?」
「そこ!!」
昼休み終了のチャイムが鳴る。
「ねえ、明日も撮ろうね!」
「はいはい」
「今度は二人で!」
「顔出すの?」
「出そうよ!」
「やだ」
「ええー!!」
騒がしい。
でも、少しだけ画面を見る時間が増えた。
通知が一件増える。
「……また昭和ちゃんのだ」
“明日のお弁当、気合い入れる!”
「気合いか……」
令和ちゃんは、小さく笑った。
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