白黒組
「彼の話」
ちょっとだけ・・。ちょっとだけ、俺の「愛した」人について。話したい。
聞いてくれるかな?
彼はね・・。
まぁ彼って聞いて分かったと思うけど、俺等は同性カップルだった。
ゲイな訳ではなかったけど、彼の人間性に惹かれた。 いや違うな。全部に惹かれた。
強くて優しくて。でも一切威張らなくて。
俺よりは身長は低かったけど、いつも守られてばっかりだった。
始まりはね、俺がまだ他のクラスメイトより小さくて、弱かった時。中学生の時。
毎日のように虐められてた。
俺は彼奴等の奴隷だった。
無理矢理服を脱がされたり。暴力を振るわれたり。醜態を晒してしまったり。
あの時の俺は感情がないマリオネットみたいだった。
痛みすら感じなくなって。 世界は灰色で滲んだ。 笑い声が悲鳴に聞こえた。
それが半年ぐらい続いたある日。
俺が服を脱がされ、気を失うまで暴力を振るわれて、更衣室のロッカーに押し込められていた時。
彼は偶然やってきた。
彼は俺のうめき声に気づいて、扉を開けてくれた。
普通の人なら俺を無視してたんだけど、彼はね、俺に服を着せて、彼の家まで俺を連れて行ってくれたの。
目が覚めた時、ベッドの隣のソファーで本を読んでる人が居て。
それが悠佑さんだったんだけどね、直ぐに俺のことに気づいて・・・。
「・・・お粥食べるかー?」って・・・・・・・。
殴られた傷、リスカの傷は全て薬が塗られていて、かなり綺麗になっていた。
その後にね、付き合ったあと。
悠佑さんが包丁で怪我をして、血が出ちゃって。
俺は初めての感覚に疼いていた。
そんな感情抱いてはいけないのは分かっているけど 俺は完全に興奮してしまっていて
夜な夜な彼の血を思い出しては1人で果てる日が続いた
同性のしかも血液でしてしまうなんて世間的には好奇の目に晒されることなんて分かっていた
でも俺は
それが一番快感に浸れた
何かを使うよりも
悠佑さんの血が飲みたい 血が飲みたい 血が飲みたい
そこからは記憶が無い
目が覚めたら俺は病院に居て
周りには警察の人と姉が居て
悠佑さんの家族が居た
目が覚めた俺に言われたことは重たかった
俺が悠佑さんを包丁で襲って 刺して あろうことかそこの傷口から血を啜って
悠佑さんは大量に血を失って
病院に運ばれたけど
そのまま亡くなったと
記憶は戻らない
過去は戻らない
俺も戻れない
悠佑さんは戻らない
もしもなんて存在しない
ただそこには悠佑という人間が死んだ事実だけが
重く伸し掛かった
_____悠佑さんの血、美味しかったよ
来世になっても俺はまた。
nunu.
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