tg視点
放課後の図書館は、しんと静まり返っていた。
本のページをめくる音すら、遠慮がちに聞こえる。
俺とあっとくんは、並んで机に向かっていた。
でも、全然、英語が頭に入ってこない。
さっき、ふと見えた“あれ”のせいだ。
スマホの画面に、ほんの一瞬だけ映っていた数字。
「1」
――あっとくんの頭の上に、確かに浮かんでいた。
at ……ちぐ、話したいこと、あるんだ
心臓が跳ねる音がした。
その声は、静かな空間によく馴染んでいて、でも俺の心だけがざわついた。
tg な、なに、かな……?
声が震えないようにするのが、精一杯だった。
at スマホに、映ったんだ……俺の数字
tg っ……!
at たった一瞬だったけど、ちゃんと見えた。1って
その言葉だけで、息が止まりそうだった。
at ずっと0だったから、自分に好意の数字なんて出るなんて思ってなかった。正直、意味わかんなくてさ。でも、ちぐといて……やっと、わかったんだ
あっとくんが、ゆっくりとこちらを見る。
at 俺、ちぐのことが――
その瞬間、窓の外から射した西日が、彼のスマホ画面を淡く照らした。
そこに、また映った。
「3」
at っ――また、上がってる……!
1じゃない。3。
ほんの数分で、上がってる。
これって、あっとくんの気持ちが……。
at 俺……やっぱ、ちぐのことが――
tg …待って
思わず、遮っていた。
自分でも、どうしてかわからなかった。
あっとくんが目を見開く。
俺の心臓は、どくんって大きく跳ねた。
tg(今、それを言われたら――俺、どうなるんだろ)
言ってほしい気持ちと、こわい気持ちが、ぐちゃぐちゃに混ざっていく。
at ちぐ…?
その声が、すぐ近くから響く。
でも、息が詰まって答えられない。
そんな俺を、あっとくんは静かに見つめていた。
――そして、時間が止まったみたいな沈黙の中。
彼の頭には、また数字が映っていた。
「5」
tg(……っ!?)
終わらない。
止まらない。
あっとくんの数字が、どんどん上がっていく。
それはまるで、
いまこの瞬間も、彼の“好き”が膨らんでいる証のようで――
俺は、息を呑んだまま動けなかった。
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コメント
4件
800から2000まで押しときました!! 次も楽しみにしてます!!(っ ॑꒳ ॑c)
好き過ぎますッ