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―side晴美―
康夫が風邪を引いて仕事を2日間休んだ。一人っ子で甘やかされて育っている彼は、インフルエンザかもしれないと騒いだ
仕方がなく近所の内科に連れて行ってインフルエンザの検査をしたが、彼はただの風邪だった
インフルエンザの検査代と診療代、さらにプラス抗生剤とその他もろもろのビタミン剤を処方してもらう、いつも子供医療料金で診てもらっているので、たとえ保険が効いても大人が医者にかかるのはなんて高いのだろう。
そして病院から帰ってきて、私は幾度となく彼の寝室へと階段の昇り降りを繰り返した
「晴美?」
マスクをつけてゴホゴホ言ってる康夫がベッドから呼ぶ
「なぁに?喉かわいた?ポカリ飲む?」
「麦茶がいい・・・面倒掛けてすまない」
「面倒なんかじゃないわよ」
「喉が痛いんだ、のど飴が欲しい・・・レモン味がいいな・・・あと・・・冷えピタも・・・ 」
「冷えピタはあれは熱を取らないわよ、それなら氷水にハンドタオルで額を冷やした方がいいわ」
「でもそれだと顔を横にしたらズレるじゃないか・・・冷えピタがいい」
「・・・・買ってくるわね 」
「ありがとう・・・あと夕食はおじやがいい・・・味噌味のヤツ・・・卵も入れて・・・」
―私が具合が悪くなったらあなたはそれだけしてくれるの?―
私は心の中で毒づいて出かける準備をした
12月の風は切るように冷たくて、臨月の体にはこたえる、私はコートの裾をはためかせ、家の前の芝生に落ち葉を散らしている。水曜日は午前保育だけなので、斗真と正美を車で幼稚園に迎えに行く