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「愛の彼方へ」
おまけのプチエピソードです(^ω^)
その後の2人がどうなったかというと….。
遠くで、誰かが呼んでいる。
胸の奥をくすぐるような、懐かしい声。
ずっと探し続けていた声。
『…さん、……レトさん!!』
ゆっくりと目を開ける。
最初に視界へ飛び込んできたのは、どこまでも澄みきった青空だった。
雲ひとつない、透き通るような空。
静かで、穏やかで、美しい世界。
身体を起こすと、柔らかな風が頬を撫でた。
甘く、優しい花の香りが鼻をくすぐる。
見渡せば――
一面に広がるスターチスの花畑。
紫、青、白。
果てが見えないほど咲き誇る花々が、風に揺れてさざめいている。
「……ここ……」
夢で見た景色と同じだった。
いや、夢よりも鮮明で、現実よりも現実的。
その時。
背後から、聞き慣れた足音。
振り返るより先に、心臓が答えを知っていた。
『レトさん、おいで』
光の中に立つ長身の影。
優しく手を広げ、少年のような笑顔を向ける大好きな人。
「キヨくん!!」
声が震える。
けれど、それ以上に足が動いた。
走る。
花を踏まないように、でも必死に。
心地よい風を感じながら。
そして――
腕の中に飛び込んだ。
確かな温もり。
確かな鼓動。
透けていない身体。消えない存在。
「……ほんとに、キヨくんだ….」
呟くレトルトの背に、キヨの腕が回る。
『やっと抱きしめられた。俺のレトさん…』
耳元で響く声。
レトルトは目を閉じて、深く息を吸う。
泣きそうで、でも安心して、胸の奥がじんわりと満たされていく。
長い長い別れの時間を埋めるように。
もう二度と離さないと誓うように。
互いの体温を確かめ合うように、しばらく何も言わず抱きしめ合ったあと。
レトルトは、キヨの胸の中で小さく呟いた。
「……ここ、天国かなぁ?」
問いかけは子どものように素直だった。
キヨは少しだけ身体を離し、レトルトの顔を覗き込む。
そして、くすっと笑いながら首をかしげる。
『さぁ?どこだろうな、ここ。俺も分かんない。でも 地獄ではなさそうだけどね、さすがに』
その軽い笑い方が、あまりにも“いつものキヨくん”で レトルトは思わず吹き出してしまう。
レトルトはキヨの胸に顔を埋めたまま、小さく呟いた。
「……でも、キヨくんと一緒なら地獄でもいい。 」
キヨは一瞬、目を丸くする。
そして、少しだけ照れくさそうに視線を逸らしながら――
『……ほんと、レトさんさ〜。
そういうとこ、ずるいよな』
ぽつりと呟いて、次の瞬間。
ぎゅっと、さらに強くレトルトを抱きしめた。
2人は手を繋いで、終わりのなさそうな花畑を歩いてみた。
薄紫の波がどこまでも続き、風が吹くたびに花がささやく。
どれだけ歩いても、端っこが見当たらない。
『なーーんもねぇなぁ〜。レトさん、ちょっと休憩しようぜ』
キヨが冗談っぽく笑いながら、その場にどさっと腰を下ろす。
レトルトもつられて、ちょこんと隣に座った。
キヨの腕が自然に伸びて、レトルトの肩を抱く。
触れ合う体温があたたかい。
しばらく二人は何も話さず、風に揺れる花の音だけを聞いていた。
やがて、レトルトがぽつりと口を開く。
「……ねぇ、キヨくん」
『ん?』
「キヨくんは、いつから俺のそばにいたの?」
キヨは少しだけ目を丸くして、でもすぐに穏やかに笑った。
『死んだ瞬間からだよ』
静かな声。
でも、その一言には途方もない時間が詰まっていた。
『目を閉じた次の瞬間、気づいたらレトさんの隣にいた。
病院のベッドの横でも、部屋の隅でも、外を歩く後ろでも。
ずっと、側にいたよ』
レトルトの肩を包む腕に、そっと力がこもる。
『何度も名前、呼んだんだ。
何度も触ろうとした。 でも……』
少しだけ笑うキヨの声は、どこか切ない。
『でもさ!それでもいいと思ってた。
レトさんが生きてるなら、って』
その言葉に、レトルトの胸がきゅっと痛む。
「……ごめんね」
震える声で謝る。
「忘れててごめん。 気づけなくてごめん。
一人にしてしまってごめん」
キヨは首を横に振った。
『謝らなくていいんだって』
そして、そっと頬に唇を寄せる。
『レトさんは生きててくれてただけで十分だったよ。大切な人を守れて俺は嬉しかったんだよ』
『でもさ……側でずっと見守ってたけど…』
腕の力が少しだけ強くなる。
『記憶が無くなってたとはいえ、だんだんレトさんが変わっていくのが本当に辛かった。』
レトルトは息を呑む。
『全然笑わなくなって、 好きだったものに目を向けなくなって。 こだわりも、わがままも、全部なくなってさ。
……まるで、空っぽの器みたいになってた』
キヨの声が、わずかに揺れる。
『それを隣で見てるのに、触れられない。
声も届かない。
何もできない自分に、腹が立ったよ』
レトルトの目にじわりと涙が広がる。
なんと言葉にしていいのか分からず、ただ足元を見ていた。
『でもさ、最後にちゃんと思い出してくれたじゃん? 俺の声を呼んでくれた。あの時はすっげぇ 嬉しかった!ありがとな、レトさん!』
レトルトはくるりと振り返り、キヨの胸に額を押し当てる。
『でもさぁ……あのクソみたいな恋人はほんと嫌だったわ』
眉間に皺を寄せて拗ねたように続ける。
『あいつ、全然レトさんのこと大事にしてなかったじゃん。
嫌なことばっか言って、レトさんから笑顔奪ってさ。 誕生日も忘れて…ほんと、最低なクソ野郎じゃん』
そしてじっとレトルトの目を覗き込む。
『……なんであんな奴と付き合ってたの?』
レトルトは少し困ったように笑った。
笑ったはずなのに、目の奥はまだ少し痛そうだった。
「……正直、よく分からない」
キヨが目を丸くする。
「事故のあと、俺は何か大事なものを失ったって感覚だけが残っててさ。 心にぽっかり穴が空いてて、怖かったんだと思う。 誰でもいいから、その穴を埋めてほしくて……」
「優しくされたわけでもないのに、
一人になるよりマシだって思ってしまった。
……自分でも情けないわ」
キヨは黙って聞いていたが、やがてレトルトの手をぎゅっと握った。
『情けなくない。すげぇ辛かったはずなのによく頑張ったな』
レトルトは目頭がジンと熱くなるのを感じながら言葉を続けた。
「でも….記憶が戻ったからこそ思うんやけどさ。 今思えば、あの人……ちょっとだけキヨくんに似てた気がするんだよなぁ。 無意識にキヨくんを求めてたのかなぁ、って」
その言葉を聞いた瞬間。
キヨはピタッと動きを止めた。
そして、信じられないものを聞いた顔で、レトルトを見下ろす。
『はぁ?』
次の瞬間、むっと頬を膨らませて言い返した。
『全然似てねーよ! 俺の方が優しいし、かっこいいし、レトさんのこと大事にしてるし!』
子どもみたいに言い切るキヨに、レトルトは吹き出した。
「はいはい。知ってるよ」
『適当に流すな!』
キヨはレトルトの腰に腕を回して、ぐいっと引き寄せる。そして耳元で得意げに囁いた。
『それに、俺の方がエッチ上手いじゃん?』
息が耳に触れ、レトルトの肩がぴくりと震える。
「……ちょ、キヨくん……!!
え?もしかして、そこまで見てたの!?」
レトルトの頬がみるみる赤く染まる。
『ん〜、まぁ。ずっとそばにいたしなぁ〜。
俺とヤってる時はアンアン喘いで自分から腰振ってちょーエロかったのに、あいつとヤってるとき全然動かないしマグロだったな」
キヨはニヤニヤ笑いながらレトルトを見た。
レトルトは完全に真っ赤になり、
両手で顔を覆った。
「……もう、やめてやぁ////キヨくんのイジワル…」
キヨはその手をそっと外し、額に軽く口づける。
『でも、これからは他の奴なんか絶対許さないからな?あの時は俺死んでたし我慢してたけど、本当はすっげぇ嫌だった。俺のレトさんなのにって思ってた。レトさんは俺に抱かれて気持ちよく喘いどけばいいんだよ』
レトルトは恥ずかしそうに笑いながら、
でも当然だという顔で答えた。
「当たり前やん!俺を気持ちよく出来るのはキヨくんしかいないんやで!」
その言葉に、キヨは満足げに微笑んだ。
『今夜は寝かせてあげられねぇから、覚悟しとけよ?レトさん?』
冗談めかした声。
でも瞳は本気で、逃がす気なんて一ミリもない色をしていた。
レトルトは一瞬固まって、
次の瞬間、耳まで真っ赤になる。
「……っ、もう////キヨくんのエッチ…////」
声は小さく、弱い。
けれどキヨの服を掴む指は、しっかりと離さない。
キヨがくすっと笑って額を寄せる。
ふたりのはしゃぐ声が、明るい花畑に軽やかに響いた。
笑い声が風に乗って揺れ、薄紫のスターチスがさざめくように揺れる。
離れていた距離も、失われていた時間も、
まるで最初から存在しなかったかのように。
優しい風がふたりの間をすり抜け、
触れ合う指先と心を、静かに結び直していく。
ここには痛みも後悔もない。
ただ、互いのぬくもりと、永遠を誓った記憶だけがそこにはあった。
ふたりのはしゃぐ声が、花畑に響く。
その光景を、少し離れた場所から静かに見つめる影が二つあった。
🥷「ねぇ、うっしー。あの二人、誰かなぁ?」
興味津々に身を乗り出す長身の男。
対して、腕を組んだもう一人は、どこか気だるげに肩をすくめる。
🐮「さぁ? 初めて見る顔だな。……でも羽が生えてないってことは、最近こっちに来たんじゃない?」
🥷「へぇ〜。じゃあ、新入りカップルってことか。なんかすごいラブラブじゃない?」
🐮「見てりゃ分かるだろ。放っとけ。」
素っ気なく言いながらも、男の視線はちらりと花畑へ戻る。
抱き合い、笑い合い、二度と離れぬと誓った魂のふたり。
その光はまぶしく、どこか懐かしい。
🥷「昔の俺たちみたいだね、うっしー」
🐮「おい!聞き捨てならねぇな。どういう意味だよ!」
🥷「ふふ、冗談だよ。今もずっと大好きだよ」
🐮「…..っ////ま、まぁ俺も好きだけどな////」
🥷「うっしー、照れてんの?」
🐮「うっ、うるせぇよ//// ま、俺たちの話はまた今度だな」
🥷「そうだねぇ」
完結
私の妄想話にお付き合い頂きありがとうございましたヽ(*^ω^*)ノ
感想など書いて頂けるととてもとても嬉しいです。
この話の続きは….ありそうですね、ふふふ。
次は初挑戦のカップリング
「レトキヨ」
を予定していますが、本当に初めて書くので
ネタを提供して頂けるととても嬉しいです🥹
今後もよろしくお願いします🙇
魑魅魍魎
コメント
4件

切ない系も書けるだなんて、!!素晴らしい作品今回もありがとうございます!!🐈⬛が右とは!初挑戦のカプ楽しみにしています!!
文章読みながら情景を想像してたけど…めっちゃくっちゃ綺麗な景色が思い浮かんできた…ここは天国だ(言い切り)最後にちゃっかり🥷🐮出てきてたし!新しい扉が… 🦀🐱だ!🐱右だ!やったああ!お友達に🐱左地雷の子多いからこれでやっと魑魅魍魎さんのお話おすすめできる…ほんとありがとうございます…😭😭😭