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「・・・ん?なんだこれ?」
ふと、赤ちゃんは“あるもの”を拾い上げた。それは、白いハンカチに、四葉のクローバーが刺繍されているハンカチだった。
随分使い古されているが、大事に使われているのがわかる。
赤ちゃんは首を傾げていると、
「あ、それ、俺のなんだ!」
ふと、声が聞こえ、振り返る。そこには、緑のフードに身を包んだ。自分そっくりな赤ん坊が。
彼は別世界の赤ちゃんこと、ウィリデが立っていた。見た目はそっくりな為、ウィリデは緑色のくま耳フードに身を包んでいた。
「あ、お前のなのか!良かったな!見つかって!!」
「ありがとな」
と、赤ちゃんはそれを受け取ると、大事そうにそれを握りしめた。
「それ、大事なんだな!誰に貰ったんだ?」
すると、ウィリデは答えた。
「・・・声も、顔も、覚えてない、けど、多分、俺の母ちゃんだと思う」
そうウィリデは答えた。それに赤ちゃんは答えた。
「お前も母ちゃんいねぇのか?」
「・・・いねぇ、というか、記憶がねぇんだ。」
「へぇ・・・俺も人間の母ちゃんの記憶ねぇんだ。俺、動物さん達に育てられたんだよ」
「動物に育てられた!?」
ウィリデは目を丸くした。自分は生まれてから、任務以外外を出歩かない。だから、動物に育てられた。ということが信じられなかった。
「・・・マジか・・・」
「おう!大マジだぜ!!・・・まぁ、クマさん達は・・・ニンゲン達に殺されちまったけどな・・・今はすまない先生達と過ごすのが楽しいんだ!」
赤ちゃんはそう笑い答えた。それにウィリデは驚いたように目を丸くした。
「・・・俺は、人を沢山殺してきた。・・・たまに、殺した人達が怖い形相で睨むんだ。それが怖くて、怖くて・・・いつもすまない先生が慰めてくれるんだ・・・なぁ、教えてくれよ。赤ちゃん、どうやったら、そんなに真っ直ぐ前を向けるんだ?どうやったら、過去に囚われずに前を向けるんだ?」
そのウィリデの疑問に、赤ちゃんは答えた。
「・・・お前、俺に似てる癖に、なんかウジウジしてるんだな」
「ゔっ」
赤ちゃんの言葉がウィリデに突き刺さる。思わずウィリデは呻く。すると、赤ちゃんは答えた。
「俺は、人間の母ちゃんのことはあんま覚えてない。・・・俺は、昔より今の方が大事なんだよな!」
そう真っ直ぐ答える赤ちゃんに、ウィリデは
「そうか」
と、たった一言こぼした。
「あ、なぁなぁ!せっかくだし!牛さんから牛乳貰おうぜ!」
「おう!いいぜ!」
と、2人は牛さんの元へ駆け出した。