柔らかくもない、かたく尖った音が部屋を包み込む。
目覚まし時計を変えてから、毎日が憂鬱になった。
いっそのこと転職してみようか。
給料は高いからちょっと好き。
でも都合よく使われる。その分の給料はないけど。
ベッドに横になった状態で、情けなくテーブルに手を伸ばし、リモコンを手に取った。
変に冷たいシリコンのボタンが気持ち悪い。
適当に見えたボタンを押して、映し出された映像を見ながら起き上がる。
そこには見覚えのある姿が映っていた。
「一から何もわからない状況で起業したんですよ。」
「東京に…上京して?状況だけに!なんちゃって!」
テレビに映し出されていた人物は、幼なじみの大樹だった。
調子に乗ってボケておちゃらけている。
「大樹……」
大樹は小さい頃から社長になるのが夢で、ずっと俺と起業しないかと誘われていた。
俺はそんな気はさらさらなかったし、大樹の夢なんだからと身を引いていた。
「夢……叶えたんだ」
俺は自然と涙を流していた。
それに比べて俺は…
ダメダメ。考えない。
俺は大樹のインタビューを聞き流しながら会社に行く準備をした。
そういえば…
みっちゃんは元気かな…
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