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「随分あっさり負けを認めるんだな」
地面に降ろされたフィニスが振り返ってニックを見る。
『弱い人間とは共に歩めぬ。これは確かに妾の本心じゃ。しかし……この戦いそのものは、妾が望んだことではないのじゃ』
『あれだけ楽しそうに暴れておいてよく言うわよ』
ニックの言葉に即座にツッコミを入れるゼフィリア。
『ま……まぁ、途中から楽しくなってしまったのは確かにあるが……。お主らも悪かったの。これは最終試練だったのじゃ』
「最終試練?」
エラリスが首を傾げる。
『ボクら五大精霊。その全員と契約を結ぶに足りる実力があるのか……最後の精霊は、契約者の実力を試すという決まりがあるんだ』
『で……でも……ちょっとニックはやりすぎだった気もするけど……』
『今回はその役割がニックだったと言うわけだ』
『まぁ、ある意味適正だけどね〜』
精霊達に視線を移すエラリス。
『そう言うことじゃ。だから妾もあえてそんな役回りをして、主らの実力を試したと言うわけじゃな』
『『……』』
『と、とにかく、まずはこの身体を返すとするかの!』
ニックがそう言うと、ホムラの身体が強く輝き出し、胸元からゆっくりと光の球体が浮かび上がって来た。
その球体が完全に身体から抜け出し、力無く崩れ落ちそうになるホムラの身体を、近くにいたフィニスが抱き抱えた。
「ホムラ!」
カエデがホムラの元へ駆け寄ってくる。戦いによる傷と火傷が身体のいたるところに見られた。アルテアが回復をしようと杖をホムラに向けようとした所、光の球体から元の鳥の姿へと戻ったニックに呼び止められる。
『ここは任せてはくれぬか?妾の責任じゃからな』
ニックが翼を一度だけ羽ばたき、複数の羽がヒラヒラと舞い上がる。その羽がホムラの身体へゆっくりと落ち、身体に触れた瞬間……
「傷が……癒えてる……」
「癒しの炎……?」
みるみるうちにホムラの身体の傷は治っていく。自分の治療魔法とは異なる魔法に驚くアルテア。
フィニスからホムラを受け取ったカエデが、ぎゅっと強く抱きしめる。
『魔力を使い過ぎてしまったが……しばらく休めば大丈夫じゃろ』
「あ……ありがとうございます」
ホムラを抱いたままニックにお礼をいうカエデ。
『元はと言えばニックのせいだけどな』
『主は本当に嫌なやつじゃの』
憎まれ口を叩き合うリヴァレーとニック。
『と……そんな事より、そこの精霊術師。約束じゃ。主の魔名は?』
エラリスの方を向き直すニック。
「……エラリシア」
『妾はフェニクス』
お互いの魔名を名乗り、一歩前に出て向かい合う2人。
「我が名はエラリシア。炎の精霊、フェニクス。その名を貴方に捧げます」
『妾はフェニクス。エラリシア。主の魔名を刻むと共に契約を受け入れよう』
ニックが翼を大きく広げ、エラリスの身体を覆う。羽の隙間から眩い光が溢れ出し、そしてゆっくりと消えていった。
『これで契約完了じゃ』
「ふぅ……」
ニックの羽が開いて見えたエラリスの顔。毎回契約後は疲労困憊になっていたエラリスが、今は平然とした顔をしている。
「エラリスさん……大丈夫ですか?」
「うん。思ったより全然平気。この間の魔変症が治ってからかな?精霊達の力を使うのもいつもより魔力を使わないと言うかなんと言うか……とりあえず疲れにくくなってる感じ」
その言葉にふっと笑うニック。
『ならば大丈夫であろう……』
『そうね……』
『うむ』
『久しぶり……』
『まぁ、頑張れよ』
精霊達が各々口一言言葉を交わすと、精霊達とエラリスの身体が強く光始める。
「なんだ!?どうした!」
「エラリス!」
徐々に強まる光。
「だ、大丈夫!」
ニティアの言葉に答えるエラリス。
ぎゅっ!
倒れているホムラを強く抱き抱えるカエデと、アルテアの前に立ち、盾を構えているルシオ。
輝きが最高潮に達し、辺り一面を白く覆う。
そして次の瞬間……
パァーン!
部屋中の光が弾け、静寂に包まれた。
コメント
1件
読み終えたわ!やっと五大精霊全員と契約完了か〜。ニックがあんなにあっさり負け認めて、しかもホムラの傷を自分で治すとか…なんかツンデレすぎん?w でも「最終試練だった」って言い訳が既に可愛い。エラリスが魔変症治ってから力の扱いがラクになってるのも納得の設定だし、この成長を見守ってきた読者としてはグッと来るものがあったわ。最後の光の演出も含めて、次の展開がすごく気になる🔥