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#高校生
第47話 「約束の場所」
夏の福岡大会 決勝。
柳城高校 ― 筑紫台学院。
甲子園まで、あと一勝。
球場は満員だった。
福岡の高校野球ファンが集まっている。
昨夏。
柳城は福岡を制した。
だが甲子園はなかった。
優勝しても届かなかった夏。
だから今年は違う。
勝てば、本当に甲子園へ行ける。
試合前。
福間監督は選手たちを見る。
「去年のことは忘れろ」
静かな声だった。
「今年は今年や」
全員が頷く。
プレイボール。
初回。
筑紫台学院が襲い掛かる。
先頭打者二塁打。
送りバント。
一死三塁。
続く三番。
センター前。
先制。
0対1。
球場がざわつく。
筑紫台学院。
やはり強い。
だが二回。
柳城反撃。
史陽が四球で出塁。
盗塁成功。
二死二塁。
八番打者。
レフト前ヒット。
史陽が三塁を蹴る。
ホームイン。
同点。
1対1。
アルプススタンドが沸く。
塁もマウンドで拳を握る。
試合は中盤へ。
互いに譲らない。
塁も力投する。
しかし六回。
筑紫台学院四番。
高めの直球を完璧に捉える。
レフトスタンドへ。
ホームラン。
1対2。
再び追う展開。
ベンチへ戻る塁。
悔しそうに座り込む。
すると主将・柴田が言う。
「一点ずつ行こう」
短い言葉。
だがチームが落ち着く。
七回。
柳城チャンス。
一死満塁。
球場全体が立ち上がる。
打席は史陽。
一年生。
だが表情は変わらない。
初球。
スクイズの構え。
相手内野陣が前へ出る。
その瞬間。
バットを引く。
セーフティーバスター。
打球は一、二塁間。
転がる。
二者生還。
逆転。
3対2。
柳城ベンチ総立ち。
舞はベンチで思わず涙を拭く。
九回裏。
最後の守り。
二死二塁。
一打同点。
打席は四番。
球場が静まり返る。
塁は深呼吸する。
史陽がショートから声を飛ばす。
「来い!」
塁は頷く。
投げた。
渾身のストレート。
打球はショートへ。
史陽が前へ出る。
捕球。
一塁送球。
アウト。
ゲームセット。
柳城高校 3―2 筑紫台学院。
優勝。
そして――
甲子園出場決定。
本当に掴んだ夏だった。
柳城ベンチが一気に飛び出す。
塁はその場へ座り込む。
史陽が笑いながら頭を叩く。
柴田は空を見上げていた。
去年。
先輩たちは、この場所へ行けなかった。
勝っても届かなかった。
だからこそ。
今年の甲子園には、去年の思いも背負って行く。
福間監督は静かに帽子を取る。
ようやく。
柳城高校は、本当の意味で甲子園へ帰る。
第47話 終
コメント
2件

ありがとうございます その感想で コレからも頑張れます
第47話、お疲れ様でした!スクイズフェイクからのセーフティバスター、めっちゃ痺れましたね…!一年生の史陽が逆転打でチームを甲子園に連れて行く展開、熱すぎます🔥去年の悔しさを背負った福間監督の「今年は今年や」もグッときたし、塁が悔しさから柴田主将の一言で立ち直るシーン、すごくリアルでした。決勝の舞台、最高でした!