テラーノベル
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82
春千夜
21
#40✕✕年
#へたくそだけど許して
結月
1,613
陽翔からのLINEは毎日届いた。
「今日は何食べた?」
「今から出勤だよー」
そんな些細なやり取りばかりだった。
わたしも今日あった出来事や、学校でのことを返す。
そんな何気ない会話が、いつの間にか日課になっていた。
嬉しいことがあれば一番に伝えたくなったし、嫌なことがあれば聞いてほしくなった。
陽翔も愚痴や嬉しかったことを話してくれて、お互いの毎日を少しずつ共有していく。
それが楽しかった。
陽翔の仕事が終わる午前一時まで起きている日もあった。
時々電話をして、気付けば二時間近く話していることもあった。
会いたい。
こんなふうに誰かを思ったのは初めてだった。
陽翔との時間が、わたしの一日の楽しみになっていた。
そんなある日、陽翔からLINEが届く。
『今度はカフェでも行って、ゆっくり話したいね。』
もちろん返事は決まっていた。
ホスト相手に「会いたい」なんて、自分から言う勇気はなかった。
だから陽翔の方から誘ってくれたことが、ただただ嬉しかった。
そして約束の日。
待ち合わせ場所には、スマホを見ながら柱にもたれている陽翔がいた。
深呼吸をして声をかける。
「おまたせ!」
「お、やっほー」
陽翔はにこっと笑って、わたしの歩幅に合わせるように歩き出した。
そのまま二人でカフェへ入る。
ドリンクが運ばれてくると、陽翔が口を開いた。
「今日出勤だから、十九時までしか一緒にいられないんだ。ごめんね。」
「大丈夫だよ」
むしろ、出勤前の貴重な時間をわたしに使ってくれたことが申し訳なかった。
会話の内容は他愛もないものばかりだった。
でも話せば話すほど、わたしは陽翔のことを何も知らないんだと気付かされる。
陽翔はわたしのひとつ年上で、大学に通いながらホストをしていた。
目の前で穏やかに笑うこの人が、夜になると歌舞伎町でホストになる。
どうしても、その姿だけは想像できなかった。
「あっ、そうだ」
陽翔は何か思い出したように言う。
「着いてきてほしいところがあるんだよね。」
コメント
1件
うわあ、もうドキドキしちゃいますね……! 毎日のLINEから「会いたい」って気持ちが自然に育っていく過程、すごく丁寧で、こちらまで温かい気持ちになりました。陽翔くんからのカフェのお誘い、しかも「出勤前の貴重な時間をわざわざ」っていう細やかな気遣いが伝わってくるのがいいなあ。 でも最後の「着いてきてほしいところ」——これ、何だろ。陽翔さんのもう一つの顔が見えそうで、ちょっと怖いような、でも気になるような。続きがすごく気になります!