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82
春千夜
21
#40✕✕年
#へたくそだけど許して
結月
1,613
「ここ!」
陽翔に連れてこられたのは、ドラッグストアだった。
「カラコンつけてみたくて、選んでほしいんだよね。」
「あ、そういうことか。」
「女の子の意見聞きたいし。」
店内に並ぶカラコンを一つひとつ見比べる。
陽翔の希望を聞きながら、似合いそうなものを手に取っていく。
嬉しかった。
大学に通っていて、ホストとして働いている陽翔の周りには、きっと女の子なんてたくさんいる。
それなのに、こうしてわたしに選んでほしいと言ってくれた。
そのことがどうしようもなく嬉しかった。
「これとか似合いそう。」
「え、ほんと?じゃあこれにしようかな。」
無邪気に笑う陽翔を見ていると、自然とわたしまで笑顔になる。
カフェで他愛もない話をして、一緒に買い物をして。
これがデートというものなんだと初めて知った。
心の底から楽しかった。
けれど、楽しい時間ほどあっという間に過ぎてしまう。
気付けば、もう別れる時間だった。
二人で歌舞伎町を歩く。
一人なら怖いこの街も、陽翔と一緒なら少しも怖くなかった。
「あ、湊さん!おはようございます!」
突然聞こえた声に足が止まる。
湊さん。
その呼び方に胸がざわついた。
夏々もそう呼んでいた。
そうだ。
この人は”陽翔”じゃなくて、夜になれば”湊”になる。
「お疲れ。今日も出勤?」
「はい!湊さんもですよね!」
さっきまで隣で笑っていた陽翔が、一瞬で知らない人になった気がして、胸がざわついた。
彩葉を駅まで見送ると、陽翔は店へ向かった。
エレベーターを降りると、さっき声を掛けてきた後輩が笑いながら近付いてくる。
「さっきの子、同伴っすか?店で見たことないですけど」
陽翔はネクタイを整えながら首を横に振った。
「違うよ、お店とは関係ない。」
それだけ言ってロッカーへ向かう。
後輩は「珍しいなぁ」と小さく笑っていた。
陽翔は何も答えない。
ロッカーの鏡に映る自分を見る。
昼間の自分と、夜の自分。
スーツを整えた瞬間、“陽翔”は消え、“湊”になる。
「よし。」
そう呟いて、フロアへ向かった。
コメント
1件
みいちゃん、第6話読んだよ〜!!🌸 カラコン選びに「女の子の意見聞きたい」って陽翔が言ってくれたシーン、彩葉ちゃんの嬉しさがすごく伝わってきてこっちまでニヤけた😭💕 デート感覚の買い物、尊すぎ…… でも夜の街で「湊さん」って呼ばれて陽翔が一瞬で别人になるギャップが切なすぎる!! スーツ整えた瞬間に"陽翔"が消える描写、エモくて胸がぎゅってなったよ……次の話が気になりすぎる〜!!✨