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「みんな、大変。花月が…。」
「どうした…?」
「花月の首に、牙の跡が…。」
「誰かが吸っちゃったのかしら?もう、思春期っていやね。」
「冗談を言っている場合ではありません。発熱、発汗、わずかに痙攣もしています。それに牙の跡というよりは赤い斑点のような…。」
「赤い斑点ですって!?早くソファに花月チャンを寝かせて。」
血相を変え焦る泰揮…こんな泰揮、初めて見た。
「泰揮、どうしました?」
「早くしないと命にかかわる。」
「何か知っているんですね…?」
「話はあとだ。聖、毛布を持ってこい。劉磨は氷嚢とお湯の準備を。俺は薬を持ってくる。」
てきぱきと泰揮が指示を出す。泰揮がいつもとは違う男口調になるのは、感情が昂ったときだけ。
誰一人状況が分からずただ従う。
「僕と悠夜は?」
「悠夜は5分おきに脈をはかって。奏は…奏クンは、花月チャンを励ましてあげて。」
それだけ言うと泰揮は研究室へ行ってしまった。
みんなが役割を与えられた中僕に与えられたのは役に立てないこと。こういうときいつも僕は何もできない。
花月を1人で運ぶこともできなくて……僕は…なんて役立たずなんだ。
「…なで、奏。」
「はっ…ごめん、悠夜。」
「奏、しっかりしなさい。今は落ち込んでいる場合ではありません、彼女を元気づけることができるのは、彼女のことを強く想う貴方だけでしょう。」
「う、うん。分かった。」