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父信虎が溺愛していた弟の存在を思い出してください。
この弟、名を信繁といいます。
想像してみてください。
父の支持を得て、信繁は兄にかわって武田家を継ぐこともできたという立場です。
ですが、この信繁、兄晴信の忠実な臣として生涯を兄に仕え、川中島の戦いで戦死しているのです。
父信虎追放時は十六歳でした。
そうですね、今でいう中二病を少し過ぎたあたりで……人によっては未だ中二病の真っ最中といったお年ごろです。
追放された父を助け自分が家督を継いで、さらに上洛してパワーを得て悪と戦い世界を救う、なんて夢想をしていてもおかしくない年代ですね。
秘められし漆黒の何とかが蘇りし闇の幻影で……まぁ、そういう何とかを夢見たりするアレです。
しかし信繁は事件後、いちはやく晴信の支持を表明します。
これを、賢明な判断だという簡単な言葉ですませてしまってよいのでしょうか。
ここにひとつの仮説が成り立ちます。
ええ、信繁黒幕説です。
父に可愛がられていた信繁は、実は兄晴信に言い得ぬ想いを抱いていたのです。
四百年の時を経て現代人からも人気のある武田信玄(晴信)です。
ずっとそばにいた弟から慕われていても何もおかしくありません。
幼かったあのころ、庭で転んで涙目になっている兄晴信(そのころは太郎という幼名でした)を、信繁(幼名次郎)はニヤッとしながら見守っていたかもしれません。
キュンと胸が高鳴ったかもしれませんね。
父に疎まれて悲し気な兄。
人知れず涙を流す兄を物陰から見つめ、悶えていたかもしれません。
時にわざと兄を苛めたり挑発することもあったでしょう。
BL学においては兄を慕う……兄を異様に慕う弟とは策略家という側面を持っているケースが実に多いものです。
その弟が、兄を守るために画策した事件。
父親の追放劇という大それた行為ですが、ここにきて信繁の当時の年齢が効いてきます。
十六歳──中二病の後半期。
何をやらかしてもおかしくないお年ごろではありませんか。
歴史上は晴信による父追放と位置付けられている出来事ですが、その実、兄を慕う信繁の父親への裏切りなのではないかというのがBL学的新説です。
あくまで個人的見解ですが、戦死するまでのあいだ忠実に兄に仕えた信繁は、最後まで想いを内に秘めていたのではないでしょうか。
兄のためなら己の手を汚すことも厭わない信繁。
しかし恋に臆病だった彼は、自らの想いを胸にしまっていたのだと思うのです。
彼がもう少し腹黒ければ戦死することもなかったし、兄を我が手にしていたかもしれません。
BL学ではこのように史実の間隙をついた出来事を推察する力も求められるのです。
この能力を駆使すれば小論分の問題も怖くありません。
BL検定攻略に、もっとも求められる力といっても過言ではないでしょう。
大切なのは「妄想力」です。
ええ、みなさんの素質は無限大だと信じています。