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41 - 第41話 20,000貸して40,000返金?

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2025年07月04日

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心はどこか醒めているのに、カラダは熱く反応した。私は翔馬といるとただのメスになってしまう。それは、日常から離れられるひとときで素敵な時間だった、お金のことがあるまでは。


シャワーを浴びて、身支度を整えて、それからきちんと話すことにした。翔馬のことが好きだということと、お金のことはできれば分けて考えたかった。お金さえ返してくれれば、たまに会ってこんなふうに抱かれることは、私を女として存在させてくれるのだから。


「あの…あのね」


気だるそうにタバコをつける翔馬に、なんとかお金の話をしようとする。


「なに?」


「あ、これ、スマホ料金ね」


財布から2万円を出してテーブルに置いた。


「ありがとう、これでスマホを止められずに済むよ」


「…うん、よかった」


このあと、どうやって話をしようか?お金を返してくれる目処は立っているのか、訊くべきか…。翔馬は私が出した2万円を財布にしまった。


「そうだ、これ!」


何かを思い出したように、財布から封筒を取り出して私の前に置いた。


「これ、何?」


「これまで借りてたお金の、ほんの一部だけど。これだけ用意できたから返しておこうと思って」


「え?どういうこと?」


「ミハル、不安でしょ?俺がちゃんと金を返さないんじゃないかって。だから、ちょっとでも返せる時に返しておこうと思ってね」


封筒を見たら、4万入っていた。


「返してくれるの?これ」


「少なくてごめん、残りも必ず返すから」


「うん」


その時なんとなく違和感があったけど、少しでも返済してくれたことがうれしかった。


___やっぱり翔馬は詐欺なんかじゃない


私が好きになった男は、悪い男じゃなかったと確信できてホッとしていた。


「ランチ、行こうか?」


私は返してもらったお金で、少しいいランチを食べようと提案した。


「じゃあ、焼肉が食べたいな」


「わかった。翔馬はこの辺り詳しいでしょ?案内してくれる?」


「いいよ、知ってる店がある」


「ご馳走するね」


「ありがとう、ミハル。最近いいもの食べてないからうれしいよ」


そしてまた抱きしめられた。


「愛してるよ、ミハル。ねぇ、もう一回、ダメ?」


言葉は甘いのに、服を着たまま強引に後ろから入ってきた。


「あ、そんな…ダメ…」


言葉とは裏腹に受け入れる私は、翔馬の“愛してる”にすがっていた。


___お金を返してくれる



100万ほどのうちの4万なのに、安心してしまった。これがどういう意味を持つのか、後日、美和子に言われて初めて知った…。







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