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 翔馬と会った次の日。私の代わりに仕事を延長してもらった美和子を探して、お礼を言おうと思った。
 「あ、いた!美和子さん!」
 「おっはよー、駒井っち!用事は済んだ?」
 「はい、昨日はありがとうございました。おかげでなんとか…」
 お金も返してもらえそうだし、翔馬ともこのまま続けられそうでひとまず安心したし。
 ___そうだ、美和子さんに話を聞いてもらおうと思ってたんだ
 「そうか。よかった。一昨日はなんだか思い詰めた感じに見えたから、ものすごいトラブルでもあったかと思ってたんだよ」
 心配してくれてたんだ、隠していても見破られていたことを知った。
 ___やっぱり、美和子さんなら話してもいいかも
 
 「あの…ちょっと話を聞いてほしいんですけど。あ、美和子さんさえよければだけど」
 「私に?いいけど。今週はずっと予定があるから、来週でもいい?」
 「じゃあ、時間があるときに、お願いします」
 「了解!さ、今日も仕事がんばろ!」
 「はい」
 美和子には男友達がいると言っていた。もしかしたら友達じゃなくて、私と翔馬のような関係かもしれない。そしたら同じような立場で話が合うかも。
私はまるで高校生が恋バナでもするくらいの感覚でいた。
 ___翔馬の写真見せたら、イケメンだって羨ましがられるかな?
 どうでもいいことを、あれこれ想像してしまう。今の私はそれくらい気持ちに余裕ができたということだ。
 昼休みに翔馬から届いたLINEには、東京へ行ってるという内容が書いてあった。高速バスの移動ですごく疲れたと。
私にもっとお金があれば、新幹線で移動できるのにと思うが、もう私にはお金がない。あとは翔馬がトラブルを片付けて、お金を返してくれるのを待つだけだ。
 《知り合いを頼って、なんとか東京でケリをつけたいと思ってる。そしたらお金も返せるし、もっとミハルと自由に会えるから。待ってて。愛してるよ、ミハル》
 〈うん、待ってる。でもなんだか怖い気もするから気をつけて。私も愛してる〉
 あと少し。あと少しすれば解決してお金を返してもらって、生活費から使い込んだお金も戻せる。そう思ったら、気持ちが軽くなった。
 それからも翔馬とのLINEは続いて、また電話での声だけのセックスもしてしまった。今度は私もそれなりに感じてしまって、自分でも驚いた。
 次の週末。
美和子が“話しやすい場所があるから”
と、公営団地に連れて行ってくれた。友人が仕事のために借りてる部屋だけど、昼間は自由に使っていいことになってるとか。
 「上がって。何にもないけど、お茶くらいならあるし。ここなら周りを気にしないでおしゃべりできるよー!」
 「お邪魔しまーす。あ、すごい!テラスがなんだかリゾートみたいになってる!」
 少し広めのテラスには、ベンチとハンモックとテーブルがあった。サボテンや植木も少しあって、楽しそうな場所だ。
 「天気がいいから、ここでお茶にしよっか」
 トレイにアイスコーヒーを二つ、美和子が用意してくれた。コーヒーを飲み、一息ついてから少しずつ話すことにした。【花開く】というサイトで知り合った翔馬のことを。