テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
病院の近くにあるフレンチレストランで、私達はお昼を食べた。
「しっかり食べなよ。好きなものは俺の分も食べていいから」
いつにも増して 陸斗は私を気遣ってくれる。
私は牛フィレ肉のステーキを小さく切って、口に入れた。
「ん〜、おいしい! お肉柔らかぁ〜」
陸斗を見ると クールな表情でパンをちぎり、口の中に放り込みながら黙々と食べている。
彼は時々、遠い目をする。
まるで 心ここにあらず…みたいな。
「仕事、忙しい?」
私はわかりきっている質問を、陸斗に投げかけた。
「そりゃまあ、ね。休憩時間でも 考えないといけないことだらけだから… あ、それより 子供ができたって、お義父さんはもう知ってるの?」
「まだ知らないよ。帰ってから話すつもり」
「今から行く? 瀬里香の家に。お義父さんに、報告をしに…」
「えっ? 午後から病棟を回るんじゃないの?」
「今 目が離せない程 |重篤《じゅうとく》な患者もいないし、時間なら作れるよ。早いほうがいいんじゃない? 一緒に行って、喜びの報告をしようよ」
「まあ、私は別にいいけど…」
大事な仕事を後回しにしてまで 、なぜ そんなに急ぐのか その時の私には わからなかった。
#狂愛
柏木さくら
3,581
臣桜
213
90
コメント
1件
ええ〜、今回のエピソード、なんかすごく気になる終わり方だった! 陸斗くんの「遠い目」が気になるし、仕事後回しにしてまで急いで報告行こうとするの、なんでなんだろ… 妊娠したって報告、お義父さんが喜ぶだけじゃ終わらなさそうな雰囲気がヒヤッとする。ステーキの描写と、クールな表情で黙々と食べる陸斗くんの対比が印象的だったわ。次どうなるんだろ!