キキーッ ドコーン
そういう音だけが聞こえた。
振り返ったら、もう”お前”はいなかった。
ー数分前ー
ミンミンミンミンミーン
暑さとセミの鳴き声がとても鬱陶しい夏だ。
でも”お前”を見てると、なんだか夏もいいんじゃねーかと思った。
「おーい、奏斗!」
「なんだよ」
「あそこまで競走な!」
「ふふっ…おう!」
「よーいどん!」
「なんで…!」
「起きろよ、莉久」
嫌だ、死んで欲しくない。まだもっと一緒にいたい。
俺は中学ん時から人付き合いが嫌いで、親友いや、友達すらできたことなかった。
「おい奏斗、お前友達できたことねーんだろ?w」
「くくっ、かわいそーなやつw」
だから、嫌いなんだ。
「ほっとけよ…」
「なんだなんだ、奏斗くん弱弱モードか?w」
「ッ…」
「おいやめろよ」
「あ?」
「そんなことして何が楽しいんだ」
「うるせーな、関係ねぇだろ」
「そんなことどーでもいい。俺はそんなことして何が楽しいんだって聞いてんだよ!!」
「な、なんだよ。ちょっとからかってただけじゃねーか」
「ふっ、しょーもなw」
「は、はぁ?!」
「さっさと去れよ」
「チッ、はいはい」
初めてできた唯一の友達だった。
「なんで、俺置いて先行っちゃうんだよ…」
「おーい、奏斗!」
莉久…? なんで?今目の前で死んだはずじゃ…?
「なんだよ、その目。なんかあったのか?」
「いや、お前死んだはずじゃ…?」
「勝手に殺すなよ?!」
どういうことだ。あれは夢か?それともこれが夢か?
「これって、夢だよな…。そーだ、きっと現実に似た夢だ!」
バチンッ
「痛ってぇ?!」
「じゃあ、夢じゃねーな!」
「は?」
なんで…?じゃあ目の前で轢かれたのが夢?
わかんねぇけど、またこいつといれる…
「ふっ…」
「なんだよ~気持ちわりぃぞ~」
「うるせ」
プルルルル
「はい、山瀬です」
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