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今では私(わたくし)こと、欧州連合のドール、欧華のお気に入りの場所になっている温室で数多の植物を眺めながら、紅茶を飲み、甘いマカロンを口の中に入れる。
 心の声がタメ口になったのはあの人の側で過ごしていたからかな、なんて思いながら、又一つ、マカロンを口の中に入れる。
 このマカロンは、フランスパ、、、フランスのドールである仏華がこの前差し入れにと、持って来た物だ。確か、ローズ味だとか言っていた。
 ローズ味のマカロン、始めは少し疑ったが、仏華の作るお菓子は美味しいし、と思って一つ食べ始めたら、薔薇の香りがふんわりと口の中に広がり、癒される。上に乗っているメレンゲは、薔薇の形をしており、赤、ピンク、空色、緑、白、黄色と色とりどり。
 「やっぱり、仏華はセンスが良いですね」
 私はそうボヤきながら今度はゆっくりと紅茶を飲む。
 温室の花々は、夕日に照らされ赤く染まっている。
 お菓子をもう一度揃え直して、夜のお茶会に招待した同類のドール達を待つ。
 「欧華ー。来たぞー」
 一番乗りはネーデルラント(オランダ)のドール、蘭華だ。
 私はこのドールの影響をよく受けている。言いたいことは言う主義になったのも彼女の影響だ。
 「蘭華さん、いらっしゃい」
 私はそう微笑んで言葉を返した。
 すると蘭華はムスッとした顔をして口を開いた。
 「私達の仲じゃないか。皆みたいに、『蘭ちゃん』って読んでくれても良いんだぞ?」
 「無理です」
 私はキッパリと断りました。
誰かと、深く関わると嫌なことが起きるから。彼女とは仲良くして居たいのに、それが、私は出来ない。
 「今日も断られたー。ショックー」
 棒読みで蘭華はそう言いながらナチュラルに私の席の隣に座ってマカロンを一つ、口の中に放り投げた。
 そんな事も今となってはもう日常で、恒例でもある。
 イギリス産の紅茶をゆっくりと飲み、ふと、温室に咲き誇る花々に目が行った。
 生まれた時最初に見たチューリップ、蘭華と共に見たライラック、日本国へ行った時に見た藤の花、優雅に咲いている薔薇、そして、お茶会にピッタリのシラン。
 このお花達全てが私の過去を知っている、象徴している様な花々だ。
 「それにしても、今日は予定より随分と早く来たんですね」
 私の隣に座っている蘭華にさっき思った事を言う。
 「あ〜、なんかさ、欧華と昔話したくなっちゃってさ〜」
 蘭華は照れたようにでも、ヘラヘラと笑いながらそう言う。
 私の昔話、ですか。