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アダルトチルドレン、それになったのに気付いたのは最近だ。
視点:須藤亜樹
「なんなんだよ!お前!」
バシッ、そんな音が部屋の中に木霊する。それと同時に僕の腕に鈍い痛みがくる。
「ウグッ…」
「邪魔なんだよ!いっつもオドオドしやがって!」
「…..」
「あぁ!イライラする!お前今日と明日飯食うなよ!」
そう言って家にある食料品を全て持って父は家を出ていった。まぁ、飯を持って行かれたところでろくに量もないからな、そう頭の中で父のことを皮肉る。どこに行ったのだろうと数秒ほど考え、新しくできた彼女のところか、と納得する。まぁそんな事はどうでもいいのだ。今日は、早く..寝…zzZ
そんな事があったのが、昨日の夜だ。
「おはよ!亜樹!」
この明るく人当たりのいい声はあいつしかいないだろう、そう思いながら後ろを向く。
「あぁおはよう、有栖。」
「何かラッキーなことあった!?」
「なぜそれを唐突に聞く。 朝一番ですぐにラッキーがあると思うか?」
こいつは幼馴染である愛染優里(あいぞめゆうり)だ。先ほどのように唐突にどうでもいい話題を吹っ掛けてくる。幼稚園からずっと一緒にいるが、僕が虐待を受けているのは教えていない、というより教えたくないのだ。とにかくお節介なのだ。虐待の解決が出来るとは思っていないが。
学校に着き、準備をする。すると勢いよく教室の扉が開く。何人かが扉の方へ顔を向け、すぐまた元の場所に視線を戻す。
「おっはよう!亜樹!」
「おはよ、陽聡。」
このバカみたいに元気がいいのが、斎藤陽聡(さいとうひさと)である。クラスのムードメーカーであり、学校中の女子からバカみたいにモテる。クラスで浮いていた僕に唯一話しかけてきてくれたいいやつである。と、陽聡が腕を掴みこちらへ引き寄せる。
「痛っ、」
思わずそんな言葉がこぼれる。
「ん?どした?」
陽聡は気付いていないようだった。
「あぁ、何でもない。」
「おぉ、そっか。」
「なぁ!昨日のスユキの配信見た!?めっちゃ面白かったぞ!」
「だから、Toutube(トウチューブ)見れないって言ってんだろ。何回言えば分かるんだ。」
「あ、そっか!」
「嫌味か、おい」
「ちげぇよ!じゃあ今見ようぜ!イヤホンも貸してやるからさ!」
「イヤホンごとき条件に出すもんじゃないと思うがな、まぁいいや、この前の配信面白かったしな。」
「よっしゃ!」
相も変わらず落ち着きがないやつだ、だがその人間性に僕は少なからず救われたのだろう。
それから10分ほどToutubeを見ているとホームルームの合図の鐘がなる。
「はい、おはよう、今日は月曜日だ!週明けでだるいかもしれんが、気を張って生活するんだぞ!」
この人が僕の担任の登先生だ。
「じゃあ出席とるぞ〜…須藤!」
「はい」
そんな気の抜けた返事をする。
「…はい!出席確認終わり!じゃあこれでホームルーム終わるぞ〜、あ、そうだ、須藤!ホームルーム終わったらちょっと来てくれ!」
「ん、あっ、えっ、あぁ、はい、」
いきなり呼ばれ、少し戸惑いながら返事をする。
「おい、何したんだよ亜樹、」
小声で陽聡が聞いてくる。
「僕もわかんないよ、」
僕も小声でそう返す。
「じゃあ、ホームルーム終わり!各自一限の用意をするように!」
そう先生が言い、ホームルームが終わる。僕は呼ばれた通り先生の元へ行った。
「あの、先生、僕何かしましたっけ?」
開口一番出る言葉がこれであった。自分が怒られないか心配な自分が嫌になってくる。
「あぁ、いや悪いことではないんだ、ただ三者面談の話でな。須藤だけ日時の希望表をもらってないんだ。」
そういう事か、と心の中で納得する。
「親は…来れないと思います…」
「そうかぁ..参ったなぁ、じゃあ、二者面談をしてその報告をプリントにして、須藤に渡すから、親に渡してくれないか?」
「はぁ…わかりました…」
そんな曖昧な返事をする。
「じゃあよろしくな!」
親に渡してくれ、と言われても渡せないのだ。目があったら睨まれ、殴られる。最悪昨日のように飯が食えなくなる可能性だってある。
「なんだったんだよ?」
陽聡がニヤニヤしながら聞いてくる。
「あぁ、三者面談面談の希望票の話だよ、それ以外は特になし、悪いことはなんもしてないよ。残念だったな。」
「ちぇ〜つまんねぇの〜」
「スユキの配信一緒に見ねぇぞ?」
「あぁ!ごめんってば!対等に喋れるのお前だけなんだよ!」
「嘘嘘、冗談だよ」
その言葉に陽聡は安堵したようだ。
「だけど人を揶揄うのも大概にしとけよ?」
「もっちろんよ!」
何回このやり取りをした事か、結局直さないのが陽聡である。だが、その明るい雰囲気が彼がモテる理由なのだろう、と勝手に納得した。
そんなこんなで今日の学校があり、優里 と一緒に下校する。
「ねぇ!何かいいことあった?」
「特に何も、あ、優里 に会えた事かな。」
一気に優里の顔が赤くなる
「え、えへへぇ〜//嬉しいなぁ〜//」
「冗談だって言ったら?」
「ひどっ!」
と、口では言っておきながら優里は笑っている。釣られて僕も笑ってしまった。
あぁ、可愛いなぁ、ずっとこんな時間が流れればいいのになぁと思って途中でそんな夢想をやめる。
今、こんなことを考えたところで意味がないのだ。
「じゃあね!また明日!」
そう言い優里は僕と反対の道を歩いていく。
「ああじゃあ、また明日」
そう挨拶を交わし、僕と優里はそれぞれの帰路についた。