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― rbr視点 ―
司令部の灯りが落ちた後も、俺の机だけは明るかった。
「悪い!rbr、これも頼むわぁ」
そう言って、同じ司令部隊長の ut が無造作に書類の束を置いていったのは、すでに日付が変わった頃だった。
「……徹夜確定か」
愚痴をこぼしながらも、断らなかったのは自分の責任だ。
集中していた、その瞬間だった。
背中に、鋭い衝撃。
一瞬、息が詰まり、視界が白く弾けた。
声を上げる間もなく、身体の力が抜けていく。
(……スタン、ガン……?)
床に倒れる直前、誰かの靴音と、書類が散らばる音だけが聞こえた。
目を覚ました時、俺は見知らぬ白い部屋にいた。
手首と足首は拘束され、壁の鎖が冷たく鳴る。
「ここは……」
答えは返らない。
代わりに、淡々とした手順で薬剤が投与され、記録が取られていった。
時間の感覚は失われ、
「何日経ったのか」すら分からなくなった頃、
俺はもう、自分がどこまで耐えられるのかも分からなくなっていた。
― sm視点 ―
本来、この潜入任務は wt国 偵察・潜入部隊長 shk の担当だった。
「悪い、今どうしても手が離せんから、」
通信越しの shk の声は、本当に余裕がなかった。
だから代わりに行くと決めたのは、司令部隊長である俺自身だ。
単独潜入。
施設の外観、警備ルート、内部カメラ――確認は順調だった。
だが、モニターに映った“それ”を見た瞬間、思考が止まった。
鎖に繋がれ、椅子に座らされている男。
資料で何度も見た顔。
「……wrwrd国の rbr」
敵国の幹部。
本来なら、関与すべきではない存在。
それでも――
(見なかったことにできるか?)
侵入はすぐに察知された。
警報、足音、閉じていくシャッター。
俺は迷わず施設内部へ向かった。
拘束を外した rbr は、まともに立てる状態じゃなかった。
それでも、彼は俺を見て、かすかに目を見開いた。
「……wt、国……?」
「説明は後だ。掴まれ」
脱出経路は封鎖され、銃声が近づく。
回避しきれなかった衝撃が走り、視界が揺れた。
それでも足を止めなかったのは、
ここで彼を置いていく選択肢が、最初から無かったからだ。
― rbr視点 ―
誰かに抱えられている感覚だけが、やけに現実的だった。
「……なんで……敵国が……」
問いかけは、声にならなかったかもしれない。
それでも、彼は短く答えた。
「たまたまだ」
その一言が、なぜかやけに心に残った。
wt国へ戻った後、俺は医療区画へ運ばれた。
医療部隊長 kr の冷静な声が聞こえる。
「薬物反応あり。慎重に処置する」
sm も相当な負傷をしていたはずなのに、
彼は最後まで状況報告を終えるまで横にならなかったらしい。
数日後。
ntjo国を経由し、俺は wrwrd国へ戻された。
司令室には、
ut、tn、kn、、zm、shp、sho、os、em、―― そしてgr
幹部……いや、全員が揃っていた。
「……戻ってきたな、rbr」
grのその一言に、俺はただ頷いた。
後日、正式な会談の場で、wt国から提案が出された。
「今回の件を機に、同盟を結ばないか」
一瞬の沈黙の後、wrwrd国の総統……grはそれを受け入れた。
攫われた夜から始まった出来事は、
国と国の関係すら変えてしまった。
そして俺は知っている。
あの施設から出られたのは、
“偶然そこにいた司令部隊長”が、手を伸ばしたからだということを。