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【能力者名】栗毛色あるは
【能力名】 わたしのR
《タイプ:友好型》
【能力】 自殺衝動を吸い取る能力
【以下、細菌たちの記録】
「ありがとうございます。あるは先輩
………(すすり泣く女子高生の声)。」
「ん、じゃあ次。」
昼休み、米津高校二年A組の教室に
卒塔婆の群れのようにしにたいやつらが並ぶ。
私はやつらのどうでもいい話を
昼休み中ずっとメロンパンを齧りながら
聞いていた。
私の名前は栗毛色あるは、自殺衝動を吸い取る能力【わたしのR】を持つ可愛い可愛い
高校二年生女子だ。
こんなくっっだらない能力を 得たせいで、私は昼休みの間ずっと、こんなカウンセラーまがいのことをさせられているのだ。
おかげで今日も私のおなかは 自殺衝動と
メロンパンでパンパンであった。
【心の中でクソデカ溜め息をもらす】
………あーあ、どうせ能力者になるなら
『おっぱいが大きくなる能力』とかの方が
よかったなー。
今からでも
『おっぱいが大きくなる能力』に能力
変わんないかなー。
うるせー、誰の胸がまな板だ。
…….誰も言ってないかー。
へーへーどうせ私はモノローグのうるさい
内心やかまし女ですよーだ。
はーああーーー。
……..しにてぇーーーー。
私がそんなくっだらないことを考えてる間も
私はずっと今並んでる死にたがりどもの
自殺衝動を吸い続けているのだ。
………なんか自殺衝動吸いすぎて
ノリで二郎系ラーメンに頼んで後悔した時
みたいになってるわ今…….。
……それにしても、今週はいつもより人が
多いな…….。あれか?小テストで赤点取ったらあの ロカ先生に能力とられるからか?さっきから 聞き流してる相談者達の話も
「能力取られたらフォロワー減っちゃう。」
「お母さんに怒られたくないどうしよう。」
「勉強しようとすると熱が出る ……。」
みたいな勉強がらみの相談が多いもんなー。
そっかぁ、赤点とったら能力取られんのかー。
…….いっそ、赤点取ってこの能力とおさらばしよっかなー。
だってまーじでしんどいもん、こうやって自殺衝動吸い続けてるの。
毎日ブラック企業でパワハラ受けてる
おっさんってこんな気分なんだろうなーーー。
…….赤点とろっかなーー?
私かなしいことに そこそこ頭がいいからなー。
わざと赤点とっちゃうかぁー?
そんでロカ先生に 《わたしのR》壊してもらっちゃうかー?
私がそんなことを考えていたら、
「あるはちゃーん。」
と私の斜め後ろの席から、同じクラスの
姉ヶ崎茜色の声がした。
「お疲れさまー、差し入れ持ってきたよー。」
姉ケ崎は時々、私にこうやって差し入れを
届けにくるのだ。
流石は《みんなのおねえちゃん》。
あーいうやつがモテるんだろうなー?
胸もEカップあるらしいしなァー。
あーあ、 世の中って不ッ平等だよなーーー。
しにてーー。
「あぁおねぇ…..姉ヶ崎ありがと、そこら
へんに置いといて。」
「いつもお疲れさまー。はい、これ野菜ジュースとあるはちゃんの好きな蜜柑ね。しっかり《クーネル•エンゲーザー》で
冷やしといたよー。」
そうやって姉ヶ崎はビニール袋に入った
紫の野菜ジュースと蜜柑を私に見せた。
「……どうせなら、ポッキーとかの方がいいんだけど。」
「だーめ。あるはちゃんお昼に菓子パンしか
食べないんだから、ちゃんとビタミンとらなきゃだよー?」
「あんたは私のお母さんかァ?」
「おねえちゃんだよー。」
そう言って姉ヶ崎はムフーっと胸を張った。
おねえちゃんでもねぇだろうが、と私は
心の中でツッコミをした。
そして姉ヶ崎が私に耳を近づけて言った。
「実は、隣のクラスのシリアスブレイカー くん、最近元気ないんだって ……。よかったら相談に乗ってあげてほしいな。」
その言葉に私は思わず席を立った!!!
そしてまだ並んでる卒塔婆の群れども
に言った。
「ごめん!!!急用ができた!!!!今残ってるやつの相談は5限目の終わりか明日聞くから……!!!!」
私は急いで教室を出た。
「…..がんばれー。」
と、姉ヶ崎の声が聞こえたような気がした。
そう言って私は二年B組のシリアス ブレイカー様の元へとものすごい早歩きで 駆けつけた。
米津高校の廊下で走るとロカ先生に能力で
心を折られ能力を破壊されるからだ。
「君は…..クリリンか……?」
シリアスブレイカー様はとてもよわよわしい
声で私に言った。
シリアスブレイカー様からは ほんのすこし、わずかにだけど自殺衝動が 出ていた。
「あ、あのッ!!!!…….あの!!!!!私、話を聞くことしかできないけど!!!!!友達からシリアスブレイカー様がピンチだって聞いて….!!!それでッ……!! それで……..。」
教室がざわざわしていた。
私は、今にも泣き出しそうな顔で
シリアスブレイカー様の顔を見ていた。
私は冷静ではなかった。
私は怖かったのだ。
もし万が一、シリアスブレイカー様が私の
お父さんみたいに自殺してしまったらどうしようって。
シリアスブレイカー様はそんな私を見て、
ニカッと笑い、シリアスブレイカー様の能力
《ブリキノダンス》で鋼鉄の身体に変身した。
「やっぱり君は根っからのヒーローだな!!
実は来週のテストで絶対絶命のピンチなん だ!!!!!俺はものすごく勉強ができない!!!!
なぜなら馬 鹿 だ か ら !!!!
クリリン 、助けてくれ!!!!!!!!」
ものすごく堂々と、笑いながら、情けなく
シリアスブレイカー様は私に助けを求めた。
私はシリアスブレイカー様のほんのわずかな
自殺衝動を《わたしのR》で吸った。
そして放課後、 私はシリアスブレイカー様に勉強を教えることになったのである。
【運命の小テストまであと4日】
(最後まで読んでくださりありがとうございました。)