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【能力者名】恋原積木【能力名】 ???
《タイプ:友好型》
【能力】 ???
【以下、細菌達の記録】
(午後9時半、恋原表裏一体の部屋)
ピンクと白のしましまパジャマ姿の
表裏一体は自分の部屋でだらだら歴史の
教科書を読みながらクラスの女友達の
酒池肉林、白雪毒林檎、千代子令子、
能面組子と雑談していた。
「……ってかさー。ほんろにありえないよね
ーロカ先生、能力壊すってたぁいばつじゃ~ん?なーんで許されへるんらろうねー。」
表裏一体のスマホから酔っ払ったような
酒池肉林の声が聞こえた。
きっとまた自らの能力 《頓珍漢の宴》を使って酔っぱらってるの だろう。
「……でも、こわい能力者の人達やっつけて
くれるのは…..私みたいな無能力者としては嬉しいな……ロカ先生がいるからこの高校選んだってのもあるし…….。」
表裏一体のスマホから友達の白雪ちゃんの
眠たそうな声が聞こえた。
白雪ちゃんは 朝型人間なのでもうおねむなのだろう。
「うーん、能力使ってバレずにカンニングできないかなー?組子ちゃんの《ポーカーフェイス》でなんとかならないー?」
歴史の教科書すべての文に黄色いマーカーで
線を引きながら表裏一体は言った。
どうやらもう完全に勉強に飽きてるようである。
「私のような二軍女子を君達一軍の女子会に
呼んでもらってもうしわけないのだが、私の
《ポーカーフェイス》は私が愛用している
トランプを持った者同士でしかテレパシーで
会話できなくてね。おそらく先生達の目を盗むのは難しいだろうねぇ。」
やけに芝居がかった口調で能面組子は言った。
「別にいいよー☆ボク能力関係なしに組子ちゃんと仲良くなりたいもん!!」
「別に私ら一軍とか気にしてらいしねー。」
「うん、私も……能面ちゃんと仲良くなりたいな………。」
一年B組の一軍女子三人は口々にそう言った。
「ふふっ、それは光栄だね。今度一緒に大富豪でもやらないかい?」
組子は嬉しそうに言った。
「やるやるー能力ありがいいー☆」
「負けたら一枚服ぬごーぜぇ~。」
「林ちゃん、それは野球拳だよ。」
林のボケに千代子令子がツッコミを入れた。
「ってかさー、千代子ちゃん小テストの内容なんかしらなーい?」
クラス一軍の表裏一体がクラス二~三軍の
千代子令子に問いかけた。
「知らないよーあたしゃなーんもしらない。」
千代子はすっとぼけた。
「えー嘘だー絶対知ってる声だもんー☆
言えー、正直に白状しろー。」
表裏一体は適当にこないだみた刑事ドラマの
真似をしながら千代子に言った。
「あたしゃなーんもしらないよー。
私はただ『毎日板チョコをおいしく食べられる 能力』をもったチョコチョコの実の全身チョコ人間だよー。」
「うそだー☆」
「うそじゃないよー。」
嘘である。
千代子令子の真の能力は 《腐れ外道とチョコレゐト》。
彼女は板チョコを食べることでおよそ10分間、視界に入った人間のスマホの検索履歴を視ることが出来るのだ。
彼女はこの能力で古典のロカ先生以外の 全ての教員のスマホの履歴を視ていた。
更に ロカ先生以外の全てのPCをバレないように ハッキングし、すでに小テストの答えを知っていた。
このハッキング技術は能力ではなく、 彼女が親にすらバレないようこっそり勉強して 得た技術である。
そして千代子令子は慎重だった。
学園最強のロカ先生を警戒してロカ先生の情報は抜き取らず、能力を使っていることを 決して悟られないように得た情報は誰にも 教えなかった。
彼女はすでに古典以外の小テストの問題の
内容を全て手に入れていた。
彼女はこの小テストの情報戦 において他の能力者達よりも一歩先を 行っていた。
「でもチョコを毎日おいしく食べれる能力いいよなー。私の《頓珍漢の宴》と交換しようぜー。」
そんなことを露知らず酒池肉林は呑気に言った。
「いいねー、私も《頓珍漢の宴》ほしー。
大人ばっかお酒呑めるのずっるいよねー。」
と千代子は言った。
「ほんとほんと、私も早くお酒飲める大人の
女になりたいぜぇ~。」
と林はくだを巻くように言った。
「フッ、大人のオンナ、悪くない響きだねぇ。」
能面組子は無駄にカッコつけて言った。
「大人の女かぁ…….私もロカ先生みたいに
なりたいなぁ……..。」
白雪ちゃんがものすごく眠たそうな声で
そう言った。
「フワァ~☆そろそろ眠くなったから通話終わるねー、皆またねー。」
と表裏一体は言った。
「「「「まったねーー。」」」」
と残りの四人は口々に言った。
【通話の切れる音】
(さて……と。)
と再び表裏一体は歴史の教科書をパラパラ
めくった。
(あーーー、だーーめだ。全然覚えられないや。ボクどうでもいい人のことほんとに
覚えられないんだよねーー。)
恋原表裏一体は人を覚えるのが大の苦手だった。
自分の脳内にかわいくないものを入れたくないからである。
(うーん、でもロカ先生に勝てるビジョンも
浮かばないしなー。ボクの成績なら赤点は
取らないと思うけどあのロカ先生だし急に
テストの難易度を鬼アゲしてきても不思議じゃないよなー……。)
表裏一体は絶対に自分の持つ《裏表ラバーズ》 を壊されたくなかった。
彼女にとって能力は アイデンティティーであり、その能力を壊されることは頭を一生丸坊主にされるのと同義であった。
髪は彼女にとって命そのものだったし、
能力は彼女にとって魂そのものだったのだ。
(…….そうだ!!いいこと思い付いた☆)
表裏一体の頭にピコンと豆電球が点いた。
「パパーーー!!」
表裏一体は自分の部屋から父である恋原積木を呼び出した。
彫刻家である積木は自らのアトリエ部屋から猛ダッシュで表裏一体の部屋にやってきた。
「呼んだかいマイエンジェルコイィィン!!!!」
親バカである恋原積木は息を切らしながら
表裏一体に尋ねた。
「あのねーパパ、ボク次の歴史のテストで
良い点とりたいんだー☆だからちょっと
手伝ってー?」
「歴史かい?うーん、パパはただの彫刻家で
世界史ならほんのちょっとは教えれるけど…..。」
「あー違う違う、今歴史人物に興味なくて
全然覚えれないから困ってたの。だから」
「パパの能力で私の脳弄くって歴史人物達が
可愛く見えるようにして?」
きゃるん、と上目遣いで表裏一体は言った。
「……なぁんだそんなことかマイエンジェェル。それならパパに任せて……いくよ。
《ずれていく》。」
そう言って積木は表裏一体のこめかみを
指でやさしくトンッとした。
「あんっ♡」
脳を弄くられる快感に表裏一体は身体を
少し震わせた。
恋原積木の能力名は《ずれていく》、能力は
《認識をずらす能力》である。
この能力は彫刻家である積木の《新鮮なインスピレーションがほしい》という強い願いによって産み出された 能力である。
ただ、この能力、極めて繊細で危険な能力である。
少しでも能力のコントロールを間違えると脳に後遺症が残ってしまう。
そのため、能力使用の際は脳外科医の手術の ような莫大な集中力と繊細な能力調整が必要である。
そんな危険な能力をこの親子はまるで
親が子供に勉強を教えるような軽い気持ちで
使っているのだった。
「……こんな感じかな?どうだいマイエンジェル??」
「(歴史の教科書を見る)お?……おおおーーー!!!めっちゃかわいいじゃん卑弥呼ーー!!!!!
パパありがとう!!!!これなら全ページ覚えれちゃうかもーー!!!!」
そうやって恋原表裏一体は父親の積木に
ハグをした。
「ミッ…..ミッ……..!!!ミケランジェロォォォォ…….ッ..!!!!」
そう言って、恋原積木は涙を流して昇天した。
彼はヤバい薬はやってないし、この親子に
肉体関係は決してない。
念のため注記しておく。
こうして、歴史に興味を持った恋原表裏一体は ご機嫌に鼻歌を歌いながら歴史の教科書すべての文を黄色いマーカーで塗りつぶしていった。
【運命の小テストまであと3日】
(最後まで読んでくださりありがとうございました。)