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震える手を両手で押さえつけて、もう一度しっかりスマホを握る
「い・・・いつ?どこへ持って行けばいいの?」
柚彦君のお兄さん達が張り詰めた表情で答えを待つ、外は雨と風が吹いてきて、黒い空に閃光が走って嵐の予感がした
しかしどんな嵐よりも激しく乱れているのは私の心だった
「今夜0時!自然保護区域の公園に300万を持って来い!」
俊哉が言った
「警察に通報したら、お前の愛しい男がじわじわ苦しんで死ぬことになる、もちろんその前に俺の顎を砕いたお礼を、ちょっとばかりしてやるがな 」
スピーカーフォンから俊哉の笑い声が響く・・・全員がしかめっ面をして息を飲んで佇んでいる
信也さんが私を見て頷いた
「わかったわ・・・必ず持って行くから・・・」
さらに何か言おうとした所で電話は切れた
血液がドクドクと音を立てて全身をめぐっている、スマホを握りしめ、お兄さん達の顔を見つめる
誰でもいいから、どうすれば柚彦君を助けられるのか教えてほしかった
「ユズに何かあったら、この手でそいつを捕まえて八つ裂きにしてやる!」
レオさんが息まいて両手を握り拳にする
「落ち着け!レオ!」
「これが落ち着いていられるかっ!信兄達はユズがどうなってもいいのかよっ!」
バンッと、机を勢いよくレオさんが叩いた
「慌てるな!お前はもう少し血の気を抜く訓練をしろ、誰もユズが大事じゃないとは言っていない 」
健司さんが壁の方向を見つめて言った