康二side
「お疲れ様ー!」というメンバーたちの声が、ドアの向こうに消えていく。
一人になった楽屋は、急に温度が下がったように、ひどく寒く感じた。
俺はゆっくりと帰り支度を始める。…とっくに、覚悟はできていた。今日、この後、またAさんに呼び出されて、殴られるんだろうなって。
でも、それでよかった。
メンバーが楽屋を出ていってくれた時、心の底からホッとしたんだ。
🧡(よかった…これで、みんなに迷惑かけへんですむ)
これは、嘘偽りのない本心だった。俺一人が我慢すれば、それで丸く収まる。
Snow Manに傷がつくことだけは、絶対に避けなければいけない。
だからこれでいい。
これが一番いいんだ。
荷物をまとめ、楽屋の電気を消す。
ドアノブに手をかけ、外に出ようとした。
その時。
ガチャリ、と逆に外からドアが開かれた。
そこに立っていたのは、やっぱり、Aさんだった。ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべて、俺を見ている。
A「よう。お疲れさん」
ああ、また始まるんだ。そう思った。諦めと、少しの恐怖。でも、もう慣れてしまった。俺は黙って、次に浴びせられるであろう暴力に備えて、ギュッと目を瞑った。
でも、その時だった。
目を瞑った暗闇の中に、さっきまで一緒にいた、メンバーたちの笑顔が浮かんできた。
『康二、無理すんなよ』って言ってくれたふっかさん。
『ちゃんと飯食えよ』って、ぶっきらぼうにパンをくれたしょっぴー。
『大丈夫だから』って、強く手を握ってくれためめ。
なんで今、思い出すんやろ。
その瞬間、諦めていたはずの心の奥底から、小さな、本当に小さな声が聞こえた気がした。
🧡(…たすけて…)
生まれて初めて、そう思った。誰かに、助けてほしいと。
でも、そんな声が届くはずもない。俺は、溢れそうになる涙をこらえるように、さらに強く、目を瞑った。
コメント
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ようやく康二から助けてって気持ちが出てきたーー!!! 大丈夫!待っててこーじ! みんな頑張れ!!! 続き楽しみにしてます!!!
もおーーー 康二助け求めるの遅いってーー⊂’・д・`⊃ 護衛8人により火がついちゃったやん! そっちの方がいいんだけどね?? A絶対8人がやってくれるから康二安心してーーー!! ハラハラドキドキすぎるって 続き待ってますー!