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Sara
220
君の為の相談役 ▹▸ kyus
※内容お借りしました🙌
社会人if
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「うっしー!」
「…はいはい」
俺は、片想い相手の相談役。
今日の仕事もきっとそう。指定された居酒屋に入り、早々に名前を呼ばれて俺は彼にすぐ気付く。
「いやぁ、今日も忙しいのにごめんね」
「いーよ。他の奴らには話せねぇんだろ?」
「そう!わかってんね〜」
彼は笑顔で返してくる。社会で過ごして未だ2、3年だというのだが、いい会社にでも入れたのだろう。俺としても、関係ないが安心だ。
「それでさ、前の話の続きしたいんだけど」
「分かってるよ。でも俺飯食ってねぇの。腹すげー減ってるから先に頼ませて?」
「あ、ごめんごめん」
俺は店員さんを呼んで夜食を一つ一つ頼む。
「あ、これもお願いします」
「はい、分かりました。以上でよろしいでしょうか?」
「ぇっ、あ…はい」
店員は注文が終わった為離れていく。俺たち2人の間に一瞬、静かになった。周囲は相変わらず騒がしいはずなのに、俺たちの席だけ妙に空気が止まった気がする。
「……」
彼はさっきまでの軽い笑顔を少し引っ込めて、テーブルに置かれた箸袋を指先で弄る。
珍しい。
いつもなら、注文が終わった瞬間また話し始めるのに。
「……で?」
沈黙に耐えきれず、俺が口を開く。
「前の話の続き、しねぇの?」
「あー…忘れてた。えっとね〜…」
「あ、そうそう…今日も俺の手伝い、かな?…してくれてさ。ほぼ…話してるだけだったけど、相手可愛いからさ…まじまじ見ちゃうの。その子に会えるだけで…俺ほんとに幸せになんの」
「……そっか。いいな…俺もそんな恋愛してみて〜、」
「ははっ、うっしーならできるよ〜!俺でさえ出来てんだから」
「うわ、自覚ありだ」
返事はある。でも、歯切れが悪い。視線も、なんだか落ち着かない。
「なんだよ。珍しく歯切れ悪ぃじゃん」
「うるさいなぁ」
彼は苦笑いを浮かべる。だけど、その笑い方が少しぎこちない。
「……笑う?」
「は?」
「俺が今から言うこと」
冗談っぽい言い方のくせに、声だけ少し硬かった。
なんだ、それ。
告白でもすんのか。
──なんて。
そんなわけないのに。
そんなことを考えてしまえば、段々視界がぼやけていく。その涙に気付いてしまったのか、彼は困惑して困っていた。
申し訳ねぇな…
「まぁ、内容による」
わざと軽く返す。いつも通りに。そうしないと、変な期待をしてしまいそうだった。
「……そっか」
ぽつり、と零された声。彼の視線が、ゆっくり俺へ向く。
それから、
「……ねぇ、」
彼は、俺の手に自身の手を被せてくる。彼の温もりが分かってまた涙が溢れ出す。
止めなきゃ、気づかれる前に。
「……まだ、気付かない、?」
「……え」
意味が分からなかった。
いや、
分かりたくなかった、の方が正しいのかもしれない。
だって
そんな顔、今まで見たことなかったから。
冗談を言う時とも違う。
相談を持ちかける時とも違う。
何かを堪えるような、少し苦しそうな顔。
「……何、が」
やっと出た声は、自分でも驚くほど弱かった。彼は小さく息を吐いて、俺の手を握る指先に少しだけ力を込める。
「俺さ」
そこで一度、言葉を切る。彼の顔から、珍しく迷っているように見えた。
「もう…何回も言ってるんだけどなぁ」
困ったように笑う。けど、その笑い方が少しだけ寂しい。
「好きな人の話」
どく、と心臓が跳ねた。
また、それか。
応援しろって?
今度こそ背中押せって?
そんなの。
もう、とっくに限界なのに。
「……だから何だよ…」
少しだけ、声が低くなる。気付かれないようにしてたはずなのに。これ以上聞いたら、多分。ほんとに笑えなくなる。
すると彼は、少し目を丸くして。
それから、観念したみたいに笑った。
「……うっしー、ほんと鈍いね」
「は?」
「俺、他の奴にこんな頻繁に会わないし」
「仕事終わりにわざわざ呼び出さないし」
「相談なんて口実作ってまで、一緒に飲まないよ」
「……うっしーなら、知ってるでしょ?」
一つずつ落とされる言葉に、思考が止まっていく。
「それに」
彼の人差し指が、そっと俺の手の甲をなぞる。こそばゆいその感覚に軽く肩が跳ねる。
「好きな人の特徴、結構言ってたよ?」
「見た目なら俺よりも低くて、眼鏡を掛けてて」
「内面なら、面倒見良くて」
「すぐ無理する癖があって」
「優しいのに、自分のこと後回しで」
「俺の話、ちゃんと聞いてくれて」
そこで、ふっと笑う。
「……全部、うっしーなのに」
「ほんと、鈍感バカ」
「は、っ…はぁぁっ!?」
変に間抜けな声が出てしまった。居酒屋だということも忘れていた為、直ぐに周りを見て座る。
いっ、いやいやいや待って!?待てよ!?何言ってんだこいつ!?
「…はぁ、だからさぁ…?」
被せるだけだった彼の手が、しっかりと俺の手を包む。彼は呆れたように笑う。だけれど少し見える耳は、ほんの少しだけ赤色を纏っていた。
「俺の好きな人は、うっしーだって」
「いやいやいや待て待て待て」
反射的に首を振る。
意味が分からない。
だって、
こいつの好きな人は…今までずっと聞いてきた話の中では可愛いだの、会えるだけで幸せだの、声が聞きたいだの。
全部、他の誰かだと思ってた。
「……冗談?」
やっと出た言葉が、それだった。落ちた声はどこか弱くて、だけど嬉しそうな声だと自分までもわかってしまった。すると彼の眉が少しだけ下がる。
「こんな空気で冗談言えるような馬鹿じゃないよ。俺は」
「い、いや……じゃあ、なんで俺に相談、」
「アピールだよ。気付いて欲しいっていうアピール」
心臓が、うるさい。さっきまで苦しかったはずなのに、今は別の意味で、息が上手くできない。
「……っ、俺、男」
やっと絞り出した言葉。
社会人になって、
現実も知って、
簡単じゃないことくらい分かってる。
だからこそ、ずっと飲み込んでた。
すると彼は、少しだけ目を丸くして。
次の瞬間、ふっと笑った。
「俺、好きな人が女の人だとか言ったことないよ?可愛いってことしか言ってない」
「で、でも」
「まだわかんない?」
言葉が詰まる。彼は少しだけ身を乗り出して、俺を見る。
「俺、結構本気なんだけど」
その声が、思っていたよりずっと真面目で。
冗談じゃないと、分かってしまった。
「ねぇ、うっしー」
「……な、なんスか…」
「これでも、伝わんない?」
何をこいつは言ってやがる。先程しっかりと『俺の好きな人は、うっしーだって』って言った方誰でしたっけ?
「つ、伝わって…ますよ、?」
「うっしーも俺のこと好き?」
おいおいちょっと待てその質問は良くねぇんじゃねぇすかねぇ!?!?ゼッテェこいつ俺の好意気付いて言ってんだろ。それよりも、
なんでよりによって今なんだよ!!!!!
俺が何年くらい我慢して
ぶちまけたかったか。
俺だけが勝手に苦しいんだと思ってたのに。
「……うっしー?」
返事がないからか、彼が少しだけ顔を覗き込んでくる。
近いよ。
近い近い近い。
「……っ、」
視線を逸らしてしまう。
逃げたい。
でも逃げたくない。
意味が分からない。
だって、好きな奴に。
片想い相手に。
“好き?”なんて聞かれてる。
「……聞かなくても…分かってんだろ、」
やっと絞り出した声は、思ったより小さかった。すると彼は、一瞬だけ目を丸くして。
「うっしーの口から聞きたいからさ」
「っ……性格悪りぃ、っ」
「うん、知ってる」
悪びれもなく返される。
むかつく。
なのに、ずっと好きだった顔で笑われるだけで、心臓がどうしようもない。
「……す、」
「……すき、だよ…」
観念したかのような声は、恥ずかしさですぐに消えてしまいそうな声だった。
「これで満足ですか!?」
言った瞬間、終わったと思った。
恥ずかしさで今すぐ消えたい。
なのに。
「……っ、はぁ〜〜〜」
何故か、目の前の彼が両手で顔を覆った。
「え、な、何」
「やば、嬉し……」
彼は耳まで赤い。さっきまで余裕そうだったくせに、急に照れ始める。
「……俺、今日一幸せかも」
そんなこと、言われたら…俺まで調子乗るじゃん…
「……っ、お前さ」
声が少し掠れる。泣いて、驚いて、感情が追いついてない。
なのに、胸の奥だけ妙に熱かった。
「……そんなこと言うなよ」
「え?」
彼が顔を上げる。彼の頬はまだ少し赤い。その顔を見てしまったから、余計に駄目だった。
何年も好きだった顔だ。
諦めようとして。
相談役でいればいいって、自分に言い聞かせて。
それでも、ずっと好きだった。
諦めきれなかった。
吹っ切れなかったんだ。
「俺、ずっと我慢してたのに」
言った瞬間、しまったと思った。
でももう遅い。
彼の目が、少しだけ揺れる。
「……そんな好きだった?」
「…………」
黙ってしまう。
言えるわけないだろ。
『何年も片想いしてた』なんて。
相談聞きながら、何回も諦めようとしてたなんて。
すると彼は、小さく笑って手を囲むように握っていた手を、今度はちゃんと指を絡めるように握った。
「じゃあ、おあいこだ」
「俺も、ずっと我慢してたよ」
その言葉に、息が止まる。
「……は」
「うっしーってば、全然気付かないんだもん」
絡められた指が、少しだけ揺れる。
「相談って言えば会えるし」
「仕事手伝ってって言えば来てくれるし」
「だから、まぁ……このままでもいっかって…正直に言うなら思ってたよ」
困ったように笑う。でも、その笑い方が少し寂しい。
「でもさ」
彼の視線が、真っ直ぐこっちを向く。
「今日、“俺もそんな恋愛してみて〜”って言った時」
どく、と胸が鳴る。
そういえば、そんなことを…口走って_
「あれ聞いて、普通に焦ったんだからね」
「……え」
「いや…そりゃ焦るでしょ?」
少しだけ拗ねたみたいな顔。
「え、俺以外と恋愛する気!?って」
「……っ、」
思わず言葉が詰まる。
「だから今言おうって決めた。ほんとについさっきだけどね、」
彼が小さく息を吐く。
「取られたくなかったから」
その一言が、ずるい。
何年も諦めようとしてきた気持ちが、一気に揺らぐ。
「……っ、お前、」
声が出ない。すると彼は少しだけ笑って、絡めた指を軽く揺らした。
「で?」
「……何」
「返事、ちゃんとして?」
「……しただろうが」
「“好き”の続き」
絶対、分かってて言ってる。
なのに。
もう、逃げられる気がしなかった。
「……っ、」
「ほら、早く」
そう言って俺の手をもっと絡めて、遂には恋人繋ぎまでしやがった。
「……ぉ、れと…つきあって、」
「……勿論。よろしくお願いします」
即答だった。迷いも、間もなくて。その一言だけで、胸の奥が熱くなる。
「……っ、」
息が詰まる。嬉しいのに、嬉しすぎてどうすればいいか分からない。
すると彼は、ふっと笑って。
「やっと言った」
「……うるせ」
「絶対言わないと思ってた」
「誰のせいだよ」
思わず睨む。
何年も、
好きな人の相談聞かされて
勝手に傷付いて
勝手に諦めようとして
その全部の原因が、今目の前で笑ってる。
「お前、ほんと性格悪ぃ」
「え〜?知ってる〜」
全然反省してない顔。
むかつく。
なのに。
その顔見てるだけで、また泣きそうになる。すると彼は、少しだけ目を細めた。
「……泣いてる」
「泣いてない」
「泣いてるって」
絡めたままの指が、少しだけ優しく動く。
「ごめんね」
ぽつり、と落ちた声。彼は俺の乾いた涙に触れる。優しいその手が、暖かくて堪えが効かなくなりそうだ。
「もっと早く言えばよかった」
その言葉に、胸がぎゅっと締め付けられる。
同じだったんだ、って。
俺だけじゃなかったんだ、って。
「……ほんとだよ」
やっと絞り出した声は、少し震えてた。
「何年無駄にしたと思ってんだ」
「……ばーか」
すると彼は一瞬だけ困った顔をして、それから、少し悪そうに笑う。
「じゃあ、その分これから取り返そっか?」
「……は」
「まず、恋人初日ってことで」
絡めた手を軽く揺らす。
「今日、もうちょい一緒にいてよ」
あぁ、やっぱり…
「……ずるい」
「それはどっちなのよ」
「…分かってるくせに」
「うん。ありがとね、うっしー」
「……大好きだよ」
「……俺だって、好きだし」
まだまだ夜は長い。きっと、朝日が昇っても、2人の夜は明けることを知らない。
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いやぁ……短くするつもりがなぁ…長くなっちゃってぇ、だいたい5000文字…(前の2万文字はどうともないと?????)
すっごい…このお話好きで、書かせて頂いて……本当にありがとうございます、😢💕
最近AIコメント来ないね😊
三日月ステップを
毎日聞いてる
私は何者?
コメント
3件
ウオーン自分の駄作漫画を凄く素敵な形で書いていただきありがとうございます❣️めっっっちゃ萌えました🥲💖