テラーノベル
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扉が開いた瞬間に、ベルは彼が来たのだとわかった。
来ると思っていた。彼はそういう人だから。せっかちで、堪え性がないから、うやむやになんかすることはないとわかっていた。
(でも……私、どんな顔をしていいのかわからない)
ベルの毛布を握る手が震える。
レンブラントは、もう自分の知っている彼じゃない。別の誰かだったと知ってしまった今、これまでのように接することはできない。
少しずつ積み重ねてきた時間が、たった一つの事実で砂のように崩れてしまったような錯覚を覚えてしまう。
だからベルは、ズルをしていることを自覚しつつも目を開けられないでいる。どうか少しだけ時間を頂戴と祈りながら。
それなのにレンブラントは、そうすることが当然の権利だと言わんばかりにベッドの端に腰かけると、手を伸ばして狸寝入りするベルの髪を撫でる。
「……ベル」
たった一言、名を紡がれただけなのに、心がじんと痺れる。
「ベル」
レンブラントが、もう一度名を囁く。
その声は低く穏やかで、自分を起こすために紡いでいるわけではない。想いを凝縮して口から勝手に溢れてしまったといった感じだ。
だからこそ、今、目を開ける勇気がない。
でも次のレンブラントの発言で、ベルは飛び起きる羽目になる。
「……寝てるなら、キスしても気づかれないか」
そう言いながらレンブラントは、親指の腹でベルの小さな唇をそっとなぞる。
まさかの展開にベルはバチっと目を開けて、レンブラントを睨んだ。
「起きてますよ。寝込みを襲うなんて、どこまで変態なんですか?」
「おい、ベル。それが恋人に言う台詞か?」
「っ……!!」
思いもよらない切り返しに、ベルは声にならない悲鳴を上げた。熱で火照った頬が更に赤くなる。
(この人、今、恋人って言った!間違いなく言った!!)
「なんだベル、そんなに慌ててどうしたんだ?……って、おい……まさか……あんた照れているのか?」
レンブラントの目は信じられないといった感じで、大きく開いた。薄明かりしかない部屋の中でも、彼が心底驚いているのがはっきりと見える。
「まさかのまさかです、と言ったら?」
そこまで驚愕されるなんてとベルが唇を尖らせれば、レンブラントはふわりと笑った。
「たまらなく可愛い」
「な……っ!!」
恥ずかしげもなくレンブラントがさらりとそんなことを言うもんだから、ベルはもうどうしていいのかわからず両手で顔を覆って仰向けに倒れた。
「ま、こんだけ暴れる元気があるなら一安心だ。とりあえず、寝ろ。話はその後だ」
顔を覆っていた手を優しく外されて、代わりにレンブラントの大きな手が瞼を覆った。
その手はひんやりとしているのに、触れる手つきはどこまでも優しかった。
コメント
1件
みぅです🤍🥀 107話、読ませてもらいました…。 ベルが「知ってる彼じゃない」と戸惑いながらも、レンブラントの声に心がじんとする感じ、すごく伝わってきました。寝込みを襲おうとする変態発言からの「恋人」発言で慌てるベル、可愛すぎて笑っちゃいました…照れ隠しで睨みながらも真っ赤になるの、尊いです。 レンブラントの優しい手つきに、今後の関係がどう変わっていくのか気になります。続き、楽しみにしてますね🌙
日暮ミミ♪
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臣桜
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鷹槻れん

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#ハッピーエンド
れもん データ飛んだ人
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