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めかぶぷりん
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#SnowMan
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会場内に潜入した目黒と岩本は、上流階級の人間ばかりを集めているという情報を、例の逃げ出した男から掴んでいたので、上質なスーツに身を包み、顔は目元を仮面で隠しているので気付かれることなく動いている。
特に、会場内を歩き回る人も多くて紛れ込めているのが大きいかもしれない。
💛「目黒。どうだ」
壁際に隣同士で立って、視線を合わせることなく呟く。
目黒の背後では蔓が壁を伝ってダクトの中に潜り込んでいる。その蔓を通して、目黒は蔓の先にあるものを見聞きすることができる。
🖤「さっき、商品がどうのって話してた奴いたんで、ダクトを通って追ってる。あれが見張りなら、ビンゴっすね」
💛「了解。引き続き頼む」
🖤「はい」
その間に岩本は、会場内をゆっくり歩き回り、周囲の人々の会話に耳を傾ける。
「先日の星晶、欲しかったわ~」
「まさか20億もつけられるなんてな」
「けれど、かなりの美しさでしたわね。あれなら納得です」
「今回はどんな商品が出るんだろうな」
「なんでも、とても珍しい逸品が入ったそうですよ。人の姿から変わるんですって」
「ほう。それは是非、拝見したいものだ」
聞くに堪えない嫌な話が飛び交っている。それでも岩本は表情を変えない。この会話の中にヒントがあるかもしれないから。
「そういえば、今日の出品の中に、花を扱うものがあると聞いているが、花の異能など珍しくないだろう?」
「そうね。植物系の異能は数多く存在していますし。うちの使用人にもいますよ。毎日、綺麗な花を咲かせてくれて、とても満足していますわ」
「毎日。どのくらい使わせているんだ?」
「そんなの、庭園いっぱいに決まっているでしょう」
「ああ、じゃあ、そろそろ入れ替えの時期ですな」
「そうですわね。数日で使えなくなりそうだから、その花の異能力者でも買いましょうか」
本当に、人を物のようにしか思っていないことが分かる。
自分たちはそれをしていい人間だとでも思っているのだろう。同じ人間どころか、下等なものとしてしか見ていない。
話は商品についてばかりだが、肝心な部分は知らされていないようだ。どんな異能か、ということは知っていても、詳しい情報は与えられていない。その方が、実際に見た時に衝撃があるからだろう。
🖤『岩本くん。見つけた。商品の保管場所ってハッキリ言ってたから間違いない』
💛「……行くぞ」
そのままゆったりと歩きながら目黒の方に戻り、二人一緒にその場から離れた。
その頃、救出班は会場が見えるホテルの部屋の中にいた。あまり離れすぎると、移動距離が延びる分だけ佐久間に負担がかかる。けれど近づきすぎれば補足されかねない上に、せっかく救出した人たちを取り返される可能性もあるからだ。
それにホテルの部屋の中なら、知らない人間が入ってくることもないだろう。
🤍「めめ達、商品にされそうな人たちがいる場所、分かったかもって言ってたね」
❤️「今、追跡中だからもう少ししたら連絡が来るんじゃないかな。佐久間、準備は?」
🩷「もち、おっけーだよ! いつでもいける」
文字通り準備運動をしている佐久間。今回、佐久間は暴れる役割ではないのだけれど、その姿に宮舘もラウールも顔を見合わせて頷いた。
絶対、何かやらかすだろう、と。
どう考えても、動く気満々の準備の仕方なのだから。
そこへ、タイミングよく通信が入る。
💛『こちら岩本。救出班に伝達。商品になっている人たちがいると思われる部屋の前にいる。見張りは制圧済み。こいつらは鍵を持ってなかったから、ここからはそっちに頼みたい』
❤️「了解。位置情報、共有して」
宮舘の持っていたスマホに、建物内部の詳細な位置情報が映し出される。これは阿部とラウールが開発してくれたもので、通常のGPSよりも細かく位置を把握することが出来る。
🤍「うん、ばっちりだね。佐久間くん、これでいける?」
🩷「任せろ! こんだけ詳細に分かれば、誤差はねえよ」
❤️「よし。じゃあ、いこう」
佐久間の粒子転移で岩本達のいる座標まで来ると、そこで入れ替わり、まだ内部で情報収集をしなければならない潜入班を見送ってから、ラウールは眼鏡をかけて扉を見始めた。
🩷「あれ、今日は眼鏡? いっつもルーペなのに」
🤍「異能の痕跡とか魔法陣にはルーペだけど、こういう物の構造を見るには眼鏡の方がいいの。ホントによく見えるんだよ、これ。内部まで、ぜーんぶ」
🩷「へぇー」
🤍「そうじゃないと、僕のクリエイトで作れないものもあるからね……うん、そんなに複雑な構造はしてなさそう。多分、逃げられるなんて思ってないんだろうね。特殊な仕掛けもないみたい」
そこまで言うとラウールは眼鏡をかけたまま、扉の鍵の部分に手を翳した。ぽうっと白い光が出てくると、ラウールはその光を握るように持って引いた。光が弾けるとそこには、鍵が握られている。
🤍「うん、大丈夫そうだ。でも一応、ディンプルキーにはしてあるんだね。やっててもピンシリンダーくらいかなって思ってたけど」
🩷「……なに言ってんの?」
❤️「さあ?」
🤍「さて、開けるよー」
鍵を差し込んで回せば簡単に解除できたので、扉を開いて中に入る。
そこは、ガランとしたコンクリートがむき出しの無機質な部屋で、その中には五つの頑丈な檻があり、その中の四つにそれぞれ人がいるのがわかった。
こちらを見た瞬間に怯えるような人たち。
🩷「あ、大丈夫! 怖がらなくていいよ。俺たち、救出に来たんだ」
それでも不安そうにこちらを見てくる。その中で、写真に写っていた少女―――成瀬みあを見つけて近寄る。
❤️「成瀬みあさん、だよね」
喋らず、それでもみあはコクンと頷いた。
その隣にいる男の子にも、阿部から聞いていた「石川宙夢」の名前を出すと、「そうだよ」と返事をしてくれた。
そしてもう一人の大学生くらいの女性は「小笠原瑞希」。最後の一人の20代後半くらいの男性は「杉浦侑介」と名乗る。小笠原瑞希は、阿部が行方不明になっているが確定ではないと言っていた人物だ。
🤍「うん、情報になかったのは杉浦さんだけだね。でも、四人しかいない……他に誰かいませんでした?」
訊ねてみたけれど、みんな首を横に振るだけだった。
🤍「とりあえず、この檻の鍵も開けるね」
檻には頑丈な錠前がついている。佐久間の異能で中に入ってしまえばいいと思ったこともあるのだが、佐久間曰く「鍵がかかってるところは入れない」そう。だから、いつも佐久間が粒子転移をする先は、開いている建物か外に限るのだ。
ラウールが鍵を作り始めたので作業を眺めていたのだけれど、不意に宮舘が入口のドアの方を見た。
❤️「マズいね。来たよ」
ドアから中に入り込もうとした瞬間、床から生えた氷の塊によって入口が完全に塞がれる。
🩷「おおー。鮮やかー!」
❤️「でも、これもいつまでもつか分からないから、ラウール、悪いけどなるべく急いで」
🤍「おっけー! ちょーっと本気出すね!」
救出を佐久間達に任せ、岩本と目黒は先ほどの会場内からは離れて隠れながら通路を進んでいる。
理由は、先ほど宮舘から聞いた、「商品として捕まってるのは四人しかいなかった」というもの。つまり、もう一人が別の場所にいる可能性が高い。
だから急遽、「LOTのトップを捜すこと」から「商品になっている人の捜索を続行」することになり、効率化の為に目黒と岩本は別々の場所を探っている。
人の気配を感じ、細い道の物陰に隠れた目黒。
「例の商品、到着したって?」
「そうそう。花を結晶化するってやつだろ」
ピクリと、目黒が眉を顰める。
「ずいぶん、手こずったらしいな」
「え、あの捕縛専門チームが? ウソだろ? 花を結晶化するだけなら、全然弱いだろ」
「それがさ、一緒にいたのが思ったより厄介だったらしい。なんだっけ……あ、電気使い」
目黒の目が、大きく見開かれる。今、あいつらは何と言ったのか。結晶化する花、電気使い。繋がるものは一つしかない。
「その電気使いが、磁力も突破したらしくて」
「うわ。あの磁力、かなり強いのにな」
「そうなんだよ。でも可哀想だよな。電気なんて普通の異能だから、単純にもう一人の餌用だろ?」
「じゃあ、花の結晶の奴が出品されたら、電気の奴は処分確定だな」
瞬間的に蔓を伸ばした目黒はそのまま話をしていたLOTの者達を拘束し、物陰から出て男達の前に立つ。
🖤「その話、詳しく聞かせて」
そこは、コンクリートで囲まれた冷たい部屋だった。いや、部屋と言えるようなものではない。物置か倉庫という言葉の方が似合うような場所。
後ろ手に手枷を嵌められ、異能封じの首輪を付けられている阿部と、体の前で手枷を嵌められている渡辺。阿部の両隣には、LOTの男がピタリとくっついている。
💙「……チッ」
思わず、渡辺は舌打ちをした。
異能封じを付けられ拘束した上で、LOTの男が両側にいるとなれば、阿部の救出はできないに等しい。渡辺が異能を使える状態でも、だ。
ざわざわとした声が部屋に入る前には聞こえていたから、恐らくは会場であるホールの近くなのだろう。
厄介だ。
渡辺と阿部が連れて来られて、そう時間は経っていない。それでもホールの近くに入れられたとなれば、闇オークションが開かれるのは間もなくということ。
手枷は正直、飾り程度のものだろう。これくらいで渡辺を無力化しようなど思っていないことは明白だ。本命は阿部の方。渡辺が、阿部に危険が及ぶのを嫌がることが、先ほどの戦闘でバレてしまっているから。
どうあっても、渡辺には従うという選択肢しかなかった。
「さて、間もなく開始ですね。我々も移動しましょう」
渡辺の目の前にいるのは、得体の知れない異能を持った、先ほどのLOT。恐らくこの男はリーダーのような役割を持っているのだろう。この男以外のLOTは一言も発さない。
大人しく従うのが嫌で立ち止まっていると、「うっ」と阿部の短い苦痛の声が聞こえて振り向いた。阿部の頬から流れる一筋の血に、渡辺の頭に一気に血が上る。
💙「てめえ! 阿部ちゃんに何してんだ!」
「大人しく従わないからですよ。言ったでしょう? 我々にとって彼の利用価値は、あなたへの人質のみ」
💙「……言っとくけどな、阿部ちゃんがいなくなったら暴れるぞ」
「では、殺さない程度に痛めつけましょうか」
どうあっても、向こうの方が上手だ。
自分の気持ちを全て押し殺して、渡辺は男の後ろを歩き始めた。
通路を通り、裏口のようなところへと入っていく。薄暗い、舞台裏のようなところだ。先ほど聞こえていたざわめきが、より一層大きくなる。
ちら、と後ろを歩く阿部に視線を向けると、どこか一点を見つめていた。それが時折、何かを目で追っているかのように動いている。
「しばし、ここでお待ちください」
男が立ち止まると、幕の向こうにステージが見えた。ステージ上には派手なスーツに身を包んだ男と、煌びやかなドレスを身に纏った女が立っている。
「紳士淑女の皆様、大変、長らくお待たせいたしました」
「今宵も《LOT》へお越しいただき、誠にありがとうございます」
「皆様を魅了する、選りすぐりの逸品をご用意いたしました」
「美しきもの、類稀なるもの。そして、二つと存在しないもの」
「その価値を見定めるのは、ここにお集まりいただいた皆様です」
「それでは……」
司会らしき男女が同時に息を吸い、「今宵のオークションを、始めましょう」と声を揃えて宣言すると、ホール内がわーっと大きな歓声で包まれた。
「それでは早速、最初の商品へ参りましょう」
「皆様、《花》の異能と聞いて、何を思い浮かべますか?」
「美しく咲き誇る花々? それとも、優雅に舞う花びらでしょうか」
「けれど、それだけではここ《LOT》の商品たり得ません」
「今宵、最初にご覧いただくのは……決して枯れることのない花」
「その手から生み出された花を、永遠の美しさを宿す結晶へと変える異能力者でございます」
「それでは、ご覧いただきましょう。今宵、最初の逸品です」
前に立っていたLOTの男が、仰々しく胸に手を当てて頭を下げながら舞台上を逆の手で指し示す。行けと、言っている。
渡辺はもう一度、阿部を振り返った。自分がどうにかしなければいけない。けれど、それでもし、阿部が大怪我をしたら―――。
阿部は何も言わず、ただじっと渡辺を見つめている。そして一度だけ、頷いた。それが答えだったように思う。
だから渡辺は大きく息を吐き出して、舞台に向かって行った。
眩いスポットライトを浴びながら、舞台中央に立つ。歓声とは違うざわめき。自分を見るのは下卑た視線と嘲笑ばかり。
うんざりする。
「その結晶の花を、とくとご覧ください」
つまり、自分に結晶の花を作れと言っているわけだ。誰がそんなもんと思いながらも、手枷を嵌められている状態で右手のひらを上に向けると、渡辺の周囲に数枚の花びらが出現した。
人差し指をくいっと動かすと花びらは結晶になる。途端に嘲笑が消え、「ほう……」と見惚れるような表情へと変わる。
そして、右手を握るとそれぞれの花びらが一つになり、そこに赤い結晶の花を作り上げる。瞬間、静寂から感嘆とどよめきに変わった。
一人の客が、作られた結晶の花を見つめ、それから渡辺を見た。
「……あの異能力者は……これは、報告すべきか」
静かに呟き、黒い影のような男は舞台に背を向け、歩き出した。
「どうですか。この輝きは、ルビーにもガーネットにも、いや、世界中のあらゆる宝石でさえも生み出すことはできません」
観客と司会が盛り上がる度に、渡辺の気持ちが冷めていく。
くだらねえと、心底言ってやりたいくらいだ。それでも、この客たちを満足させるのが、渡辺が今やらなくてはならないこと。だったら、最大限に喜ばせてやる。
ぶわっと、舞台上だけではなくホール全体に出現した赤い花びら。それらは客の頭上で結晶となり、更に合わさると、結晶でできた巨大な薔薇の花を作り出す。
照明を受けて、深い赤や赤紫など、光の当たり具合で色合いを変えながらゆったりと回っているそれは、想像を絶する美しさだった。
その巨大な結晶の薔薇に、突然、霜が降り始める。それは結晶の薔薇の下から徐々に上がっていき、薔薇の花を覆い尽くす。赤かった薔薇の花が白く染まり、再びどよめきが広がった。
けれどそれで終わらない。霜を覆い尽くすように薔薇の下側から凍り付いていき、中央は赤い薔薇、そして外側は美しい氷という二層の薔薇に変化した。
「これは素晴らしい! どうやら我々も、まだこの逸品の全てを把握してはいなかったようです!」
💙「……これだけで終わると思ってんの?」
ニヤリと、翔太の口元に笑みが浮かぶ。
巨大な薔薇の結晶を囲むように現れる、無数の小さな赤い結晶の花たち。それは、客の頭上にできあがった花畑のようだ。結晶化した赤い花は、微細な光の粒子を纏っていて、仄かに輝いている。まさに、幻想的な空間が出来上がっていた。
誰もが花に夢中で渡辺を見ていない。それは阿部の両隣にいるLOTの男と、渡辺を先導していたリーダーの男も同じだった。
しかし、リーダーの男だけはハッとして阿部を振り向いた瞬間、阿部の首から異能封じの首輪が落ち、両隣に立っているLOTの男達が蔓に絡めとられていた。
「なっ、何故……?!」
結晶花の周囲に煌めいていた粒子の一つから佐久間が現われる。佐久間は結晶花を蹴って勢いよく飛び出し、後ろを向いているリーダーの男の後頭部目掛けて回し蹴りを繰り出した。
倒れるリーダーの男。
🩷「おっしゃ! いっちょ上がり!」
華麗に床に降り立って拳を突き上げる佐久間。
その佐久間に向かって飛んできた泡を、佐久間の前に展開した電磁シールドで防ぐ阿部。爆発の衝撃まで防ぎきり、その奥で泡の異能力者を無力化しているのは岩本。
そして、異変に気付いて逃げ惑う客たちだが、押しても引いてもドアが開かない。
「なんで開かないんだ!」
ドンドンと叩いているドアは、外側から岩と鋼でガッチリと固められていた。
🤍「阿部ちゃん、しょっぴー。大丈夫だった?」
反対側の舞台裏から走って来るラウールと宮舘。
そして駆け付けたラウールはすぐに二人の手枷の鍵を作り、解放する。
💙「サンキュ」
💚「ありがと、ラウ」
🤍「どういたしまして!」
そして阿部は、隣に立っている目黒を見上げる。
💚「めめもありがと。首輪、先に外してくれて良かった」
🖤「こっちこそ。阿部ちゃんが俺の蔓を見つけて目で追ってくれたから、気付いたのがすぐにわかって動きやすかったよ」
そこに、通信が入った。
💜『みんな無事ー?』
💙「ふっか」
💜『お、翔太いるじゃん。阿部ちゃんも?』
💚「おかげで無事だよ」
💜『なら良かった。こっちは、康二と一緒に組織のボスっぽい人、捕まえたよー』
🧡『往生際悪いなぁ。大人しくせえ!』
💜『というわけで、これから警察に連絡するから、みんなそこで待機しててねー』
すぐに通信が途切れる。
ようやく終わったという安堵感から、誰からともなく息が漏れた。
岩本も合流し、宮舘が完全に客とLOTを閉じ込める為にホール全体を氷漬けにし、警察の到着を待つことになった。
それがわかるなり、渡辺はすぐに阿部の方に向かう。
💙「阿部ちゃん、顔の傷……」
💚「ああ、大丈夫だよ。切れたっていうより、何かがチクって刺さった程度だから」
💙「ごめん。俺が、抵抗したから」
💚「そりゃ抵抗するでしょ。俺だって、逆の立場ならしてるし。それにほら、悪いのは完全にLOTだから、気にしてないよ。元はと言えば、俺が先に捕まっちゃったせいだから」
🖤「阿部ちゃんを傷つけた奴ってどれ?」
💙「多分、めめの蔓が拘束してる二人の内のどっちか」
🖤「どっちか分かんないのか……じゃあ」
LOTの男二人を拘束している蔓の葉がギザギザとし、蔓に棘が出現した。それはLOT達の体に僅かに刺さっている。
💚「ちょ、めめ、やりすぎ」
🖤「大丈夫。ちょっとチクっとするなって程度。でも、なんかムカつくし、何もしないのはちょっと」
🤍「うわー、めめそれちょーこわーい。絞め落とした方が相手、楽なのにね」
💛「それを笑顔で言うお前も十分、怖いよ」
🖤「いやだって、阿部ちゃんのこと処分するとか言ってたから、正直、壊滅くらいじゃ気が済まないっす」
💙「……めめ、今のホント?」
❤️「こらこら、目黒もわざわざそんな情報、翔太に聞かせないの」
🖤「しょっぴー大丈夫。俺がもうとっくに絞めてきた」
💚「もう。みんな物騒なんだから」
🩷「いや、あんなん見てよく冷静に対処できたよ。ホント」
🤍「突っ走りそうになった佐久間くんを必死に止めたんだよー」
❤️「最終的には阿部と翔太の為って、全力で説き伏せたね」
💙「まあ、こっちも舘の氷が分かりやすくて、合わせるの楽だったわ。ってか、佐久間の粒子、なんか光ってなかったか?」
🤍「それ僕だよ! 遠くから、特殊なライト当ててた。幻想的だったでしょー」
💛「まあ、何はともあれ、翔太も阿部も無事だったから、よしとするか」
ここはまだ闇オークションの会場であるホールの中だというのに、まるで特務調査局の事務所のような空気が広がっていた。
薄暗い室内。質のいい家具や調度品で揃えられた私室で、男が一人、部屋の奥に置かれた深い色合いの革張りのハイバックチェアに腰掛けている。
間接照明が照らし出すのは、花の意匠がついたネクタイピン。
部屋のドアがノックされて、全身黒づくめのスーツを着た影のような男が入って来た。
「失礼致します。LOTはどうやら、壊滅したようです」
「……そうか」
「少なくとも商品の中には、命の霊薬に関する異能はありませんでした。ですが、一つだけ……昔、命の霊薬作りに使用した花の異能力者を見つけました。特務調査局の渡辺翔太です」
「……ほう。それで?」
「いえ、それだけですが。一応、ご報告をと思っただけです……ご存知でしたか?」
「ああ、とうにね……それに、あれはもう良い。失敗という結果をもたらしただけで十分だ」
「そうですね。失礼致しました」
「いや。それよりも、こちらだ。なかなか尻尾を掴ませない。周到な男だ。そろそろ、直接訊いてみるのも悪くないだろう」
艶のある濃色の木材で作られた、重厚な書斎机。そこに置かれた数枚の写真。それらは特務調査局の九人で、その中の一枚に触れ、親指で撫でた。
そこに映っているのは、無邪気に笑う阿部亮平の姿だった。
闇オークション編 終
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めっちゃ気になります!阿部ちゃんについてこれからどう進むか楽しみです!!続きまってます!!