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悪魔が威嚇なのか、歯ぎしりのような音を鳴らす。
ベツレヘム「あああ!嫌い嫌いその音嫌い!」
マリア「ひいいいい…!むず痒い!!」
アカネ「うわぁ的確な対策をしてきてますね。」
アリィ「何か聞こえた?」
ジーク「あー…多分威嚇音、獣人には大ダメージだろうな…聴力いいから。」
アカネ「じ、ジークさん、本当に人間ですか?あの音が聞こえるなんて…」
ジーク「失礼な。人間だよ。」
ベツレヘム「飛行型とか1番嫌いなのに…!」
マリア「なにか弓とか遠距離武器があればいいんだけど…」
マリアがそう言うと、ベツレヘムは何か思いついたように近くの民家の屋根に登り、ジークを呼ぶ。
ベツレヘム「ジークさああん!」
ジーク「げぇっ!?俺!?」
アリィ「そんな露骨に嫌がらないでも…」
ジーク「無理無理無理、弓修理に出しちゃった!」
ベツレヘムの耳がぴぴっと動く。
ベツレヘム「えぇ!?いつの間に!?…やってみるしかないか…。」
マリア「遠距離武器はダメそうね…。」
ベツレヘム「正直、こんな障害物だらけのとこだとちょっと自信無いけど…。マリアは逃げて。」
マリア「分かったわ。」
そう言うとマリアは中央エリアに走っていく。
ベツレヘム(幸い西エリア自体の避難は終わってる。アカネ君も今頃、中央エリアからの避難を初めてくれるころだ。)
ベツレヘム「やるぞ…!」
ベツレヘムの意気込みとは裏腹に、悪魔はマリアを物凄い速さで追う。足を使って。
ベツレヘム&マリア&アリィ「えええええええええええ!?!?!?」
アリィ「飛ばないんかい!!」
ジーク「羽音じゃなくて足音だったし、そんな気してた…。」
マリア「私体力ないのにいいいい!」
アリィ「ジーク!早く助けないと!」
ジーク「進化の過程で飛翔機能が無くなったか…だとするとその場合繁殖方法は…」
アリィ「そんなこと言ってる場合かあああ!!」
アリィ「ああもう!中途半端な悪魔見るといつもこれなんだから!」
マリアが悪魔を引き連れながら、叫ぶ。
マリア「これどうすればいいのー!?中央エリアに連れて行っちゃう!」
ジーク「流石獣人…意外と捕まらないな。でも、あれじゃダメだ。多分背中を見せたことで刺激されてる。」
アリィ「私はどうすればいいの!?」
ジーク「…煙幕ってまだあったか?」
ベツレヘム「この悪魔…!私には見向きもしないで…!うぐぐぐ!」
ベツレヘムが悪魔の気を引こうとするが、悪魔はビクともしない。
ベツレヘム(なんでこうマリアにだけ…!…やっぱり胸…?)
ベツレヘムがちらりとその小さい胸を見るが、すぐに否定する。
ベツレヘム「いやいやいや…」
ベツレヘム「とりあえず中央エリアには行かないようにして!なるべくこっちに戻ってきて!」
マリア「簡単に言ってくれちゃってえええ!」
マリアがぜぇはぁと呼吸を荒くしながら、悪魔の腹をくぐり、西エリアに戻る。悪魔がベツレヘムの近くに来たと同時に、ベツレヘムの周りを除いて辺り一面に煙が広がる。
ジーク「よし!」
アリィ「ナイス!」
ジーク「アリィ、頼んだ!」
アリィ「うん!」
ジークがアリィに呼びかけると、アリィの瞳孔は形が変化していく。瞳孔の形の変化が終わると、アリィは一目散に、マリアの場所へ走り出す。獣人や、四足歩行の動物よりも速く、風すら置いていって。
だが悪魔も、大人しくしてるはずがなく。悪魔は視界が塞がれたことにより混乱を起こし、ところ構わず頭を振り回す。修復したばかりの家たちは崩れやすく、アリィを待つことなく崩れていく。
マリア「げほっごほっ…」
(どうしよう…煙のせいで私まで視界が…)
マリア「ベツレヘム…?何でそんな凄い形相で…」
(悪魔の鳴き声がうるさくて、ベツレヘムの声が聞こえない…!)
ベツレヘム「ーーー上!!」
マリア「上…?あ。」
マリアが上を見上げると、そこには眼前に迫った瓦礫があった。
マリア(間に合わない…!)
マリアが死を覚悟し、目を瞑った。
だが、マリアが瓦礫の衝撃を感じることはなかった。
マリア「…?」
マリアが恐る恐る目を開ける。そこにはアリィが居た。
アリィ「大丈夫!?」
マリア「ど、どうやって…」
瓦礫はまるで浮いてるかのように、宙に留まっていた。
アリィ「あぁもう!これ重い!」
そう言ってアリィが手をかざすと、瓦礫はアリィが手のかざした方にごろごろと落ちる。1度落下の勢いを失った瓦礫の移動は穏やかな音だった。
アリィ「おんぶするからしっかり掴まってて!」
マリア「わ、分かったわ!」
アリィの気迫に押され、マリアは大人しくアリィの首に手を回す。
そのまま悪魔に気付かれることなく、中央エリアの方に移動する。
アリィ「救出成功!」
ジーク「よくやった。」
マリア「ありがとう…。あれは一体…」
アリィ「魔法で馬鹿みたいに速く走ってるだけ!さっきのバリアもね。詳しい説明は村が落ち着いてからにしよう。」
アリィはそう言うと、西エリアを眺める。
ジーク「中央エリアも大分人が移動して減ってきた。これなら思い切り、暴れられるはずだ。ベツさん、頑張ってくれ。」
アリィがそわそわとした動きを見せる。
ジーク「アリィ。」
アリィ「分かってる!私達じゃ役に立てないことくらい…。」
ジーク「俺は遠距離戦しかできない、その上、弓は修理に出している。お前も、戦えるわけじゃない。せいぜい出来て囮くらいか…。」
アリィ「い、言い過ぎ…酷い…」
ジーク「酷くて結構。」
(…無駄な死者を生む必要はない。)
ベツレヘム「好き勝手家を壊してくれちゃって…あーあ。これなら私が暴れようが暴れまいが、直すのが大変なのには変わらないじゃないですか。…理性が残ってるならさっさと森に帰って下さい。」
悪魔はベツレヘムの声がまるで最初から聞こえてもいないかのように、ただベツレヘムを凝視していた。ベツレヘムは手に握られていた耳栓を入れる。
ベツレヘム「用意周到過ぎて、正直怖いですね。あの二人は。」
ベツレヘム(飛ばないなら戦える。とはいえ、このデカブツにダメージを入れるには…足しかないか。鱗の隙間を縫う…?いや、それは無謀に近い。硬い衝撃を与えて鱗を壊さなきゃ。)
アリィ「……。」
ジーク「まぁあの鱗じゃ苦戦はするよな…。爆薬があれば楽なんだが…。」
アリィ「…でも昔、ジーク私に言ったよね。」
ジーク「?」
アリィ「欠点のない生き物はこの世に存在しないって。」
ジーク「ああ、そうだったな。」