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アカネ「皆さん走らないで下さい。落ち着いて、歩いてください。転倒防止のために歩いてうっ」
アカネが人混みに押され倒れる。
アリィ「!アカネくん」
アリィとジークが駆け寄り、倒れたアカネをアリィが支える。
アカネ「ありがとうございます。」
ジーク「事前に避難を始めたから、ある程度パニックを起こさず、中央エリアまでは誘導できたが…」
アカネ「…流石にアレを見た後だとダメですね。」
3人が悪魔を見上げる。
アカネ「はぁ。」
アリィ「?」
アカネ「僕もお2人みたいに背が伸びれば、せめて足が当たって転ぶこともないのに…。」
アリィ「アカネくんにだっていい所はあるよ。私はアカネ君ほど力持ちじゃないよ?」
アカネは納得が行ってないのか不満気な顔をする。
ジーク「あの時呼んでたカイオス…って人には誘導手伝って貰えないのか?」
アカネ「カイオスさんは今頃シェルター解放したところだと思うので、ここには手伝いに来れません。シェルターを護らないといけないんです。…災難というのは連続で降りかかるものですから。カイオスさんは戦えないので、僕も早く避難を終わらせてあちらにいきたいんですが…」
アリィ「…ん?」
アカネの話を聞いている最中、アリィはある違和感に気づく。
ジーク「戦えないのに護衛…?」
アカネ「正確には戦えるんです。でも昔、心に傷を負ってしまって…あまり戦わせたくないというか…」
ジークとアカネの会話を尻目に、アリィはキョロキョロと辺りを見回す。
ジーク「どうした?」
アリィ「あ、いや…マリアさんどこ…?」
ジークはばっと辺りを見回す。
ジーク「いない!」
アカネ「あっ、あそこ!」
アカネが指を指した先には、人混みによって声こそはかき消されているが無数の頭の中からひょっこり獣人特有の耳が飛び出ている。
アリィ「人混みに流されちゃってる!」
ジーク「…このまま放っておいても大丈夫な気がする。」
アカネ「いやダメですよ!混乱を起こして南エリアや北エリアに行ってしまっている方もいる状態なんです!」
ジーク「確かにシェルター以外に行かれたらまずいな…。」
ジーク「よし、アリィ。」
アリィ「いや、無理。青いハイテクロボじゃないんだから。」
アカネ「怒られますよ。」
アリィ「ジークの方が適任だよ!」
ジーク「えっ、俺?」
アリィ「この中で1番大きいし、人混み多少は慣れてるでしょ?行ってきて!」
ジーク「身長はお前とそんな変わらないはずなんだがな…分かったよ。」
そう言うとジークはするすると人混みを抜けている。
アリィ「ほらぁ!」
アカネ「おおー!」
ジークの通り抜けをみて、アカネは尻尾を横に振りぱちぱちと拍手をする。
悪魔がベツレヘムを口に入れようとするが、ベツレヘムは瓦礫を盾にし口を塞ぐ。悪魔は口に物が挟まったことで頭を振り回しどうにかしようとする。
ベツレヘム「流石にその強靭な顎でも石造りの建造物の瓦礫はダメなんですね。」
(もう少し大きい物が持てれば顎を外せるのだけど…これはなしですね。)
悪魔がベツレヘムに頭突きをしようとするが、ベツレヘムは後ろに飛び退き、屋根に着地する。
ベツレヘム「ワンパターンですね。」
(とはいえ、弱点は見つからず…鱗がある者には必ずある逆鱗は無し。心臓は想定場所にはなし。後は…核ですね。)
ベツレヘム「あと見れてないのは…背中。」
ベツレヘムが視線を周りにやる。その視線の先には見張り台があった。この村は人には知られては行けない。だから塔など作れない。そこで作られたのが木を利用した見張り台。いわゆるツリーハウスだ。ベツレヘムはその体を生かし、長い爪を利用して素早く登っていく。
ベツレヘム「…見つけた。」
悪魔の背中にはベツレヘムの予想通り核があった。それは赤くどくどくと脈を打つ。それを守るかのようにガラスのようなものが赤い光を反射し覆っている。ベツレヘムは一切の躊躇を見せることなく、踵を落とし見張り台から悪魔の核に落ちていく。ベツレヘムが着地したと同時に悪魔の核を覆っていたものは砕け散る。
ベツレヘム「落下というのは本当にすごい力ですよ。」
それだけ言うとベツレヘムは破片によって傷ついた顔の血を拭い、核をもぎ取る。
悪魔「ぎぎぎぎゅうううううぎゅううあああ!」
悪魔は核を抜かれたにも関わらず、生きており、まるで苦しむかのような呻き声を上げた。
ベツレヘム「どうか安らかに。」
ベツレヘムはその手に握られた核を握り潰した。
徐々に悪魔が伏せていく。悪魔は最後の力を振り絞るかのように、倒れないようにして息を引き取った。
ベツレヘム「終わった…。」
ベツレヘムが安堵のつかの間、悪魔の身に異変が起きる。悪魔の全身を覆っていた鱗が音を立て、動き出す。
ベツレヘム「…これは…!」
ジーク「疲れた…。はい回収したぞ。」
マリア「ぎもぢわるい゙…。」
アリィ「よくやった!」
アリィがジークに向かって親指を立てる。
ジーク「おう。」
アカネ「母さん大丈夫ですか?」
マリア「うう…」
アカネ「これは人酔いしちゃってますね…。」
アリィ「人混み苦手なタイプだったか…。」
ジーク「無理に動かしても悪化するだけだし、少しここで休ませよう。ここはあのでかい図体の悪魔に見つけるのは大変だろうから。」
アカネ「そうですね」
アリィ「じゃあ私達はその間にこれをどうにかしないとね…。」
アリィが人混みを見る。
アカネ「どうしましょう…」
アリィ「うーん、手っ取り早く他の道は塞げると楽なんだけど後で修理するから屋根を壊して瓦礫で塞ぐとか。」
アカネ「それです!その発想はありませんでした!やってみます!」
アリィ「でも壊せられるの?」
アカネ「やろうと思えばいくらでも。」
ジーク「怖いなおい…。じゃああの家を…」
(さっきからなんか雑音が…虫みたいな…)
ジーク「…なぁさっきから煩くないか?」
アリィ「え、あれ?」
アカネとアリィが同時に人混みを指す。
ジーク「違う違う。」
アカネ「うーん確かに人では無い生き物の音のような…」
アカネは自信が無さそうに耳を動かす。
アリィ「えぇ?私には何も聞こえないけど…」
ジークがアリィを見ようと体の向きを変えたと同時にジークの顔が青ざめる。
アリィ「どうしたの?体調悪い?」
ジーク「アリィ伏せろ!!」