テラーノベル
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それから数日後
私たちの関係は、職務上の「鉄壁の連携」という仮面を被りながら
その裏側でより密度の高いものへと変貌していた。
「……先生、この資料、確認をお願いします」
「そこに置け。……それと、三十分後の予定をキャンセルにしろ」
医局のデスク。冬馬先生は顔を上げず、淡々と命じる。
私は周囲のスタッフに聞こえないよう、そっと彼に近づき、耳元で囁いた。
「三十分後は、他院との共同カンファレンスですよ? 穴を空けるわけには……」
「……俺が『お前を補給する時間が必要だ』と言ったら、それが最優先事項だ」
不意に伸びてきた彼の手が、私の制服のスカートの影で、私の膝を強く握りしめた。
指先の熱がストッキング越しに伝わり、私は思わず短い悲鳴を上げそうになる。
「っ…先生、ここをどこだと思って……!」
「分かっている。だから、三十分空けろと言っているんだ」
眼鏡の奥で光る、サディスティックな愉悦。
彼は私を困らせることを楽しんでいる。
けれど、その強引さの裏には
一瞬でも私を自分の視界から外したくないという、飢えたような独占欲が潜んでいた。
結局、私は「急なデータ修正」という名目で、先生と一緒に個人研究室へと身を隠した。
ドアに鍵がかかった瞬間、私は背後から抱きしめられ、首筋に熱い唇を押し当てられる。
「……んっ、…♡先生、本当に…っ、ワガママすぎます……」
「お前が俺を甘やかした結果だ。……結芽。お前の体温だけが、俺の昂ぶった神経を鎮められる唯一の処方箋なんだ」
彼は私のスカーフを解き、昨日よりもさらに濃く、消えないほどの痕を上書きしていく。
まるで、自分の所有物であることを自分自身に言い聞かせるかのように。
だが、その甘い密室に、冷ややかなノックの音が響いた。
「冬馬先生。……日本医療理事会の者です。少々、お話がありまして」
その声を聞いた瞬間、冬馬先生の体が、石のように硬直した。
扉の向こうにいるのは、病院内の噂を聞きつけ、彼の「弱み」を握りに来た外部の敵。
私たちの「聖域」を脅かす影が、ついにその姿を現そうとしていた。
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