「えぇーーーーー!!?」
森の中に響く私の声、それを聞いた鳥たちは逃げるようにして飛び去って行った。あたりは真っ暗で、まんまるい月が私を不思議そうに覗いている様だった。
「わたっ、私はっ、、、肌白い!?なんで!?」
混乱する私、あたふたしていると急に遠くから声がした。
「いたぞー!!!アイツが吸血鬼だ!!」
「奴を殺せー!!」
「いやいやいやいやえ?」
こちらへ全速力で向かってくる兵士らしき人、とてつもなく重そうな鎧、鋭い剣、盾を持ちながら私の方へ向かって来る。すかさず私は走り出した。
「なんで私なんもしてないよー!?しかもなんで剣なんて持ってるのさー!」
木や草をかき分け走る私。さながら肉食動物から逃げる草食動物のようだった。気づくと兵士の姿は居なくなり、疲れた私は丁度よく椅子のような形になっていた木に座った。
「本当に何なのここ?剣は持ってるしスマホは無いし。暗くて助かったよー。それに1番は、、、私吸血鬼なの?」
さっきの兵士は私の事を吸血鬼と呼んでいた。その人の頭がおかしかっただけかもしれないが、私の肌の色がおかしいし、もしかしたらあるかもしれない。
そうなれば2つの懸念点がある。その1つが食料だ。私は昔そうゆうのに詳しい友達から教えて貰った事がある。
『 これ吸血鬼って言ってねー。人の血を吸わないとお腹空いちゃうんだよー。でも夜にしか動けなくてね、朝に動いちゃうと消えちゃうんだよ。』
それが本当ならかなりまずい。この月が昇っている間に人の血と日光を防げるどこかに行かなければならないのだ。
日光を防げる場所はそこら辺の洞窟みたいなところで何とかなるとして、問題は血、、、
ガサガサ
「ん?」
何か物音がした。動物でもいるのかと思い音がした方を覗いて見る。すると、、、
「道に迷ったな、、どうしよう、、、」
人がいた!10代くらいのとても若い人がいる。こんなに都合のいいことは滅多に無い。今までの行いが帰ってきたのかな、、なんて考えつつ襲い方を考える。
「後ろからこっそり、、、それとも正面から?一発で行けなかったらどうしよう、、、もういい!当たって砕けろだ!」
バッ
ドゴォ
私は少年の目の前へ行き、腹に一撃入れた。その瞬間今まで聞いたことの無いような鈍い音、私は音を聞いた瞬間、勝ちを確信した。
少年はそのまま海老反りのような形になり、ギャグ漫画のような勢いで飛んで行った。
「なんか思ってた5倍くらいすごいな、、、やっぱ私マジの吸血鬼なのかな、、物理攻撃する吸血鬼見た事ないけど。」
私はその後飛んで行った少年を血眼で探し、みつけた少年を近くの洞窟へ運んでみた。月は不思議そうに覗いているようだったが、今は引いているように感じた。
「それにしてもこれどうやって食べるんだろ、そのままガブッと、、、やってみるか」
ガブッ
チューーー
「美味しい!」
血は思ったよりも美味だった。感覚としてはスムージーを飲んでいるような、美味しくてもうでなくなるまで飲んでしまった。
「はっ!飲んじゃった!どうしようーー。」
今日はたまたま人が居ただけでここまで深い森だとなかなか人はこないだろう。そうすれば次からの食料調達も考えないと行けないけど、、、その時になったら考えよ!今日は寝る!
そうして私の1日目が終わった。
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