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過去、そして未来
廃工場・戦闘後
(崩れた鉄骨。焦げた機材。
硝煙の匂いが、まだ空気に残っている)
(唯我は地面に膝をついていた)
(血が流れ、呼吸は浅い)
(視界が揺れる)
公太
「おい! しっかりしろ、唯我!!」
一祟
「傷が深い……すぐに処置を」
(公太が肩を支える)
(手が、わずかに震えている)
公太
「クソ……なんなんだよ、あの力……」
(唯我、目を開ける)
唯我
「……公太……?」
公太
「大丈夫か!?」
(唯我、かすかに笑う)
(血が滲む)
唯我
「……お前に助けられるとはな……」
唯我
「皮肉だ」
(公太、一瞬黙る)
公太
「……うるせぇよ」
公太
「お前が死んだら、俺が面倒だろ」
(唯我、少し目を見開く)
(そして、微かに笑う)
唯我
「……そうか」
一祟
「お二人とも、その辺で」
一祟
「まずは応急処置です」
(応急キット)
(手当て)
(少しだけ呼吸が落ち着く)
公太
「こういう時に俺が必死って……変な感じだな」
唯我
「……だな」
(視線が合う)
(少しだけ気まずい沈黙)
一祟(微笑む)
「唯我さん、素晴らしい戦いでした」
一祟
「公太さんも……仲間想いですね」
公太
「なっ……!」
公太
「俺だって普通にやるだろ!!」
(唯我、笑う)
唯我
「……借りができたな」
(公太、少し照れる)
(でも、どこか嬉しそう)
(その様子を遠くで見ている畑中)
畑中(小さく)
「……少しはチームになってきたか」
(ジュリーが隣に立つ)
ジュリー
「でも……ゼノス」
ジュリー
「あれ、本気じゃない」
畑中
「ああ」
ジュリー
「空間が歪んだ……あれはただの剣じゃない」
畑中
「異次元の力……かもしれねぇな」
(その時――通信)
通信
「緊急連絡です」
畑中
「どうした」
通信
「ゼノスは“呼び戻された”ようです」
(空気が変わる)
畑中
「……アビスの指令か」
(短い沈黙)
畑中
「唯我」
(唯我、顔を上げる)
畑中
「ゼノスはお前の過去を知っていた」
(唯我の表情が強張る)
唯我
「……まさか……」
畑中
「可能性はある」
畑中
「あいつも“あの戦場”にいたのかもしれん」
(焼けた空)
(叫び声)
(記憶がよぎる)
(唯我、沈黙)
畑中
「今回は上出来だ」
畑中
「だが次は違う」
(3人を見る)
畑中
「ゼノス級がまた来る」
畑中
「備えろ」
唯我
「……ああ」
(静寂)
公太(視線を逸らして)
「まあ……」
公太
「次はぶっ倒せばいいだけだろ」
一祟
「油断は禁物です」
一祟
「次は……もっと厳しい戦いになります」
(空気が引き締まる)
畑中
「お前らを信じてる」
畑中
「だが次は――全力以上だ」
(風が止む)
(空が曇る)
(次の戦いは、まだ見えない)
夜道
(任務を終えた三人)
(静かな街)
(別れようとしたその時)
一祟
「唯我さん、少し」
唯我
「……何だ」
一祟
「送らせてください」
唯我
「……必要ない」
一祟(穏やかに)
「無理をなさらずに」
一祟
「それに……少し話も」
(間)
唯我
「……分かった」
(二人、並んで歩く)
(足音だけが響く)
一祟
「公太さんのことなんですが」
唯我
「……あいつがどうした」
一祟
「変わったと思いませんか?」
唯我
「……ああ」
唯我
「あの時は……必死だった」
一祟
「彼、あなたを気にしてましたよ」
(唯我、止まる)
唯我
「……俺を?」
一祟
「ええ」
一祟
「ずっと」
(沈黙)
唯我(小さく)
「……面倒な奴だな」
(一祟、微笑む)
一祟
「でも、信頼できる人です」
(夜風が通る)
一祟
「変わってきてます」
一祟
「仲間を守ろうとしている」
唯我
「……そうか」
(少しだけ笑う)
唯我
「面倒くさいが……ありがたいな」
一祟
「本人には言わないんでしょうけど」
(唯我、少し笑う)
家の前
唯我
「ここでいい」
一祟
「お大事に」
唯我
「ああ」
(扉が閉まる)
(一祟、空を見上げる)
一祟
「……うまくいくといいですね」
(小さく笑う)
(夜に溶けるように歩き出す)
(それぞれの過去を抱えながら)
(それでも――)
(少しずつ、未来へ進んでいく)