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「アウルム・キルクルス、お前はずっとレベル0でザコだ! 勇者なんかじゃない! 追放だ!」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」


ギルメンから徹底的に殴られ、蹴られまくった俺は何時間もボコボコにされ、全身骨折の重傷を負った。その末にギルドを追放された。


命からがら村へ帰り、半月掛かって治療し……その間にも、第二勇者が召喚され『セクンドス』というヤツが俺のギルドだった勇者となり、魔王打倒の旅に出たらしい。


精神的にも肉体的にも追い詰められた俺だが、突如として小屋に現れた聖女に救われた。


「わたしはフルクトゥアトという者。アウルム・キルクルスさん、あなたが本当の勇者様ですよね?」

「――だったかもな。今は第二勇者・セクンドスが世界を救っているけどな」


正直もうどうでも良かった。

あれだけ散々にされたからな。


「ギルドを追放されたとは伺っております。なので、わたしはお力になりたいんです」

「力に? 君に何が出来るのさ。俺になんの力もないし、レベル0の勇者だぜ?」

「レベル0……やっぱりそうなんですね」


「?」


「レベル0という事は、あなたはやっぱり真の勇者様なんです」

「意味が分からない」


「――つまり、アウルム・キルクルスさんは、力を持っているんです。でも、それは覚醒には至っていない。だからわたしが覚醒を促します。そして、最強にして差し上げます。よろしいですね?」


と、少女は俺の手を優しく包む――。


光がポワッとすると【レベル投げ】というスキルを習得し、覚醒させた。なんだこのスキル。今までこんな謎スキルは見たことも聞いたことも無かった。


「この不思議な力はいったい?」

「それは【レベル投げ】です。あなたはレベル0ですので、魔力なしに無限にレベルを投げられます」


「意味が分からない」

「試しにあそこにある木に向かって投げてみてください」


窓辺からスキルを発動する。

右手に光が宿りはじめ、俺はその力に驚いた。


「なんだこれ……。すげぇ魔力だぞ」

「ええ、レベル0は言い換えれば無限のパワーです」


どういう理屈だよ!?


……まあいい、投げて見るか。


ポイッと軽く投げると――



ドォォォォォンと大爆発を起こし、目の前が木っ端微塵に吹っ飛んだ。


「うわぁッ!」

「凄い威力ですね」


そんな冷静に……爆弾かよ。

それにしてもこの力は凄いな。

こりゃ、粉々っていうか灰になっている。スゲェ火力だ。一発の魔法攻撃力が異様に高いらしい。数値で言えば、1000%以上は誇るのではなかろうか。


「凄い威力だけど、なんのステータスに依存するんだ?」


「主に『運』ですね。今、わたしがお傍にいるので、アウルム・キルクルスさんの運が極端にアップしています。わたし、これでも聖女なので『運』アップのパッシブスキルがあるんです」


「なるほど、君がただ傍にいるだけで運気アップか……そりゃいいな。君ひとりなの?」

「ええ。ユースティティア教会にずっと居ました。でも、一週間前に神託があって……それで、あなたの元へ」


どちらも同じ意味だが『神託』と呼ぶ者や『オラクル』と呼ぶ人間もいる。その噂くらいは聞いた事があった。聖女様の神聖なる力なのだという。未来を見通す力もあるとか何とか。そうか、それに従い俺の元へ。


「じゃあ、俺と一緒にパーティ組むか」

「あの~…実はわたし、第二勇者・セクンドス様にギルドに入るよう誘われていまして……でも、わたしは第一勇者様のアウルム・キルクルスさんこそが本物だと思うんです。だから……何があろうともあなた様を支援したいと考えております」


白く細い指を、手を伸ばしてくれる。

俺はそれに応えた。


「ありがとう。俺は元勇者だけど、嬉しいよ」

「はい、一緒にがんばりましょう」


俺はこの日、聖女フルクトゥアトと出逢った。

これが俺の運命を大きく変えるとはな――。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

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