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羽海汐遠
13,801
『episode2 いにてぃうむ』
【2F 個人部屋】
東「ここは個人の部屋と、休憩スペースがあって…」
ここに来てまだ1時間
東雲のおかげでかなりこの施設のことはわかってきた。
俺が入ってきたところは一階で
正面から見て右に行くと食堂
左には保健室(?)
そして二階から四階までが個人部屋らしい
東「これ、カナメ君の部屋の鍵です」
茅「あ、あぁ…ありがとう」
東「ちょうど休憩スペースの横ですね
お隣さんに挨拶しておいてください」
東「それと…」
東「1時間後、噴水で待ってます…
では…」
そういうと、東雲は足早に帰っていった
【茅蜩カナメの部屋】
茅「…ここが、俺の部屋か」
部屋の中はベッドと小さい冷蔵庫が一つ
それにハンガーラック。
茅「…」
取り敢えず俺はベッドに座り
東雲の言っていた運命について考えた
1時間前ほど
東雲は出会ったばかりの俺に
「運命だから友達になってくれ」と言った
俺になんの運命を感じたのだろうか
運命ってなんだ…?
茅「…考えすぎか」
そうだ
きっと東雲は初めて同年代の人と出会って友達になりたかっただけだ。
それでも運命という言葉が引っかかるのは
俺が…運命という言葉に囚われているからだ。
【1時間後 噴水前】
補「来たか。」
茅「補佐さん?」
噴水の前に立っていたのは
東雲ではなく、補佐さんだった
補「あぁ、光が来ると思ったのか?
悪いな、こんな萎れたババアで」
茅「いえ、別に…」
補「今からお待ちかねの」
補「能力贈呈だ。」
【B1 ???】
茅「…うわ…」
エレベーターで連れてこられた場所は
上の施設と変わらず白を基調とした感じだが少し違うのは、なにやら大きな機械が沢山置いてあるところだった
補「ここは実験施設兼、能力贈呈のための場所だ」
茅「その…能力贈呈って?」
補「名前の通りだ。テレビで見ないか?」
補「処刑人が不思議な力を使っているところを」
…確かに
よくテレビや新聞で魔法使いだの超能力者だの言われているのは聞いたことあるが…
本当だったのか
【???】
補「ここに座れ。」
茅「えっ、やっ…これって」
見るからに…電気椅子だ…
補「この機会を使ってお前の脳を見る
その内容によって能力が変わるんだ」
茅「…死んだらしませんよね?」
補「…大丈夫」
茅「…信じますからね?」
補「あぁ。」
俺は少し心配になりながらも電気椅子の
ようなものに座った。
補「じゃあ始めるから
動くなよ。」
茅「はい…」
目をぎゅっと閉じた数秒後
補「…終わりだ」
茅「え?」
もう?早くないか?
まだ座って1分程しか経ってない
補「じゃあ次の部屋行くぞ。」
茅「は、はい…」
何が何だかわからない
そう思いながらも俺は次の部屋へと向かった。
【???】
茅「お〜!」
補「お前ぐらいの年のやつは皆そう言うな」
茅「いや、普通にこれすごいですよ!」
次の部屋ではなんと部屋いっぱいに
武器が飾っており、なんとも男心がくすぐられる見た目をしている
補「何か一つ、好きなのを選べ」
茅「…うーん…」
かっこいいから剣とか銃とかがいいけど
やっぱり初心者には使いにくそうだ
チェーンソー?重そう
勿論斧や鎌は論外だ
だとすると…
補「…随分無難なのを選んだな」
茅「死にたくないんで…」
俺はナイフを選んだ
補「よし、これで一通り終わりだ。
明日は実戦だから今日はよく寝ろよ」
【1F 噴水前】
東「…カナメ君、おかえり」
茅「あっ、えっと…ただいま」
東「どうだった?」
茅「…あんまりわからなかった
能力は教えてもらえなかったし」
東「そうなんだ…」
東雲はどこか悲しそうな顔をしていた
茅「…大丈夫?」
東「…ちょっとここで話しませんか?」
東「これが、私の能力なんです」
そう言うと東雲は手から温かい光を出した。
茅「…あったかいな」
東「…これだけなんです。温かいだけ」
東「明日、私も召集がきました」
東「…ずっと…役立たずで、守られてばっかりで」
東「戦場で私が守らずに何人も死んでいきました。去年の新人も同じように」
茅「…」
東「私は誰かの命を犠牲にしたおかげで
今ここにいるんです。」
茅「そんな…」
そんなことない。
その一言をどうしても出すことができなかった
東「ねぇ、カナメ君」
東「この戦争で、毎日沢山の人が死んでいるんです。」
東「私の母も父も、妹も死にました。」
東「私はもう、誰かの家族を殺したくない。」
東「だから…」
東雲は俯き、何かを噛み殺したような顔をした。
東「…………すみません。
今日は疲れたので寝かせてください」
茅「えっ」
東「おやすみなさい」
そういうと東雲は走り去ってしまった
俺がもしこの時、追いかけて話の続きを聞いていれば今も…今も生きていれたかもしれないのに
コメント
1件
東雲さんの「温かいだけ」の能力と、それでも誰かを守りたいって気持ちに胸がぎゅっとなったよ…。最後の「追いかけてたら生きていられたかも」って一文、すごく重くて、この先どうなるんだろうって震えた。カナメくんの無難にナイフ選ぶとこ、ちょっと笑えたけど、それが生き残るための選択なんだね。続きが気になる…🥀