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#溺愛
植まどか
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#死に戻り
青空美空
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陽星☀️🎧☄️🩷
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本日は生憎の雨模様。
明日、マリノアルは10歳の誕生日を迎える。
「ついに明日…」
この日の為に準備をしてきた。1人で生きていく為の準備。殺される運命から逃れる為の準備。
徒労に終わるかもしれない、それでも生きることを諦めない。殺される為だけに死に戻りを繰り返しているなんて思いたくないから、誰かを想い愛することよりも自分の為に生きていきたい。
どうせ誰も自分を愛さないし信じてもくれない。
クオールならあるいは、とも思ったけど味方でいてくれたのはあの時の1度きり。あとは全て断罪する側にいた。
ならば自分で自分を愛せばいい。大切にすればいい。よく頑張っている、お前は何も悪いことをしていない
胸を張れ。
誕生日を待たずにルノと邂逅した3年前。
諦めない、と宣言した通りルノはこれまで以上に色々な誘いをかけてきた。
マリノアルはそれら全て拒否してきたが応じないのならまた単独で押しかけると脅してきたのである。
アポ無しで訪れたあの日、やはり城内では大騒ぎになっていたようでルノは両陛下から大目玉を食らいお詫びとして大量の品が届いた時は屋敷内が騒然とした。送り返そうとも思ったがそれはそれで不敬になるとクオールに止められた。
送られてきた品の殆どが食材だった為痛む前にとクオールを通じて公爵に話を通し後日、領民たちに料理が振る舞われその日はちょっとしたお祭り騒ぎになり大いに盛り上がったと聞いた。
そのような事があった為、前回と同じフィリヴィッツ家の庭園にあるガゼボで10分だけの茶会のみ。
ルノには必ず1人だけ護衛もしくは使用人を付け、茶会に参加するの自分たちを含めた4名のみ。それ以上は如何なる理由があっても許可しない。
付ける護衛もしくは使用人は必ず同じ人物であること。
自分は出迎えも見送りも一切しない。
遅くとも2日前までには事前許可を必ず取ること。
これらの条件が飲めないなら今後一切関わることはないと言えば了承の返事が届いた。
王家の者に対して条件を出すこと自体異常な事ではあるがマリノアルにとってはいつ、どこで、誰に顔を覚えられ冤罪をかけられるか分からない。近付く人間は最小限にしたいのだ。
あと3年待たずに家を出ても良かったがこうして定期的にルノとの茶会が開かれてしまった為にそうもいかなくなり結局当初の予定通り、誕生日を待つことにした。
暮らす場所は決まっている。いくつかの国と隣接しているある大きな森。森というかいや森ではあるのだが大きすぎて山にしか見えない、『死の森』と呼ばれるこの森は凶暴で凶悪な魔物たちが生息する危険な場所。1歩足を踏み入れたが最後、生きて戻ることはできないと言われている。
その為どこの国にも属さない無法地帯となっているのだ。
マリノアルにとってこれ程好条件な場所はない。人はほとんど立ち入らないこの森ならば簡単には見つからないだろうと思う。
大丈夫、仮に見つかったとしても自分には魔法がある。この5年身を守る為の魔法をたくさん創った。寝静まった頃、家を抜け出して魔物を倒し経験を積んでいった。いざと言う時、動けないなんてことがないように。パニックにならないように。もしも魔法が効かない魔物に出会ってしまった時の為に剣を使えるように訓練もしている。
出来ることは思いつく可能な限りやってきた。
大丈夫、大丈夫だ。簡単に捕まらない。簡単に殺されない。生き残ってやる。
必ずだ。
明日の誕生日の準備の為、屋敷内はいつもより騒がしい。
結局マリノアルが婚約者に選ばれる事は変わらず、お披露目を兼ねて王城で盛大なパーティを催す事になっている。
王城には何があっても行かないと伝えていたが、茶会の時ルノから王城で開かれる事は変えられない、主賓なのだから必ず参加してくれと10分の間に何度も謝罪と催促をされた。
ずっと不思議でならない。作られた表情しか見た事なかったルノが今回では様々な表情を見せている。作られた表情をしていたのはあの日、突然来訪してきた時だけ。帰る時には自然な表情になっていたから驚きと共に不気味さを覚えた。
12歳になったルノは少しずつ落ち着いてきて今では王族らしい大人びた雰囲気と立ち振る舞いだ。少々言動が子供じみている部分はあるものの自分がよく知るルノに近付いている。
そしてそれも学園に入り、あの平民の男と出会い真実の愛とやらを嘯いて自分を殺すのだろう。
分かりきっている未来の通りになどさせるものか。
「あの平民の男と幸せにやればいい。俺を巻き込むなクソ野郎」
何度も絶望してきた所為で汚い言葉を使うなどとマリノアルは渇いた笑いを零した。
外はいつの間にか雨が降っていた。
コメント
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うわあ、第8話、めちゃくちゃ重くて美しい回でしたね…。マリノアルの「自分で自分を愛せ」っていう内省、心に刺さりました。あと死の森を拠点に選ぶ発想とか、魔法・剣の訓練を積んでる徹底ぶりとか、設定の作り込みがもう…リオンとしてはたまらんです。ラストの「クソ野郎」って吐き捨てるところで、彼の怒りと悲しみが凝縮されてて、胸がぎゅっとなりました。明日の誕生日、どう転ぶのか気になります…!