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???「皆さん!サッカー部が喧嘩してます!」???「この学校は部活内で争わないと死んじゃう病でもかかってるの?」
???「何で喧嘩なんてしてるのよ?」
???「サッカー部は……」
???「小春がいる部活っすよね」
ここは生徒会室。「橙」が「雨花」、「桃時」、「兎白」、「瑠璃人」にサッカー部が喧嘩してることを報告した。
雨花「まぁいいや。じゃあ行きますか。サッカー部」
桃時「とりあえず行くしかないわね」
瑠璃人「あいつ何してるんだよ」
兎白「小春一人を責めるのは違うぞ」
瑠璃人「分かってますよ。でも……」
雨花「喧嘩するような人に妹を任せて良いのか……ってこと?」
瑠璃人「そうは言ってねぇだろ……。……」
雨花「顔に出てるよ」
瑠璃人「うるせぇ」
雨花「喧嘩するのは人間同士いる以上免れないでしょ?逆に喧嘩があるってことは意見を言い合える関係性ってことで、そういう関係性を人と作れてるんだから真っ当な人間らしい人間じゃない?」
桃時「確かにそうね。アタシとあんただってよく喧嘩してるじゃない」
瑠璃人「……なんかそう考えると、オレお前とそんな関係になってんのか?キモ」
桃時「あんたぶっ飛ばすわよ」
雨花「あはは!とりあえず早く行こ」
橙「はい!お願いします!」
雨花たちはサッカー部へ向かった。
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「このフォームを取るんだよ!!!!」「でもそれだと……」「うるせぇ!先輩の言うことが聞けないのか!!」「でもこのフォームの方が速いし……」
桃時「で、着いた訳だけど」
兎白「何の話をしてるんだ?」
橙「ええっとですね……」
話はつまりこう。
今までの先輩がやっていたサッカーのフォームより、一年生の考えたフォームの方が速いことが分かり、それを行うよう先輩に促したところ、口論になり、先輩が一方的に殴ることになってしまった……ということ。
雨花「うちの学校の部長は何でそんなに血気盛んなの?」
雨花はちらっと兎白と瑠璃人をみる。
兎白・瑠璃人「…………」
桃時「で、その一年生ってもしかして……」
橙「あっ!その方が……!」
「「小春さんです!!」」
雨花「小春くんが考えたフォームの方が速いからみんなはそれに賛成してて、部長さんは反対してるんだよね」
「当たり前です!!このフォームは歴代の先輩たちが考えて受け継いできた御業。それをほいそれと下級生が考えたフォームに変えられるわけないじゃないですか!」
桃時「でも小春が考えたフォームの方が速いんでしょ?」
小春は部長に殴られたため、校庭の脇で手当てを受けている。
小春「あ、あの!別におれの考えたフォームじゃなくても大丈夫なので……」
「何でだよ!お前の考えたフォームの方がめっちゃ速いんだぜ?お前の考えた足さばきを覚えれば、敵軍だって蹴散らせるぜ!」
雨花「そうだね。それに小春くんが一生懸命考えたものをなかったことにしても何の解決にもならない。小春くんだって本当は嫌でしょ?」
小春「それは……」
「お前たちはじゃあ先輩たちの受け継いだ技を!努力を!踏みつけにするのか!いいか!俺はな!犠牲の上で成り立つ世界なんて認めないからな!特に先輩たちの技を犠牲にするなんてな!!」
小春「…………」
桃時「どうすんのよ。どっちも努力した結果手に入れた技なのよ?どっちかは犠牲にならなくちゃいけない……」
橙「でも温故知新という言葉もありますし……」
兎白「どうにかどっちも納得できる方向にならないか……」
瑠璃人「オレは単純に速い方が良いと思うけど……でもそういう話じゃないんだよな」
橙、桃時、兎白、瑠璃人は考え込んでいる。
雨花「部長さん」
「何ですか?」
雨花「先程、「犠牲の上で成り立つ世界なんて認めない」って言ったよね?」
「そりゃあそうです!犠牲なんてものが生まれてどうするんですか!犠牲を生まれないようにやっていかなくちゃ先輩たちの技があまりにも哀しいじゃないですか!無駄かのような扱いをされて……俺は……」
雨花「…………犠牲のない世界?そんな世界甘い世界なの?あなたがみてるものは、あなたの好きなものに対する気持ちは」
「は、はぁ?」
雨花は真っ直ぐ部長の目をみつめる。
雨花「あのね」
「「犠牲は生まれるよ」」
雨花「犠牲の上に成り立つ世界を認めないのは自由だけど、認めないでいたらあなたの夢みる世界にはたどり着けないんだよ。犠牲の上で成り立つ世界を認めないじゃなくて、誰かが幸せになったら不幸になる人がいるように、そういう組み合わせ、そういう立ち並びだからこそ、そんな世界だからこそ自分を守っていかなくちゃいけないの。犠牲のある世界を受け入れていく。あなたは先輩たちのことを考えてるようだけど、自分自身のこと考えてみなよ。年功序列なんて一応多様性って言われてる世界には通用しなくなっててるよ。あなたは、あなた自身はどうしたい?もし、あなたの言う通り、先輩たちの技を大切にしたいならすれば良い。でも、それを他の人に押し付けるのは違う。自分たちのやりたいようにやるのが本来の部活の楽しさの一つなんじゃないの?」
「俺は……」
しばらく沈黙が続くと……
「俺は認めなくなかった。俺が尊敬した先輩たちが考えたフォームより下級生が考えたフォームの方が速いって。…………でも、その気持ちを押し付けるのは違うよな。小春」
小春「は、はい!」
「すまなかった」
小春「!、いえ!大丈夫です!」
「みんなもすまなかった」
すると……
「謝ってくれんなら良いっす!」「もう大丈夫っすよ!」「元の部長に戻ってくれて良かったっす」「部長のご指導また受けたいです!」
「お前たち……」
サッカー部員は部長の元に集まる。
兎白「良かったな。仲直りできて」
桃時「ハイハイ。解決したなら何よりよ〜暑苦しいスポ根はききたくないわ」
橙「雨花さんに任せちゃいましたね」
瑠璃人「小春……優しいな。……海音が好きになるわけだな」
雨花「……良かった」
せっかく真面目なのに
悪者扱いされるなんて
苦しいもんね
わたしは自業自得なんだけど
雨花「…………」
橙「?、雨花さん?」
雨花「……何でもないよ!あはは!」
「生徒会室戻ろうか」
橙・桃時・兎白・瑠璃人「はい!・へいへい・あぁ・おう」
こうして、サッカー部の喧嘩は終わった。