私は家のキッチンに立ち、ティファールの果物ナイフを研ぎ石で研いでいた
その夜は静かだった、普段なら隣人の話し声や、どこかでテレビの音が聞こえる事も良くあり、道路を走る自動車の動きも感じるのに
今ではポポでさえ、これから起こる何かをじっと待っているかのようだった
静かですべてが動きを止めたような夜だった
時間がノロノロ過ぎていく、私は一人キッチンへ立って柚彦君を思い描いた
太陽のような人
俊哉は間違いなく柚彦君を痛めつけている、それも彼がまったく抵抗できないようにしてだ
俊哉のサディスティックな手口や、歪んだ彼の遊び心は、容易に想像がつく
だって私は一年間彼と暮らし、嫌というほど彼の本性を見てきたから
俊哉のことだ、すぐに彼を殺すことはないだろうが、その一方・・・・ボロボロにする方法はいくらでもある
今回こんな事になったその責任はすべて私にある、そしてあの男は私の愛する人を奪った
その言葉はあまりにも自然に浮かんできた言葉なので、自分が何を求めているのか気づくのに時間がかかった
俊哉との結婚生活は遊びの様なものだった
私は柚彦君を愛している、心から
俊哉に指定された約束の時間まであと2時間足らず・・・・
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