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わーい
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俺のファンを名乗る不審人物から、また連絡が来た。
[やあ、こんにちは。和束美枝のネットの足跡をできるだけたどってみたよ。和束美枝のGoogleアカウントを探して、それで登録してあるAmazonとヨドバシと楽天と各種ネットスーパーのアカウントを見つけてまとめたから見てほしい]
相手からExcelファイルが送られてきている。一応ウイルスチェックしてから開くと、各種サービスのメールアドレス・ID・パスワードがずらりと載ったリストだったので、俺はひっくり返るかと思った。
俺のファンを名乗る不審人物から、また次のメッセージがきた。
[基本的にAmazonを使っているようだ。ここ半年の購入履歴をまとめたものもつけておく]
送られてきたExcelファイルをウイルスチェックしてから開くと、購入履歴のリストがサービス別に載っていた。
基本的に食料と生活用品。おむつもあった。特に変なところはない、強いて言えば2人+子供にしては食料も生活用品も多くないか?という気がするが。
しかしおむつ買ってるということは、アタリの子は生きてるということだ。俺は少しホッとした。
和束美枝のKindle購入履歴もあった。漫画や小説の中に、ちらほらと強迫症や発達障害関係の本がある。やっぱり、独学ながら学んで、自分がよりよく生きられるようにしてたのか……。
しかし、こんなハッカーだか何だかわからない無法な存在にどう返事すべきか。困った
が、役に立ったのは事実なので、「今探してる魂のうち1人は生きてるって確定してよかった、ありがとう」と送った。
[役に立てただろうか?]
「役には立ったんだけど、あんまり無法なことしないでほしい」
[バレないようにやっている。購入履歴はデータを吸い出しただけなのだが、何かわかることはあるかい?]
「おむつがあるから、探してる子のうち一人は生きてるって確定した。あとは、和束美枝が買ってるなら、生活を回してる人の買い物だなと。自分に必要な勉強も頑張ってるみたい」
[なるほど。こちらも補足を話す。20年前まで遡るのはさすがに無理だったけれど、和束美枝が20代くらいからはネットスーパーとAmazonと楽天で生活用品のほとんどを仕入れているようだね。それ以前は生協のようだったが、生協の住所は別人の住所だ]
「今は?」
[コンビニ受け取りや宅急便の配達所受け取りでやっているようだが、場所が見事にバラバラだ。一応ここ1年のリストを送るが、これを正直に信じると、和束美枝の住所は北海道と東北と関東と中国と九州にあることになる]
送られてきたExcelファイルに目を通す。本当に全国各地に散らばっていて、俺はため息をついた。こりゃ、ここから居場所を特定するのは無理だな。
「ネットスーパーの品はどこで受け取ってるかわからない?」
ネットスーパーの品は、さすがにコンビニ受け取りも置き配も難しいだろ。
しかし、返事は芳しくなかった。
[少し前までは、あの居住実態のない家の住所だったが、ことが発覚したと思しき頃からバラバラの住所になっている。一応、そのリストも送る]
送られてきたリストに目を通す。数は少ないながら、札幌、仙台、東京、名古屋、福岡……うん、バラバラだ。
俺は、思いついたことがあった。
「知り合いに、扉越しに別の場所をつなげられる人がいる。和束みやびが、いろんな場所に似たようなことができるなら、難しくない話かも」
知り合いとは、九さんのことである。
[どこでもドアのようなことができると?]
「まさにそんな感じ。後はこっちで調べてみる」
[役に立ててよかった。また何か役立つことを見つけたら連絡するよ]
「本当に無法なことはしないでね」
そう言っておいたが、返事はなかった。
千歳に話すと、千歳は『今日また日報書かなきゃなあ』と天を仰いでいた。俺は言った。
「でもなあ、この情報、出どころが出どころだから、信用できないって言われたらそれまでなんだよね」
『そうなのか?』
「一応、和束美枝さんのスマホキャリアのメールアドレスに紐づいたGoogleアカウントと、そのGmailで登録されたサービスの一覧ですっていう風には渡せるんだけど、答え合わせをするには俺らがそのアカウントにログインしなきゃいけなくて、そうするとよそからログインされたって通知が和束美枝さんに行くから、相手に即バレるんだよね」
『そっかあ……』
千歳は残念そうだ。
「参考資料になるかも、って形で書いといて。ファイルは俺から金谷さんに送っとくよ」
『うん』
アタリの子が生きてて、世話されてる。それだけでも俺的には十分な収穫だったが……俺のファンを名乗る不審人物をどこまで信じていいか、という気持ちは常につきまとうんだよな。どうしたもんかな……。
コメント
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うわあ、この「ファンを名乗る不審人物」、能力は確かだけど手法が完全に無法地帯だな……。でも、購入履歴からおむつが見つかって「アタリの子が生きてる」って確定したシーンは、ほっとした。情報の出どころが信用できないからこそ、そのジレンマがじわじわ来る。どこまで信じていいか分からない、ってタイトル回収も含めて、すごく生々しい話だった。