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「もう俺は寝る。朝早いしな」

「アタシもー!」

「では私も夢の中にダイブします。ドライブする夢が見たいですね」

三人は違う場所に向かい、それぞれが眠りについた。

ドミニックは木によじ登って枝の上で眠り、アンジェは他の木に寄りかかって眠りにつく。

カロリーヌは松明の火を三つ消して、そのまま丸太を枕にして眠りについた。

「おいらは寝たばっかりだから、ちょっと辺りを冒険してくるぜ!」

掴んだ松明を上に掲げて、ザールは目の前の道を指差し進むことにしたようだ。

シプリートは眠いので、カロリーヌの隣に横になった。彼女の寝顔を見る。可愛い。

普段から天然で何を考えているのかよく分からないが、寝顔は子供そのもの。

とはいえカロリーヌはメイドだ。

地位が違いすぎるので、シプリートに好意を寄せているエミリと結婚した。

カロリーヌも頼れる相棒みたいな存在だが、好きかと言われると正直分からない。

明日は朝早くに出発するので、何も考えずに目を閉じて眠りについた。


だがその日、また悪夢にうなされてしまう。これで何回目なのだろうか。

人々の悲鳴や血まみれの現場。そして目の前で次々とモンスターになっていく国民たち。そのモンスターを操る黒服の男、ブラックの姿。

彼はニコニコと微笑み、モンスターに成り果てた人々を操っては国を破壊に追い込んでいた。

なぜそのようなことをするのか。それはこの惑星を全て自分の所有物にするため。



「はっ……!」

目が覚めると、もう朝日が昇っていた。太陽が顔を出し、空も薄い水色の空に移り変わっている。白い雲が綺麗だ。

目の前にはカロリーヌがいて、覗き込んでいた。

心配そうな瞳で見ている。

「うなされていましたよ。大丈夫ですか?まだ寝てた方がいいのでは?」

「いや、大丈夫。いつものことだし」

体を起こして周りを見ると、皆起きていた。

また冒険に出発しなければ!

姫を助けないと、結婚した相手がいなくなって両親にこっぴどく怒られてしまうから。

そして何よりまだ愛の言葉を告げていない。彼女を助けたら好きだ、愛してるって言うんだ!

「みんな起きたな。さ、行くぞ!」

ドミニックは一人でに歩き始めた。シプリートは剣を握りしめ、皆に追いつくよう走って向かう。

林を出て、草原を歩く。

するとそこへ冒険に出かけていたザールが、慌てて走ってやってきた。彼の後ろには、ゾロゾロと歩くわらじ虫のようなモンスターが多くの列をなしてやってきている。

緑色の鎧に覆われ、前にある二つの鋭い刃で砕かれそうだ。足がたくさんあって、それがモゾモゾと動いていてモンスターの足からたくさん木が生えていく。目が複数ついていて、ギョロギョロと赤い瞳を動かしていた。

「ひぇーー!!助けてー!追われてるよぉぉぉぉ!!」

「仕方ない。体力も回復したし、俺が全部倒してやる」

魔法は使いすぎると体力を消耗する。連続で使えば、たとえプロでも疲れが勝るのだ。

「食らえ!必殺技『流星スラッシュ』!」

ドミニックが手を挙げると、わらじ虫の上に黒い雨雲ができそこから大量の龍の形をした水を放射する。しかし全く効いていない。

彼は歯を噛み締めた。

木属性は水属性に強く、風属性に弱い。こうなることは仕方ない。

「くっそ!木属性か。相性が悪いな。おい、アンジェ。お前が倒せ」

「え、アタシ!?無理よ、こんな大量になんて払えないわ!」

困惑気味に首を振り、シプリートの後ろに隠れる。隠れていてもバレてしまうのだが。

「いや、お前ならできる。まず魔法が何なのか思い出せ!魔法はティーカップに入っているお茶を上に動かす瞬間を想像するんだ。魔法の流れを循環させるより、水のように流れていくのを想像しろ」

「分かりました、師匠」

ドミニックのアドバイスをもとに、ティーカップに入っている紅茶をイメージした。それをゆっくり動かす感覚。そして水の流れを感じる。

アンジェは両手に力を込め、一気に風を吐き出す。大きな風はあっという間に竜巻になって回転し、目がたくさんあるわらじ虫を吹き飛ばした。当然木属性なので風に弱く、全滅している。

彼女は初めて一人で大量のモンスターを倒すことができた。アンジェは元々魔法の力が強いのに、魔法を操る方法を知らなかったのだ。

ガッツポーズをして喜ぶ。

「やったーー!!師匠のおかげで、倒せました!!」

「ふっ、俺の教え方はピカイチだからな。もっと褒めてくれてもいいぞ」

カッコづけてそう言うが、アンジェはニコニコとした笑顔で断る。

ドミニックは魔法が使える点で素晴らしいが、それ以外は自信満々すぎて好意を持てない。

「遠慮しておきます!」

ザールは後頭部をかいて、苦笑いを浮かべる。

「いやー、助けてくれてサンクスな!まさか神社のお供物のパンを食べたら追われる羽目になっちまってな」

「それはダメでしょ。バチが当たったじゃん」

シプリートは呆れて額に汗をかく。

「うう……反省しています」

ザールは泣きそうな目で、謝った。

彼は森の精霊を祀る「ヒーラ御神殿」という場所にあった菓子パンを食べて、森の怒りをかってしまったようだ。森の守り神を倒してしまったが、これくらい大丈夫だろう。

「さ、進もう」

草原を通り、わらじ虫が作った森の中へ入っていく。

失われた姫と消えた秘宝

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