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彼は私に対してとても紳士的だけど、どこか私を好いているというよりかは義務的に結婚したいような雰囲気を醸し出していた
徹にプロポーズされた翌日私は美鈴に言った
「徹さんに結婚を申しこまれたの!」
「それで、何とお返事したの?」
継母の美鈴は驚いた様子もなく聞いた
「お申し出はありがたいけれど出来ませんと言ったわ」
「それはあなたの決めることだけれど・・・」
と言って美鈴は紅茶を一口飲んだ
「でも、男性の真面目なプロポーズを、子供っぽい気まぐれでお断わりしてしまうのは良くないことよ」
美鈴はすばやい視線で私を値踏みするように、上から下まで眺めた
「今までの様子では、あなたに興味を持つ男性が現われる気配もないし・・・・・・」
私は顔をしかめて言った
「だから尚更あの方が私に興味を持つ理由がわからないわ 」
美鈴も言った
「将来のある若い男性には、家庭を支えてくれる妻が必要よ・・・彼も身を固めて仕事に埋没したいのよ」
「でもあの方は私を愛していないわ」
「男性経験のないあなたに、どうしてそんなことがわかるの?」
「あの方は・・・・どう言っていいかわからないけど・・・私を好きだとか・・・愛しているとか、おっしゃらないわ・・・・ 」
「はにかみ屋さんなんでしょう・・・それにそういう事を口に出さない男性も世の中には沢山いるわよ、それにあなたは環境を変える必要があるんじゃなくて?そろそろお父様のお膝から降りて、別の男性と人生を歩んでみては?」
美鈴の嫌味が胸に刺さる、父はもう自分のものだと言いたいのだ
「・・・・私をここから追い出したのね・・美知恵おばさんのように・・・父を手玉に取って面白い?父の財産が目的なんでしょ!あなたならいくらでも若い男が寄ってきそうなのに、どうして年老いた父なの? 」
私はとうとう真実を美鈴に突きつけた
美鈴はショックを受けたような顔をした
「まぁ・・・いつ私がそんな事を・・・ショックだわ・・・・私はあなたと本当に仲良くしたいのよ、あなたに徹さんを進めるのは心の底からあなたに幸せになって欲しいのに・・・・もう話にならないわっ」
そう言ってバタンッと美鈴は部屋に閉じこもってしまった
そしてその夜遅く父が私の部屋に入ってきて、美鈴に謝りなさいと言った
どうしてそんなに新しいお母さんをいじめるのだと、お前が懐いてくれないと
美鈴が泣いていたと言われた
私はいじめていないと言った、真実を言ったまでだ
ただ長年の父と私の信頼を彼女が徐々に、トランプタワーの様に壊して行くのが堪らなかった
今や父はすっかり美鈴の虜になって、何をするにも美鈴の肩を持つ父にとっても私はもう厄介者なのだ
私は初めてもう自分は、この家にいない方が良いのではないかと考えだした
こんな辛い思いをするならいっそのこと・・・・
数日後私は自分の部屋で、 何時間も床の上を行きつ戻りつして、この問題をどう処理すべきか考えた
そしてとうとう、父とのあの会話から数日たった今、プロポーズしてくれた徹と結婚してしまおうと心を決めた