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10話 2層目 匿名遊園地
入口のゲートは、
静かに開いていた。
薄手のジャケットに、
軽いスニーカー。
歩き回る前提の服装で、
荷物は最小限。
髪は後ろに流され、
風で少し動く。
整えすぎないが、
邪魔にもならない。
中に入ると、
音が重ならない。
それぞれのアトラクションが、
一定の距離を保って配置されている。
大きな看板はあるが、
名前は書かれていない。
世界観だけが描かれ、
説明は短い。
体験できます
順路に沿ってお進みください
無理のない範囲でお楽しみください
どれも、
語尾が似ている。
人は多いが、
混雑していない。
列は自然に揃い、
待ち時間は表示されない。
遊んでいるはずなのに、
急かされない。
映像は精巧で、
操作も分かりやすい。
初めてなのに、
戸惑わない。
途中で、
係員を探す。
制服は揃っているが、
名札がない。
質問しても、
答えは丁寧で、
個人名は出てこない。
どの作品も、
完成度は高い。
欠点が少なく、
尖りも弱い。
誰かの強い主張より、
多くの人が困らない形を、
優先した作り。
出口に向かう。
お忘れ物はありませんか
ご利用ありがとうございました
またいつでもどうぞ
また、
という言葉が、
未来を保証している。
外に出ると、
現実に戻った感じはしない。
遊園地は、
日常の延長に置かれている。
誰が作ったのか、
るるくらげ
#完結済み/分割投稿中
松下一成
考える必要がない。
そういう場所として、
最初から整えられていた。