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#死ネタ・グロ・流血表現注意
#探偵
橘靖竜
5,860
麟兎
43
「被験者001……?」
神崎は壁に浮かび上がった文字から目を離せなかった。
自分の名前。
自分の番号。
そして、その下に記された文字。
**PROJECT REINCARNATION**
「これは何なんだ……。」
佐伯は答えない。
ただ、神崎を見つめている。
「佐伯さん。あなたは三年前、ここで死んだんですよね?」
「ああ。」
「なら、なぜ生きている?」
佐伯は少し黙った。
「俺は生き返ったんじゃない。」
「……?」
「俺の記憶を持った人間が、新しく作られたんだ。」
神崎の表情が固まる。
「そんなこと……。」
「信じられないか?」
佐伯は自分の胸を叩いた。
「俺だって最初はそうだった。」
「でもな、神崎。」
佐伯の声が低くなる。
「俺には、死ぬ直前の記憶がある。」
「……。」
「痛みも、恐怖も、最後に見たお前の顔も。」
佐伯は神崎を指差す。
「全部覚えてる。」
神崎の頭に、また激しい頭痛が走った。
――炎。
――地下祭壇。
――佐伯の血。
――自分の叫び声。
「うっ……!」
神崎は頭を押さえる。
知らない記憶。
だが、確かに自分の記憶だった。
「俺は……三年前、ここにいたのか?」
佐伯は頷いた。
「いた。」
「じゃあ、俺は何をしていた?」
「俺を助けようとしていた。」
「結果は?」
佐伯は目を伏せる。
「失敗した。」
突然、礼拝堂の奥から電子音が響いた。
ピッ。
壁に新たな映像が映し出される。
そこには、一人の少女が映っていた。
神崎は息を呑む。
さっき助けた少女だ。
画面の中では、まだ幼い少女が病院のベッドに座っている。
その隣には、若い神崎。
そして佐伯。
「……この映像は?」
佐伯は苦い顔をした。
「三年前の記録だ。」
映像の中の神崎が少女へ話しかけている。
「大丈夫。俺たちが助けるから。」
少女は泣きながら頷いていた。
しかし映像が突然乱れる。
画面が暗転する。
次に映ったのは、別の部屋。
白衣を着た男たち。
その中央に、今の少女。
まだ小学生だった。
そして、その前に立っていた人物。
神崎は目を見開く。
「……俺?」
映像の中にいるのは、現在の神崎と同じ顔だった。
しかし、その男は警察官ではない。
白衣を着ている。
男が少女へ何かを注射する。
少女が意識を失う。
映像が止まった。
神崎は震える声で言った。
「俺が……あの子に何をした?」
佐伯が答える。
「お前じゃない。」
「じゃあ誰だ!」
「お前の記憶を使って作られた、最初のコピーだ。」
神崎は振り返る。
もう一人の神崎が立っている。
「……俺のコピー?」
「そうです。」
男は静かに答えた。
「そして、あの少女は最初の成功例です。」
「成功例?」
「記憶移植の。」
神崎の目が少女へ向く。
少女は震えていた。
「私は……何なの?」
誰も答えない。
少女は自分の胸を押さえる。
「私の記憶……全部、本物なの?」
その問いに、もう一人の神崎は初めて目を逸らした。
その瞬間。
地下の照明が一斉に消えた。
完全な暗闇。
「何だ!」
神崎が叫ぶ。
遠くで扉が閉まる音。
一つ。
二つ。
三つ。
そして。
誰かの足音。
ゆっくり近づいてくる。
神崎は拳銃を構える。
「誰だ!」
足音が止まる。
暗闇の中から声がした。
「被験者001。」
神崎の心臓が跳ねる。
「実験を再開します。」
照明が戻る。
そこには誰もいなかった。
ただ、祭壇の中央に一枚の白い封筒が置かれている。
神崎が近づく。
表には自分の名前。
**神崎悠真**
封筒を開く。
中には一枚の写真。
写真に写っていたのは、幼い神崎だった。
その隣に立っているのは、知らない女性。
だが神崎には、その女性が誰なのか分かった。
母親だった。
そして写真の裏には、こう書かれていた。
**「あなたは生まれたのではない。」**
神崎の手が震える。
その下に、もう一行。
**「あなたは、作られた。」**
神崎は写真を握り締めた。
自分の人生。
自分の記憶。
自分の家族。
そのすべてが、本物だと思っていた。
しかし。
もし、それすら誰かに作られたものだったとしたら。
自分はいったい、何者なのか。
その時。
背後から少女の声がした。
「神崎さん……。」
振り返る。
少女は青ざめていた。
「私……思い出しました。」
「何を?」
少女は震えながら答えた。
**「神崎さんを殺したのは……私です。」**
地下祭壇に、再び静寂が落ちた。
コメント
1件
第9話、一気に核心に迫ってきましたね!「被験者001」が神崎自身だった展開と、「あなたは作られた」という写真の裏書きは衝撃でした。記憶移植とコピーのテーマがここで繋がるんですね。そして最後の少女の告白——「神崎さんを♡♡♡たのは私」で鳥肌が立ちました。自分が何者か分からなくなる恐怖と、過去の記憶の断片が痛いほど伝わってきます。続きが気になって仕方ないです!