サンタさんへ
ぼくがことしほしいものはありません。でも1つだけとってもたいせつなおねがいがあります。それは、1ねんくらいまえにどこかにいったおかあさんにこのおはなたちをもっていってあげたいってことです。おとうさんがおかあさんはうんととおくのそらでがんばっているっていってました。だからぼくをそこにつれてってください。おねがいします。
みらいより
手紙は後半に進むにつれ、目からこぼれ落ちる雫で滲んでしまった……溜めていたものが溢れ出すような感覚だった。そして俺は……自分の無力さを痛感した。いくら魔法という幻を見せることができても、好きなものを好きなだけ出せても、このたった一つの願いさえ変えることができないとは……いったい俺はこのあとどうするべきなんだろうか?きっと父親は何重にも重ねたオブラートに事実を包んでいるんだろう。ということは事実を伝えてしまうのはベストアンサーとは言えないだろう。じゃあ俺が母親として手紙を書き残すのはどうだろうか?いや、ダメだ。そんなのは騙していることに変わりない。何か他の案は……
考え込んでいると俺の目には再び、机の上に置いてある花たちが映った。
そうか、俺に今できることは……
夜を裂く光を後ろに浴びつつ、金色のソリは白銀の粉を散らして進んでいく。
俺は結局
「ごめんなさい、今はおねがいがかなえられません。でも、その花のようにせいいっぱいがんばってください!!」
という励ましてるのかそうでないのかよく分からないような手紙にハナトラノオの押し花を添えて置いておいた。
さぁ、夜は明けたんだ!!新しい明日を、年を、そして新しい自分を迎えるために、希望を持って光へ進め!!
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ネタバレ注意 ↓ ハナトラノオの花言葉 「希望」「望みの達成」