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#ハッピーエンド
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熱いベルの身体を抱きしめながら、レンブラントはこのままベルが泣きつかれて眠って欲しいと願った。
話し合いから、逃げるつもりはない。ただベルの身体が心配で心配で仕方がないのだ。
でも、どんなに強く願っても、現実がなかなか思うようにはいかなかった。
「──ねえ……どうして、黙っていたんですか?」
主語を抜かしたベルの問いに、レンブラントは「何が?」と聞き返すことはしない。
「レンブラント・レイカールトンっていう名前がダサいからだ」
「そんなくだらない理由で黙っているほうが、よっぽどダサいですよ」
「……相変わらず手厳しいな」
ため息交じりに呟くレンブラントに、ベルは顔を上げて睨み付ける。
「この期におよんで誤魔化そうとするあなたよりは、手厳しくないと思いますけど?」
「まぁ、確かにそうだな」
ぐうの音も出ないことを言われたレンブラントは観念した。
「どこから話せばいいかわからんが……まず、あんたは俺のことをちょっと前まで知らなかったと思うが、俺は結構前からあんたのことを知っていた」
「え、それ……ストーカー?」
「違う。あんた親父さん……ラドバウト団長から色々聞かされていたんだ。俺はもともと団長の部下だったんだ」
「お喋りジジイ」
「だからそう団長を悪く言ってやるな。可愛い娘を持ったら、どうしたって目が合った人に娘自慢をしたくなるもんだ」
「そんなの知らない」
「まぁ、俺も娘を持ったことがないからわからんが……おっと、話が逸れたが、要はあんたの婚約者にならないかと、団長から言われてたんだ。本当に随分昔の話で、団長が再婚する前で……結局、団長が死んじまってその話は立ち消えになったけどな」
自分の与り知らぬところでそんなことになっていたとは微塵も知らなかったベルは、どうリアクションしていいのかわからない。
「それから数年は俺も軍人としてなんだかんだと忙しかった。まぁ団長の死を受け入れられない部分があったのもあって、ケルス領のことは敢えて触れないように生きてきた。だから……あんたがあんな過酷な状況に置かれていたことに気付けなかった……すまなかった」
最後の謝罪は、まるでレンブラントが傷を負ったかのような痛々しいものだった。
「いいんです。謝らないでください」
父親であるラドバウトが死んで、幸せだった世界が一変してしまったあの時、救いの手を求めていたのは確かである。不安と孤独に打ちのめされたことも。
でもレンブラントは来てくれた。
だから、これでいい。ケルス領はまだ最悪な状況には落ちていない。今からでも十分に持ち直せる。だからやっぱりこれでいい。
そんなことよりも、大事なことをこの人の口からちゃんと聞きたい。
「それより出会ってから、今までどうして黙っていたのかをちゃんと教えてください」
ベルはレンブラントにもたれかかっていた身体をちゃんと起こして、彼の目を見つめて強く訴える。
そうすれば何故かレンブラントは半目になり、信じられないことを口にした。
「黙っていたのは、あんたのせいだ」
ここでまさか責任転嫁されるとは思っていなかったベルは、自分でも笑ってしまうほどの間抜けな顔をレンブラントに披露してしまった。
コメント
1件
第111話、読み終えました。レンブラントがようやく過去を打ち明ける場面、すごく良かったです。特に「黙っていたのは、あんたのせいだ」という台詞、思わず笑ってしまうベルの気持ちがすごく伝わってきました。彼が「傷を負ったかのような痛々しい」謝罪をするシーンも印象的で、二人の距離が確かに縮まっているのが感じられて、読んでいて温かい気持ちになりました。続きがすごく気になります。