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やっぱり少しずつ寒くなってるなぁと手を擦りながら、自身の体温を高めようとするけど中々暖まらないし、何なら感覚も鈍くなってるのか手の感触がないように感じる。

et「ん~……見つかんないね……」

「私ねあの子の居場所分かったかも」

et「ぇ、?何処?」

「……体育倉庫の中」

女の子はニヤッと笑った後、すぐに真顔に戻った。

私は体育倉庫を探さないといけないことが分かってるのに、自分で身体を動かしにくいことに違和感を覚えた。

手を握って伸ばしてを繰り返していると、声が聞こえて意識を飛ばした。


sv「外は確か見てないよなぁ」

ずっと建物内を探してたけど全く見つかんないので、外に出て校庭や花壇の方を探していた。

奥に小さめの建物が建っていて、それは体育倉庫だと近づいてようやく分かった。

sv「ん~……人体模型さんいますかぁ~?」

中を見ると体育に使うマットや跳び箱の他に外で使う縄跳びやフラフープ 竹馬等、体育や遊びに使う道具がたくさんあった。

今の季節はそこまで寒くないけど、朝になりかけの……この場所は思ったより肌寒い。

sv「ぇ、?ひっ!」

奥に足が見えてびっくりして腰が抜けてしまいそうになり、 恐る恐る近づいてみるとそこにはえとさんが眠っていた。

sv「……はぁ~……良かったぁ……って違う違う!!えとさん!起きて~!!」

et「んん、……シヴァさん、?」

えとさんは俺を認識するとボーッとした顔のまま、起き上がった。

sv「大丈夫?……ずっと探してたんだよ」

et「……そっか、ありがとう……ところでここは、?」

sv「体育倉庫だよ」

et「……っ…!…」

えとさんはここが体育倉庫だと知ると、身体を震わせて俯く。

そこで自分が手に持っていた物をびっくりして俺に投げると、すぐに謝ってもう一度拾ってまじまじと見るので不思議に思い、声をかける。

sv「それは……人形?」

et「そうだね、でも私こんな人形持ってなかったし……」

えとさんが女の子と出会ってその後の話を、簡単に説明してくれた。

sv「ほぇ~じゃあここに居ないってことは……その人形が男の子ってことかな?ww」

et「……そうかも」

冗談のつもりだったけど、えとさんはニッコリ笑った顔の人形を真剣に見つめて、走り出した。

不思議な行動だなと思いつつも心配だからついて行くことにした。



no「朝日が昇ってきたなぁ」

周りの景色が明るくなって朝が来たことを理解する。

朝のスッキリする空気は疲れた心を癒してくれるが、オールしてる状態なので目が眠たいと瞼を閉じようとする。

僕はもふくんと離れて外を確認をしようとしていたのだけど、出た時には朝になっていて何人か歩いてるのを見つけた。

no「シヴァさんと……えとさん!」

et「あっ、なおきりさん!!」

no「生きてたんですね……良かった」

et「あの、ごめん私行かなきゃ!!またね」

no「えぇ!?」

sv「一応俺もついてくから、後でな!」

二人とも急いで入っていったので何か問題が解決しそうなんだなと、ふわっと考えた後に他にも人が居ないかの確認をした。


et「……これだ!……放送室」

ガチャ……

放送室はシーンとしてかなりの沈黙が続いた後に、私は椅子に人形を座らせてじっと待った。

こんなことしても意味がないかもしれないし…… 女の子は朝になってるから来れないかもだけど、もしかしたらそれでも来てくれるかもしれないと、期待して待つ。

シヴァさんは何も言わずに隣に座って一緒に待っていてくれた。

ダッダッダ……ガチャッ!!

「はぁはぁ……居た……!」

et「良かった…来ると思って待ってたの」

「ありがとう、あの子は……」

et「多分これかなって……人形だし、生きてるみたいに言ってたけど……もしかして違った?」

「ううん……全部思い出したの! 」

私がこの学校に転校してきた時にお父さんに買って貰ったの。

それで学校にも持ってきてたんだけど、男子達がこの子をからかいだして……この子は虐められてるけどいつも笑顔なの……

だから大丈夫だと思ってた。

ある日学校で体育があって私は体育委員会に入ってたから、準備を手伝ったり片付けをしたりして……一生懸命授業に取り組んでたんだけどその日に体育倉庫に置いてきちゃって……

気づいた頃には何処を探しても居なくて……それで夢の中で教えてくれたの、放送室で放送されるから待っててって……本当よ?

だから私学校の放送を毎回じっと聞いてたけど、その日は私が寝坊しちゃって……放送のことを教えて貰った時には、もういなくなってたの。

悔しくて誰かが取ったのは分かってたけど、先生に言っても持ってきた私が悪いって言われて、どうしようもなかった。

でもきっとまた放送されると思って、開かない放送室を毎日確認して、毎日通った。

それで噂好きの女の子に教えて貰ったの。

……夜な夜な放送が流れていて、人形が捨てられてるって放送されてる話を。


et「だから一生懸命放送室を探してたの?」

「そう……夜は放送室がなくなるから……でもいつの間にか死んじゃったのよ」

そう言って悲しそうに人形を持ち上げて、抱きしめると、女の子は人形と一緒にありがとうと言って消えて行った。

その時ふわっと赤いポピーが落ちてきて、それを拾い上げる。

et「ポピー、?」

sv「なおきりさんにあげたら?」

et「とりあえず、そうだねw」

そう言って私達は放送室を出た。


rn「あっ……もう朝だぁ!」

jp「ホントだ!……良かったぁ」

俺達は理科室から出て歩いて扉を開けたり、人が気付くように物を置いてみたりしていたが、途中で朝になっていることに気が付いた。

jp「とりあえず玄関入り口の方に行ってみる?」

rn「そうですね……皆居るかもしれないです」

jp「よっし!行こ!」

俺が手を差し伸べるとるなは少し固まった後、嬉しそうに手を掴んで走り出した。


私達は基本的に最後に集まる場所は玄関って暗黙の了解になってるらしい。

et「あっ、おーい!」

手を振って待ってる皆がいて、つい泣いてしまった。

rn「みんなぁ~!!会いたかったです~!」

na「るなさん!!」

rn「のあさ~ん」

ギュウッ……

et「ぇ、ずる……私も!」

ギュゥゥ……

mf「何を見せられてんの?」

dn「仲良いねw」

jp「とりあえず全員いる?」

『居るよぉ!』

jp「良かった……じゃあ座って聞いてほしいんだけど……」


それから俺達は職員室に向かい、椅子に座って昨日の情報共有をした。

もふくんとなお兄は人体模型を探していたけど見つからず、一度離れて探すことにしたらしくあまり情報は持ってなかった。

えとさんとシヴァさんは途中体育倉庫で会ったらしく、その時にはもう朝日が昇ってきていて、見えるようになっていた。

のあさんとうりはずっと探してたけど途中で眠気が限界を迎えて眠ってしまったらしいが、朝になった途端目がスッと覚めたらしい。

ヒロくんとたっつんはトイレの花子さんと出会ってしまったらしく、咄嗟に隠れた時に花子さんが何かを大切に持っていたのを見たらしい。

ゆあんくんは探してる途中に三階を見つけて、その階段を上がろうとした瞬間に消えてしまったと話してくれた。

どぬは体育館に行ってみたけど、特に怪しいものもなく、何処を探しても人が居ないためそこで待つことにして、ようやく朝が来たのでそのまま玄関に来たらしい。

俺達は理科室で出会った以降の話をした。

jp「うーん、とりあえず皆が見えなくなるのは、理科室に行けば問題ないってことで……今日も一応調査するけど、その時は変わってるかもしれないからそのつもりで」

et「あっ、そういえばなおきりさんにこれあげるつもりだったんだ」

no「これって……ポピーだ」

et「私達が解決した時女の子が消えた後に落ちてきたんだよね」

no「……赤のポピーの花言葉は感謝とか喜びっていうの知ってました?」

et「ぇ、?そうなの!?」

no「良かったですね……これはえとさんが持ってた方が良いんじゃないですか?」

et「……ううん……これはなおきりさんが持ってた方が良い気がする。」

no「えぇ、でも……」

et「そんな感じがする」

えとさんの顔は真剣そのもので、なお兄は戸惑いつつも受け取った。

とりあえず解決したと考えられるものが、るなさんが触って消えてしまった音楽室のピアノと放送室とそれを探す女の子、この三つは解決したと仮定して、調査を進めることにした。

jp「んー……とりあえず今日はもう寝ない?夜に備えて寝た方が良いと思う」

mf「そうだね、一旦近くのホテルとか借りる?」

na「そんなのあるの?」

mf「んー……多分遠いなぁ」

ur「じゃあ……俺もう寝るわ」

そう言うとうりは何処かに歩いて行く。

na「待って、うりさん何処に行くの!?」

ur「んー?保健室」

dn「そっか……保健室ならベッドもあるしソファもあったよね!」

mf「そこまで多くないけど……他にもソファって言ったら校長室とかあるよ?」

sv「おぉ!」

jp「まぁ……そんな感じでとりあえず寝れそうなところで仮眠取ろっか!」

『やったぁ!!』


皆が走って行く中、なお兄はじっとポピーを見ていた。

jp「なお兄?」

no「これ……トイレの花子さんに渡すのか?」

なお兄はボソボソと呟いた後、立ち上がって職員室を出ていこうとする。

jp「ちょっと……なお兄!!」

no「ん、ぇあ?」

jp「どこ行くの?」

no「あぁ、実はさ……」

この赤いポピーの花は感謝とか喜びって意味もあるけど、あの時言ったように慰めって意味もあってさ、トイレには赤い生け花を飾ると悪い気が無くなるってそんな話があるんだ。

それにはアネモネ チューリップ ガーベラ等大きい花が良いらしいけど、小さめの花を置くのも悪くないだろうし……

no「だからトイレに飾りに行こうって思ったんです」

jp「そっか……気を付けてな」

no「はい、大丈夫ですよ」

そう言ってなお兄はトイレの方向に歩いて行ったので、 俺は一応解決したと言われてる場所を確認しに行った。

音楽室のピアノは本当に消えていて、問い合わせると元から壊れていて夜にピアノが鳴るのがおかしくて確認したところ、教師が出会ってしまったらしく、なるほどなと納得した。

放送室はそのままで確認してもよく分からないと思ったが、そこは昨日より綺麗で空気が澄んでいたので多分大丈夫だろう。

椅子も無くなっていて解決したような感じだったので、多分これを探す女の子もとっくに居ないんだろう。

俺は疲れたぁ~と伸びをして、皆が行った方向に歩いて行った。


花瓶を理科準備室から取ってきて、水を入れてポピーを女子トイレに置いたら、見たことはない三階に繋がる階段に向かう。

no「問題は全て解決してないですし……何かあるかもしれない」

そこはやはり何もなくて、ゆあんくんは消えたと言っていたし……仕方ないので人体模型がある筈の理科室に行く。

そこには人体模型が普通にあって、自分達が一生懸命探してもなかったのにと少し腹が立った。

イタズラなんて何も見てないし、噂は嘘だったのかもしれない……もしかしたら人体模型は動くだけかもと思いながら人体模型を触る。

すると頭にたくさんの思い出が流れ込んできた。

no「ぁ、え?んぅ、ふっ……は?へっ」

ペタン……

僕は力なく座り込んで脳が持ってる情報を見返すと、この人体模型の記憶らしい。

no「……ははっ……なるほどね」

人体模型には犬猿の仲の人がいて、それがおかっぱ髪の白いシャツを着て赤い吊りスカートの女の子……まさに花子さんだった。

その仲はかなり悪く、お互い同じ学校の幽霊ということもあり、当然会うこともあって仲が悪かった。

その時に花子さんに心臓部分を取られ、激怒したのち、花子さんに対して意地悪……イタズラをするようになった。

no「つまり花子さんから取り返せば良いのか」

すると急に身体が思うように動かなくなった。

no「んぐっ……あっ、ガハッ……んん」

身体がキシキシと悲鳴をあげて痛みを主張する。

『アイツを傷つけるな……許さんぞ』

no「ちが、取り返す……だけっだ!」

ギリギリ…!!

no「あ”っ、!うう”」

『……』

no「好きっなんだろ?……花子さんのことっ、」

no「僕は……」

『花を持ってこい……そしたら許してやる……そこのポピーだ』

no「んん”……あっ、」

ガタンッッ……ドサッ

僕はそのまま床に落ちて、何かの力と眠気に勝てず、気を失ってしまった。


jp「なお兄……なお兄!!」

no「ん、ぇ……じゃぱさん、?」

jp「どうしたの?こんなことで寝て……他にも寝る場所あったでしょ」

no「いや、……あぇ?夜?」

jp「うん、ごめん気付かなくて……夜になっても来ないから探したよ~」

no「そっか……花は!?」

窓際のポピーの花は前のように倒れたまま置いてあって、それを持って僕は人体模型を探しに理科室を出た。

jp「えぇ!?なお兄!?」

タッタッタッ!!

きっと人体模型を探して渡さないといけないんだ……そして花子さんから取り返してあげないといけない。

今日は皆が見えるので呪いはかかってないみたいだ。


ya「今日は階段あるかな?」

俺は心配しつつも三階をめざして歩くと、そこには昨日と同じように三階に続く階段があった。

何で皆には見えなかったのか不思議だけど、俺に出された試練みたいに思って、そのまま進んで行った。

ya「暗っら……マジ? 」

三階は暗い場所で建物的に隣同士に廊下で教室が繋がってる様子だった。

階段の前に大きな鏡があって、多分それが噂の大鏡だろう。

俺はゆっくり手を伸ばして触れると目を瞑った。


jp「んー、やっぱ三階なんてないよなぁ」

俺は三階を確認したが、やっぱりどこにもなかった。

そのまま女子トイレに入った。

……変態じゃないよ?確認確認……!

奥の個室をトントントン……と叩いて、花子さん……こんばんわと呟く。

それでも何も起こらず周りを見渡し、赤いポピーを見つけた。

確かなお兄が置いたんだと思い出して、少し安心する。

今回は普通に皆が見えるので、作戦はあまり考えずに調査をすることになった。 まぁ……眠気に勝てなくて適当になってしまった感は否めないが。

結局トイレの花子さんは出てこなくて、俺は残念……と思いながら、一度職員室に戻る。

お昼に依頼人の人が近くにコンビニ少ないからとご飯を持ってきてくれた。

マジで感謝!

そのままご飯を食べて休憩をしていた。


na「やっぱりトイレの花子さん怖いよぉ」

rn「私達一緒ですから頑張りましょぉ」

et「じゃあ……行くよ」

『うん!ヒソッ』

コンコンコン……と扉を叩いて花子さんこんばんわと花子さんに向けて話した。

「はぁい」

et「ぇ?やっ……」

『きゃぁぁ!!』

白い手が伸びてきて、私達は三人とも連れ去られてしまった。


sv「今の声……もしかして!」

俺は女子トイレに入って確認する……そこには枯れたポピーの花と、開けられた扉だけで人一人残っていなかった。

sv「クソッ……」


ur「これって……心臓?」

人体模型の心臓が何故か理科準備室に置いてあった。

俺はそれを手に取りまじまじと観察する。

「ねぇ……それを人体模型に返してくれない?」

後ろから声がして振り返るが誰もおらず、脳に直接声が届いてることが分かった。

ur「誰だお前」

「……頑張ってぇ」

そう声がした後に消えてしまった。

チッと舌打ちをしながら、まだ探してない場所を頭の中で探す。

ur「体育館……俺まだ行ってないな」

タッタッタッ……

体育館には誰もいないので、ステージ裏を探すと、そこには人体模型が隠れるように倒れていた。

ur「……はぁぁぁ~ここかよ……分かるわけねぇわ」

そう言いながら心臓をはめてステージ裏から出ると、なおきりさんが走ってやってきた。

no「はぁはぁ……人体模型ありました?」

ur「うん、ステージ裏」

no「……!」

なおきりさんは急いでステージ裏に行き、人体模型を見つけるとポピーを渡した。


no「これで良いのか……?」


「俺達の世界の裏は普通じゃない」

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