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コアラと木の実
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「で、最近どう思う?」
ラウールの声から始まる”会議”。
リビングに集まるのは、ラウール、阿部、佐久間、宮舘、渡辺、目黒、向井…
つまり、岩本と深澤以外のメンバーが集まっていた。
「…照もふっかも変だよね。」
宮舘の発言に全員が頷く。
メンバー全員、気づいていた。
当たり前だ。
つい最近まではお互いずっと離れなかったのだから。
「ふっかは元気ねーし、照もいつもいねーし…」
佐久間が後頭部に手を回す。
「喧嘩したってわけでもなさそうだしね。」
目黒も顔に手を当てて考える。
「あいつ、最近うるさい。」
渡辺は、深澤に縋られるのは懲り懲りのようだ。
「てるにぃ、何しとるんやろうね?」
向井は、岩本の方が何をしているのかが気になっていた。
「………やるしかない。」
阿部は、真剣な表情でメンバーの顔を見回す。
6人も、同じことを考えている。
「”計画”は、明日実行しよう。何があっても成功させるよ。」
阿部の言葉に、6人は頷く。
明日実行する計画。
その内容が書かれている阿部のスマホのメモ。
その見出しは…
“いわふか、そろそろくっつけよう大作戦(ネーミング:佐久間)”
(深澤視点)
「よーし!行くぞっ!しゅっぱつ~?」
「進行!!」
車内に、佐久間の掛け声とそれにのる翔太とこーじの声が響く。
……いや、なんだこれ!?
今朝、寝ているところを急に佐久間とこーじに起こされた。
そのまま、有無を言わせない勢いで佐久間の車に乗せられて…
何この状況!?
てか、何このメンツ!?
なんでこいつらこんなテンション高いわけ!?
いや、佐久間とこーじなら分かるよ?
なんで翔太までこの2人と同じテンションでいられるの!?
運転は佐久間。
助手席には翔太。
俺とこーじは後部座席に座ってる。
「あ、あのさ…今日ってなんかあったっけ?」
テンションが高すぎる3人に問いかける。
でも、
「まぁまぁ!ふっかさんはなんも考えなくてええから!」
「そうだぞー」
「お前は俺らについて来ればいいんだよ。」
こーじに肩をぽんぽん叩かれて、翔太と佐久間に流される。
え?
いや、意味わかんないじゃん!?
結局、そのまま連れてこられた場所は……
「スポーツパーク…?」
「そ!今日はここで楽しむぞー!」
佐久間にグイグイ腕を引っ張られる。
おいおいおい!
待てって!!
何!?は!?
わざわざ朝起こしに来てこれ!?
意味わかんねぇって!!
「4人でーす!」
こーじと翔太はもう受付を終わらせたみたい…
行動早すぎないか!?
そのまま、理解が追いつかない俺を無視して、3人は俺を強制的に施設に引っ張る。
抵抗しても無駄な気してきた…
俺は抵抗をやめて、こいつらと同じテンションで楽しむことを決めた。
(阿部視点)
「さて、岩本さん?話を聞こうか。」
目の前ですんごく不思議そうな顔をする照に笑いかける。
それはそうだろうね。
だって、俺、めめ、舘さん、ラウに急に呼び出しくらったんだから。
「…今日”も”、どこ行こうとしてたの?」
しかも、照が出かけようとするタイミングを見計らってね。
俺らの作戦。
“いわふか、そろそろくっつけよう大作戦(ネーミング:佐久間)”
一見ふざけてるように見えるよね。
それは、佐久間のネーミングセンスのせいだけど…
内容は、こんな感じ。
まず、佐久間、翔太、康二でふっかをどこか遠くに連れ出す。
その間に、俺、めめ、舘さん、ラウで出かける寸前に照を呼び止める。
作戦1つ目は、成功。
そして、作戦2つ目。
俺らは、照からとにかく情報を聞き出す。
ここ最近、一体誰に会ってたのかをね。
佐久間たちには、とにかくふっかを楽しませてもらう。
少しでも、元気が出るようにね。
昨日、ふっかが帰ってきた時、少し楽そうだった。
詳しいことは分かんないけど、多分真白さんに会ってたんだと思うんだよね。
帰りも遅かったし、あの人ならふっかのことを楽しませられると思うから。
だから、佐久間たちには少し強引でもいいからって伝えてある。
今のふっかには、その強引さが必要なはず。
「岩本くんさ、最近やけに忙しそうだよね。」
早速、ラウが切り込みを入れる。
照の表情が、少し険しくなる。
「スケジュールを確認してみたけど…今日も仕事ないよね?なのに、どこ行こうとしてたの?」
さすがラウ。
照相手でも、ここまで言える最年少はすごいよ。
「……休みの日に、どこか行くことの何がおかしいの?」
まぁ、そんなすぐ吐き出さないよね。
想像通りに反論する照。
さて、ここからどうやら情報を聞き出そうかな…
「…岩本くんのことを責めてるわけじゃないんだよ。」
お、めめがいった。
ここで誰が何を言うか…
完全にアドリブ。
だからこそ、何が起こるか分からない。
それが、頭脳戦ってやつで…
楽しいんじゃん。
「……責めてない?だったら、こんなことする必要ないじゃん。」
照、随分いつもの場所に行きたいみたいだね。
まぁ、まだ切り札は出すべきじゃないね。
3人に視線でサインを送る。
この切り札だけは共有してる。
まだ使わないよ。
だから、それを使わずに照から情報を聞き出そうか。
「最近、照から甘い匂いするよね。」
次に切り出すのは舘さん。
「香水、変えたのかな?」
「……そう、だけど。」
嘘。
照、そういうのあんま興味ないでしょ?
匂いの件は、翔太からちゃんと詳しく聞いてるから。
翔太、言ってたよ?
『多分、あの香水は高級なやつ。それも、最近女性中心に流行ってんの。逆に男はあんま使ってない。匂いが甘すぎんだよな…俺もちょっと苦手かも知んない。』
翔太が言うんだもん。
つまり、照は女性に会ってる。
それも、高級な香水をつけてる女性に、ね。
「あと、よく紅茶の茶葉を貰ってくるよね。」
さらに、舘さんが続ける。
「紅茶にハマってるの?」
「…まぁ…」
照、隠すの下手だなぁ…
いや、俺らが相手だからか。
本当に、仲間思いなのは変わんないんだから。
最近、照はよく紅茶の茶葉を持ち帰ってくる。
これも、高級なやつね。
照がわざわざ高級な茶葉を買ってくる?
そんなわけないでしょ?
そのあとも、ずっと照に質問し続けた。
照は、ただ『…うん。』とか『……そうだけど。』っていう短い返事ばっかり。
話は一向に進まない。
そして、先に痺れを切らしたのは照の方だった。
「あのさ、もう行かないとなんだけど。」
照が、すこしイラついた声色で席を立つ。
そんなに急いで、誰に会いたいんだよ…
今の照の優先順位は、俺らじゃなくて今から会いに行く女の方が優先なの?
だめだよ。
まだ行かせないから。
めめたちと顔を合わせる。
照を逃がさないかつ情報を吐かせる切り札。
ここで、使おうか。
「今、ふっかがどう思ってるか知らないくせに、照は行っちゃうんだ?」
「………は?」
俺の言葉に、玄関に向かおうとした照の足が止まる。
「……照、知ってる?最近のふっか、毎日泣いてるんだよ?照は、家にほとんどいないからわかんないよね。」
雰囲気を出すために俺は俯く。
その雰囲気を悟って、めめは表情を険しくして、ラウも寂しげな表情、舘さんも俯く。
「何、言って…」
「それに、ふっかの太ももの傷のこと、照は知らないでしょ?」
照の言葉を遮って進める。
「ふっか、前までリスカしてたんだよ。やっと、照のためって言ってやめたのに…また、しようとしてる。」
照の顔が青ざめてく。
ふっかには、本当に申し訳ない。
ごめんね、言わないって約束破って…
でも、俺知ってるんだよ。
泣きながらカッターを持っては、机に置いて、また持って、でも置いてって繰り返してるの。
それも、ほぼ毎日…
「照が、知ってるわけないよね…」
「行け行け行け行け!!!!」
「そっちちゃうやん!!何しとん!?」
「こいつが言うこと聞かねぇんだよ!!」
「おおい!!何してんだよほんとに!!」
一方で、スポーツパーク。
深澤、向井、渡辺、佐久間は、”全力”で楽しんでいた。
ボーリング、バスケ、バッティング、ボルダリング、トランポリン、アイスホッケー、卓球…
スポーツパークで、多種多様なスポーツを楽しんだ4人。
次の目的地に向かうために、再び車へ乗り込む。
最初は巻き込まれただけの深澤も、3人と同じようにテンションが高まっていた。
続いて向かった場所は……
「……焼肉だぁ!!」
車が停車する場所で、深澤が1番に叫ぶ。
瞳を輝かせながら車窓に顔をくっつける深澤を見て3人は微笑む。
次に4人が楽しむのは、高級な焼肉だった。
「え!?やっば!個室じゃん!!」
店に入り、深澤は驚く。
どうやら、3人は昨日のうちに予約していたみたいで、店に入り、店員に案内された場所は個室だった。
それに、ここは高級焼肉店。
その上個室となると…
「何円かかったの…!?」
やはり、値段が気になってしまう。
同時に破産しないか心配になる深澤の肩に、ぽんと佐久間が手を置く。
「安心しろ。この中で1番稼いでる…翔太が払うから。」
「はぁっ!?」
佐久間の声に、渡辺が声をあげる。
渡辺の表情に、深澤と向井は吹き出す。
お前どういうことだよ!という渡辺に佐久間は冗談じゃーん!と笑う。
「ちゃんと俺とあべちゃんが払うから!ほら、お金を気にせずいっぱい食べろ!」
佐久間の言葉で、4人は席につき、さっそく始める。
「まずは…この贅沢セットだろ!!」
焼肉パーティが始まる。
(岩本視点)
嘘、だよな…?
ふっかが、泣いてる…?
それに、太ももの傷なんて、俺は知らない…
いや、違う。
何となく、昔ふっかが自傷行為してたのには気づいてた。
でも、それをまた…
なんで…
阿部が、苦しげに俺を見てる。
阿部だけじゃない、目黒も舘さんもラウも…
俺のことを、苦しげな瞳で見てくる。
…ふっかが苦しんでることを知らなかったのは…
俺、だけ…?
そんなわけない…
だって、俺はふっかが傷つかないように…
ふっかを守るために…
そう、だよな…?
…………本当に、そうなのか…?
「岩本くん…ここ最近、岩本くんは、”誰を見てたの”?」
目黒の、真っ直ぐな質問。
俺が見てたのは、もちろんふっかだよ……
ふっか…
俺が見てたのは、芙月の盤上のふっか、だ…
俺は、目の前にいるふっかのことを見てたのか…?
俺は、ふっかが俺から離れないようにするために…
離れないように…?
「ふっかがね、前に翔太に泣きついてたんだよ。照が、俺から離れてく…ってね。」
舘さんの言葉が、俺の頭に響く。
違う……
俺から離れようとしたのは、ふっかの方で…
それが、始まりで…
……俺は、ふっかから離れた……
「………ふっかさんと岩本くんは、何が足りなかったんだと思う?」
ラウが、少し寂しそうに問いかける。
どうか、気づいて欲しいって顔。
俺とふっかに、足りなかったもの…?
何が…足りなかったの…?
何をすれば、俺はふっかを傷つけなかったの…?
どう、すれば良かったんだよ…
わかんねぇよ…
ふっかの考えてることも…
阿部たちが伝えたいことも…
わかんねぇんだよ…
「照、何で俺と佐久間が長続きしてると思う?」
「………は…?」
急な阿部の質問に、俺は戸惑いが隠しきれない。
なんでお前らが長続きしてるか…?
知るわけないだろ、そんなこと…
「何で、舘さんと翔太は仲直りできたと思う?」
それは…2人が、ほんとの気持ちを伝えたから、で……
「………ぁ…」
阿部が、俺を見て微笑んでる。
「照は、なんで漆黒の龍に取り込まれたふっかのことを救えたの?」
阿部のその笑顔を見て、俺は自然と口に出してた。
「…ふっかは、今どこ…?」
「うんまかったー!!!」
深澤たちは思う存分焼肉を楽しんだ。
今は、満腹感の幸福を噛み締めていた。
個室というのもあり、周りを気にせずにいろいろと話しながら高級肉を楽しんだ。
すると、佐久間がスマホの着信に気づく。
そして、次にどこへ行くか話をしてる3人に声をかける。
「次に行く場所決まったよ!」
行先は教えないまま、4人は次の場所へ向かう。
そして、4人がたどり着いた場所は…
「…え…?」
深澤は、キョトンと、目的地の場所の前で立ち尽くす。
深澤の目の前にあるのは、家の玄関の扉だった。
一方で、佐久間はニヨニヨと笑っていた。
向井と渡辺も、途中から気づいた。
そのため、今は佐久間と一緒にニヨニヨしている。
理解が追いついていない深澤。
その背中を押すように、向井が玄関の扉を開ける。
そして、扉を開けた瞬間…
阿部、目黒、宮舘、ラウールが勢いよく外へ出ていく。
「は!?え、ちょ!って、うおっ…!!」
困惑する深澤を、急いで佐久間と渡辺が家の中へ押し込む。
そして、深澤が家の中に足を踏み入れたことを確認し、扉を閉めて、鍵をかけた。
もちろん、中から開けられないように7人で扉を押さえつけてもいた。
閉じ込めたあと、阿部は佐久間と顔を合わせて笑う。
「”いわふか、そろそろくっつけよう大作戦(ネーミング:佐久間)”…」
「これが、最後の俺らの役目!」
阿部と佐久間の言葉に、5人も笑ってみせる。
自分たちの役目はこれが最後だ。
あとは、岩本と深澤がどう動くかだけ。
コメント
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第47話読んだよ〜!!「いわふか、そろそろくっつけよう大作戦」最高すぎる😂💕 佐久間のネーミングセンス、まじで笑ったw メンバー全員が照とふっかのために動いてるのが胸熱すぎるし、特に阿部ちゃんがリスカのこと切り札にするシーンはグッときた😭 最後2人きりにされたとこで「やっとかよ!!」って叫んじゃったよ!次どうなるの気になりすぎる〜!!🌸✨