コメント
2件
リクエスト答えて下さり光栄です! 最高でした!続き楽しみです(*´艸`)
今日からリクエストの新連載です!!
拒食症の彰人のお話。ちょっと鬱要素入るかもです。
※彰人拒食症 ※嘔吐シーン有 ※軽い鬱要素
※冬彰 ※進級前の時間軸
#1 痩せなきゃ
ーーWEEKEND GARAGE。そこには燃えるように歌うVivid BAD SQUADの姿があった。
「ーーーー!!」
「…結構いいんじゃねえか?」
汗を拭いながら彰人が声をかける。
「うん!私も最近だと一番の仕上がりだと思ったよ!」
「私も〜!」
「俺もだ」
続けてこはね、杏、冬弥も返事をした。その様子を見た謙が、エプロンを着て彼らの前に現れた。
「そんじゃあ休憩がてら、皆でおやつでも食わねえか?」
「「良いんですか!?」」
「ああ、何ならもう準備はできている。すぐに出来たてが食べられるぞ。杏、手伝え」
「はーい!」
するとキッチンに向かおうとする謙達に、彰人が声を掛ける。
「あ、ちょっと待って下さい謙さん!」
「ん?どうした?」
「俺の分、少なくしてもらっていいですか?」
「今日はパンケーキなんだが、良いのか?」
「はい…ちょっと食欲なくて」
「わかった。無理するなよ?」
「勿論です」
2人の会話を聞いて、冬弥は少し首を傾げた。
(甘い物は別腹だと言っていた彰人が少なめにするなんて……本当にただお腹が空いていないだけならいいんだが)
「お待たせ〜!父さん特製パンケーキだよ!」
杏がパンケーキをこはね達のテーブルに運ぶ。
「わあ!おいしそう!」
「「いただきます!」」
「ん〜おいしい!流石だね父さん!」
「伊達に何年もカフェやってないからな」
皆がパクパク食べ進める中、彰人だけ異様に進みが遅かった。いつもは一番に食べ終わるほど早いのに。その違和感に最初に気づいたのは、冬弥だった。
「…彰人、体調でも悪いのか?進みが悪いが」
「え?ああ、悪い。ちょっと考え事してただけだよ。ぬるくなる前に食べるわ」
「あ、ああ…」
しばらくして皆食べ終わり、今日は帰って自主練にしようと言うことで早めの解散となった。
ーー帰り道。
「今日の歌は結構調子よかったな冬弥!」
「ああ…」
冬弥は内心、今日のパンケーキのことが引っ掛かったままでいた。
「あ!そうだ俺姉貴にパシられてたんだったわ。わりい冬弥、今日俺こっちから帰るな」
「え?ああ、わかった。じゃあな彰人」
「またな冬弥」
そう言って、彰人はコンビニのある方向へ走っていった。
( やっぱり俺の勘違いだったのか…?)
ーーコンビニの客用トイレ。
「ゔッ…お゙ぇッ…げほっごほっ」
「…ハァ…ハァ」
(…また吐いちまった。パンケーキなら行けるかと思ったんだけどな。家まで我慢出来なかった…。)
(最近まともに食べてねぇ…。でも、痩せる為ならこっちのがいいのか)
(…これ以上冬弥達の足を引っ張る訳にもいかねえしな)
フラッと息を荒くしながら立ち上がる。
「RAD WEEKENDを超えるには、これくらいはしなきゃ駄目なんだ…。謙さんだって、血の滲む様な努力まであそこまで行ったんだ。なら俺だって、才能がない分頑張らねえと…」
彰人の頭の中に、数日前の記憶がフラッシュバックする。
ーー数週間前、ライブハウス裏。
「じゃあお前ら、またな!」
「「じゃあまた!彰人/東雲くん!」」
何週間か前のライブ終わり、アイツらと別れたあとのことだった。
「あ、東雲くんだ〜、さっき歌ってたよね?」
「すごい上手かったよ〜!」
他のミュージシャン2人組に話しかけられた。
「見てくれたんですね、ありがとうございま…」
ドンッ…!
俺の言葉を遮るように、片方のうちの1人が俺の顔の真横の壁を殴った。
「あーごめんね、上手かったってのは君じゃなくて、他の3人のことw」
「ぶっちゃけ君以外の3人で十分だもんね、今のビビバスってw自惚れんなよw」
(あー…またこのタイプかよ。適当にやりすごそ…)
「そうですね、僕の実力が他の3人に比べて足りてないって言うのは自覚してます。そのためにもこれから自主練しなきゃなので、僕はこれで…」
逃げようとした俺の腕を、男たちに掴まれた。
(うっざ…どんだけ暇なんだよ💢)
「え?いやいや自主練でどうにかなる差じゃないっしょw」
「てか言わせてもらうけどー、君歌だけじゃなくてルックスでも劣ってるよねw」
(…は?今それ関係あるか?)
「いやさー、相棒くんてスゴイ美形じゃん?シュッとしててイケメンで〜なのに東雲くん最近太ってきてるし、歌以外でも見劣りするよね」
「少しでも相棒くんと肩並べたいならそこら辺もちゃんとしなきゃw誰だって豚と歌いたくないでしょw」
(っ…!確かに最近体重少し増えたけどッ…!)
「ほんとは自分でもわかってるでしょ?相棒くんとの差は歌だけじゃないって」
「っ…!!」
…思い当たる節はいくつもあった。冬弥は俺と違って頭も良いし、優しいし、圧倒的音楽センスも持ってる。今日だって、こんな俺のことを心配してくれた様子だった。
それなのに俺は、才能のことで冬弥達にいつも迷惑かけて…。初対面の奴には外面で取り繕わないと優しく接することもできない。
「オラ、何か言えよ!」
1人が俺の顔を殴った。
「ッッ…」
「そんなんだと、相棒くんに捨てられるのも時間の問題なんじゃない?ww」
「っ…!?」
(冬弥に…捨てられる?)
(嫌だ…)
(イヤだ…!)
(いやだ…!!)
言い返さない俺に、男達は飽きたようだった。
「…ケッ、つまんねーの。まあ精々がんばってw 」
そう言って男達は去っていった。
(幸いそんなに強く殴られた訳でもなかったから、跡には残らなさそうだ。よかった、これなら冬弥達に感づかれずに済む)
(…俺、冬弥に捨てられちまうのかな)
(まあそうなったらその時だな…こんな俺と組みたいって方が珍しいだろ)
(でも……捨てられたくない)
俺の目には涙が浮かんだ。
(これからも、冬弥と…こはねと…杏と…一緒に歌いたい。一緒にRADWEEKENDを超えたい)
(だから俺は、何がなんでも冬弥と対等にいなきゃいけないんだ。そのためには……)
その時俺の頭に、さっきの奴らの言葉がふと蘇った。
『東雲くん最近太ってきてるし、歌以外でも見劣りするよね』
「…!! 」
(そうか、痩せればいいんだ。もっと痩せて、筋肉つけて…歌と一緒にそこも頑張れば、もっと冬弥に近づける…)
そうして、その日から俺は過度なダイエットをするようになった。冬弥に近づくために。
ーー翌朝。ビビバスはいつもの公園に集まっていた。
「じゃあ昨日歌ったところ、もう1回合わせよっか!」
「ああ/うん!」
音楽がかかる。
「「ーーー!!」」
サビが終わり、全員のソロパートに入る。こはね、杏、冬弥と順調に繋ぐ。
(最後は俺のパートだ…!)
歌い出した瞬間、彰人は突然目の前が真っ暗になった…。
ドサッーー。
彰人は突然その場に倒れた。
NEXT→♡100