第2話です!(1話見てない人はそこから見てね)ではさっさと行きます!
※冬彰 ※拒食症 ※彰人鬱 ※嘔吐有
#2 お前にはわかんねえよ
ドサッーー。
倒れた彰人にいち早く駆け寄ったのは、冬弥だった。
「彰人!?大丈夫か?彰人!! 」
彰人の顔に触れると、鋭い熱が冬弥の指に伝わってきた。
「冬弥!彰人は!?」
杏とこはねも駆け寄ってきた。
「熱があるようだ。今は一旦俺の家に運ぶ」
「「わかった!」」
冬弥が彰人をおぶる。
(軽っ!? 彰人、ちゃんと食べているのか!?…目が覚めたら聞くか)
3人はそのまま冬弥の家に向かった。
ーー冬弥の家。彰人をベッドに寝かせる。
「2人共、ここまで手伝ってくれてありがとう。だが、ここからは俺1人で大丈夫だ」
「本当に?」
「ああ。2人に移ってはいけないしな」
「冬弥も気をつけなよ?」
「わかっている。そしてこのことを謙さんに伝えてくれ」
「「わかった!」」
そして2人はWEEKEND GARAGEに帰って行った。
彰人が眠っている間、冬弥は思考を巡らせていた。
(彰人、すごく軽かったな…。もしかして、昨日のパンケーキとも関係があるのか?……ダイエット?)
「んっ……ここは?」
彰人の目が覚めた。
「彰人!ここは俺の家だ。練習中にいきなり倒れて、熱があったようだから…」
「ああ、そうだったのか…迷惑かけて悪いな」
「迷惑だなんて思ってないぞ。ひとまず彰人は、休息をとってくれ。…ただ、1つ聞きたいことがある」
「何だ?」
「…彰人、最近ちゃんとご飯を食べてないんじゃないか?」
「!?」
彰人は驚いた顔をした。
(図星か…)
「彰人をここに運ぶとき、すごく軽かったんだ。異常なほどに。…なあ彰人、どうしてか教えてくれないか?」
「……」
彰人は黙り込んでしまった。熱があることもあり、言い訳を考えるほど頭が回らない。
「…もしダイエットなんだったら、今すぐやめた方がいい。彰人にそんなもの必要ないし、やりすぎだ」
冬弥がそう言うと、彰人がピクっと動いた。そして…あの日殴られた場所を手で抑えて、心の声を漏らすように言った。
「冬弥には…冬弥にはわかんねえよ。全てを持って産まれたくせに…」
「彰人?…どういうことだ?」
彰人は段々と声を荒らげていった。
「そのまんまの意味だよ…!音楽センスも賢さも性格もルックスも、全部持ってるくせに…才能ねえ奴の気持ちなんかわかんねえだろ!!」
「…彰人は、俺をそんな風に思っていたのか?」
冬弥の言葉で、彰人は我に返った。
(あ…やっちまった…。これだけは言っちゃダメだと思ってたのに…)
(冬弥に、嫌われる…)
すると、彰人の目に涙が浮かんだ。
「……彰人!?」
「っ…ごめんなさい、こんな相棒でごめんなさい…いつも足引っ張って迷惑かけてごめんなさい…歌下手で才能なくてごめんなさい…不細工でごめんなさい…クズでごめんなさい…ご飯食べられなくてごめんなさい…」
彰人は話している間、泣きながら過呼吸ぎみになっていた。
「彰人、それ以上言うな!大丈夫だ!」
冬弥は背中をさすりながら言った。
「ハァ…ハァ…ッ気持ち悪い」
彰人はそう言って手で口を押さえた。冬弥は察知して急いでビニール袋を彰人の前に差し出した。
「うッ…お゙ぇ゙ッ…ゲホッゴホッ…」
彰人はビニール袋の中に吐き出した。そして、ボソッと呟いた。
「また朝飯出ちまった…」
「!!」
彰人の言葉で、冬弥は点と点がつながった。
「そうか…彰人、お前は拒食症だ」
「拒食症…?」
「ああ、ダイエットをしすぎた余り食事に対して嫌悪感を抱いてしまい、食べてもすぐ吐き出してしまうといった病気だ」
「そして…」
冬弥は彰人の細い腕を見た。
「低体重に固執し、既に痩せていても痩せなきゃと思ってしまうようだ」
「っ…!」
「だから彰人、お前はこんな無理する必要は本当にないんだ」
「…でも、少しでも冬弥に近づかないと俺は…」
「お前が俺に近づこうとする必要なんて無い」
「え…?」
「彰人はさっきから俺ばかりを褒めてくれるが、運動能力や、人を思いやる気持ちは彰人の方がずば抜けていると思うぞ?
だって彰人がいなければ、今のビビバスはないんだからな」
「…どういうことだ?」
「例えば初期の頃、彰人は小豆沢にキツく当たっていたが、俺はそのお陰で今の覚悟が決まった小豆沢がいるんだと思う」
「白石のことだって、彰人が気づいて指摘したお陰で小豆沢との関係が改善されただろう?」
「そして何より、1番助けられているのは俺だ。俺が彰人に酷いことを言ってBADDOGSを抜けようとした時も、親父との関係が拗れていた時も…助けてくれたのは、他の誰でもない彰人だ」
「…!!」
「だから…誰に何を言われたのか知らないが、そんなに自分を卑下しないでくれ。俺の大好きな相棒を貶めるのは、彰人本人でも許さないぞ」
「……冬弥」
(欲しかった言葉を、全て言っくれた気がした)
自然と、彰人の目から涙が溢れてきた。
「…俺、こんな役立たずがお前らといるのは良くないと思ってて…そのためにたくさん練習してたんだよ…」
「でもこの前、ライブ見てた奴に…このままだと相棒に捨てられるぞって言われて」
「俺、相棒は冬弥以外考えられなくて…絶対捨てられたくないって思って…」
「だから極力冬弥との差を縮めたくて、歌の他にダイエットも始めた。したら、段々食べても吐き出すようになってきて…」
「俺、どうしたら良いかわかんなくて…ずっと、怖かった…」
泣きながら話す彰人を、冬弥はまっすぐ見つめて聞いてくれた。
「そうだったのか…辛かったな。ごめんな、そんなに苦しんでいたのに気づいてやれなくて 」
冬弥は彰人を抱き寄せ、頭を撫でながら言った。
「未だそんなこと言う人達がいることも、彰人がそれに酷く苦しんでいることにも、もっと早く気づくべきだった。本当に、すまない…相棒なのに… 」
「…俺も、ごめん。さっきあんな酷いこと言って。冬弥だって努力してるのに、俺才能のことばっかり…」
「それは良いんだ。寧ろ彰人はもっと弱音を吐いた方がいい。何でも1人で背負いすぎだ」
「うん、ありがとう…冬弥……」
自分が思ったいたことを吐き出した彰人は、すっきりしたのか冬弥の腕の中で眠りについた。
「…寝たか。本当にごめんな、彰人。相棒ーーいや、好きな人を泣かせてしまうなんて…」
(俺も彰人の力になれるように頑張らなければ…!)
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コメント
4件
最高です✨️ 弱った推しは最高w
超感動…!!(´;ω;`) めっちゃ好きです!!