テラーノベル
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🖤💙〜頑張れるでしょ?〜
「蓮?そろそろ起きて。準備しないと」
「ん……」
ちっとも起きて来ない蓮の肩を揺すって起こせば、ゆっくりと瞼があがる
それだけでもイケメンは様になるなぁ、なんて思いながら眺める
ぽやっとした寝起きの顔が可愛くて思わず笑みを零す
ぼんやりとしていたその瞳に、徐々に自分の顔が鮮明に映り込むのがわかる
途端に、とろけそうなほどに甘い笑顔が溢れて、両腕が伸びてくる
「わ…」
ぎゅっと抱き寄せられて、耳元で優しい掠れ声が聞こえる
「……かわい」
一瞬で甘すぎる空間に引き込まれて、一気に顔に熱が集まるのがわかる
「っ!………なに、寝起きから」
「ん〜、朝一の翔太を堪能」
「ねぇ……離してって」
ぐいっと腕に力を入れて顔を離せば、今度は至近距離で目が合う
「ふふふ、真っ赤じゃん。やっぱりかわい…」
「もぅ〜!恥ずいってば。離して」
「やぁだ」
「遅れちゃうよ?」
「それはまずいねぇ」
「だから言ってんじゃん」
「ん〜、翔太がキスしてくれたら起きる」
「バカ言ってないで早く起きろって」
「え〜」
「俺も遅れるんですけど!」
「してくれないの〜?キス」
「しないってば」
「じゃあ起きない〜」
「もぉ〜〜〜!」
「ほら?」
「…………………はぁ」
少し唇を突き出して待つ蓮に、大きなため息をついて、渋々、触れるだけのキスをすると、ぐいっと体ごと引っ張られる
「うわっ!ちょっ!」
あっという間に上下逆転して、覆い被さられる
寝起きなのに端正な顔に見下ろされて、その綺麗な黒目に引き込まれる
「翔太」
寝起きの低めの掠れ声は心臓に悪い
「っ………なに。キスしたでしょ」
「足りるわけないじゃん」
「っな、ん!」
言い返す暇もなく口を塞がれ、体重をかけて深くキスをされる
「んっふ、あん、はぁ」
息が苦しくなってきて腕を叩き、ようやく長いキスから解放される
「……はぁ、はぁ」
「とろけちゃって、かわいい」
幸せそうな顔をして俺の頬を撫でる蓮
余裕の表情なのがむかつく
「っ!もう!さっさと起きて準備しろ!」
「いった!ははは!わかったって」
強めのパンチをお見舞いすれば、ようやく体を起こしてベットから出ていく
「………はぁ〜、もう」
残された俺は、寝転がったまま両手を顔に当てて息を吐く
(朝からドキドキさせないでよ)
顔の熱が冷めたところで起き上がって、準備の続きを始める
「俺もう先出るな」
「忘れ物ない?」
「うん、大丈夫」
玄関先でいつものいってらっしゃいのハグをしながら、ちょっと揶揄うような声色で蓮が言う
「翔太くん、今日は頑張れるでしょ、ふふ」
「……なに?」
「だって翔太くん、俺とのキス好きじゃん」
「おっまえさぁ………」
「ふふ、可愛い翔太くんが見れたから、俺も頑張れる」
ちゅっとおでこにキスが降ってくる
「……あっそ。いってきます」
「ふふ、いってらっしゃい」
「ん」
最後にまた触れるだけのキスをして、玄関を出る
眩しい朝の太陽が目に刺さる
気圧が低くなる冬は頭痛も出やすいし、今日は夜まで詰め詰めだから、少し憂鬱だったけど、蓮の言う通りに頑張れそうだ
お見通しなのは悔しいけど
(だって、あんなに好きって詰まったキス、嬉しくないわけないし)
「んん〜!…よし」
大きな伸びをして気合を入れ直し、幸せな気分に包まれながら仕事に向かった
コメント
2件
ありがとうございますさいこうです